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第17話 『会ってからのお楽しみ。』
「恋人の名前?」
夕飯を食べ終わり、一息ついていたときに、電話がかかってきた。
相手は序美。
「うん!きくのすっかり忘れてて!教えて!」
声のトーンからして、序美の知りたくてたまらない、という気持ちが伝わってくる。
「いいけど、今度会ったときじゃダメ?」
愛の言葉に序美は一言。
「じらさないでよっ」
「そうじゃなくてね、見せたい物があるの。それを見せたときに教えるから。ね?」
「……」
しばらく無言で考える序美。
そして。
「見せたい物ってなぁに?」
「それも会ってからのお楽しみ」
「……わかった」
今すぐ知りたい気持ちをおさえながら、序美は少々ぶっきらぼうに返事をした。
こうして二人は、また日曜日のいつもと同じ時間、同じ場所で会う約束をした。