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第15話『一抹の不安。』
愛が家に着くと、玄関の前に誰かが座り込んでいる。
恐る恐る愛は近づく。
「愛っ」
それは愛の恋人だった。
恋人は愛に気づくやいなや勢いよく立ち上がり、愛のもとへと駆け寄った。
「どうしたの?」
不思議に思い、愛がきく。
「…言ったの?」
今日のことを知りたがる恋人。
「…言ったよ。嬉しすぎるくらい、受け入れてくれた。やっぱり、序美らしいなぁって。…序美に出会えて、本当によかった」
安心し、穏やかな表情で言う愛。
そんな愛を見て、恋人は小さく呟いた。
「……もっと好きになった?」
「え?」
あまりにも小さすぎる声に愛は聞き取れなかった。
「…なんでもない。入ろ」
そして二人は家の中に入って行った。