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第11話『ついにこの瞬間が。』
店に入り、席に着くと、いつも通りドリンクとサラダを頼んだ。
「……」
「……」
お互いに黙り込む二人。
時間だけが過ぎる。
そんな沈黙を破ったのは序美だった。
「…ご、ごめんね!き、今日突然、あ、会えるってきいたりして!」
噛み噛みの序美。
動揺を隠しきれていない。
「あ…だ、大丈夫!ちょうど空いてたから」
愛もまた同じだった。
そして再び沈黙。
騒がしい周りに比べ、二人だけを静寂が包む。
すると、序美がまた沈黙を破った。
「…愛」
意を決した序美の声と表情に、愛はビクッと反応し、とてつもない緊張感に襲われる。
「大切な話があるって…言ったでしょ?」
静かに頷く愛。
序美は話を続ける。
「何の話かは…大体わかっていると思う」
そう言うと、序美は自分の素直な気持ちを書いた、あのノートを取り出す。
愛は今にも逃げ出したくなったが、唇を噛み締め、耐えていた。
「あたしの気持ち、きいて」
序美はゆっくりとノートを読みはじめた。