第12話『出会えて、よかった。』
「愛。
愛に、恋人ができたって言われたとき、寂しかったけど、でも、それ以上にすごく嬉しかった。
愛のことを心からわかってくれて、支えてくれる人が現れたんだ。
あぁ、よかったって。
だから、女の子とつき合っているって知ったときは、正直、止めようかと思った。
だって、この先、愛を待っているのはつらいことしかないと思ったから。
愛が傷つく姿は、もう見たくない。
その思いで溢れていたの。
……でもね、今は違う。
自分が傷つくことを恐れていたら、人を愛することなんてできないよね。
やっと生まれた愛の想いを無くさせる権利、あたしにはない。
愛には、すべてを受け止める覚悟があるんだね。
だから、あたしは止めないよ。
むしろ、応援する。
愛が恋人さんてずっとずっと一緒にいられるように、あたしは祈り続けるよ。
愛、あたしなんかに話してくれて、本当にありがとう。
忘れないで。
愛のしあわせがあたしのしあわせだから。
大好きだよ」
そう言い終えると、序美は泣いていた。
涙が次々と溢れて止まらない。
そんな序美を見た愛は、序美の手を握り、優しく微笑んでこう言った。
「ありがとう、序美。
序美と出会えて、よかった」
すると序美も、愛の手を握り返して言った。
「あたしも…っ愛に出会えて…よかった…っ」