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少女T  作者: ねぎ
10/30

第10話『平常心を保つ二人。』

先に待ち合わせ場所である駅の改札口に着いたのは序美だった。

周りをキョロキョロと見渡す。

愛はまだのようで。


「ふぅー…」


壁にもたれかかり、一息つく序美。

あと少し。

あと少しで愛が来る。

そうしたら、自分の正直な気持ちを伝える。


「……」


いつの間にか物思いにふけっていた。

そのとき。


「序美っ」


後ろから名前を呼ばれ、振り返る。

その声の主はもちろん。


「愛」


小走りでやって来る愛。

序美の傍まで来ると、少し呼吸を整える。


「……ごめんね、遅くなって」


そう言われて時間を確認すると、待ち合わせ時間から15分経っていた。

そんなに過ぎていた感覚がなかった序美は驚く。


「……序美?」


何も反応がない序美を心配する愛。


「……え?…あっ!だ、大丈夫大丈夫!あたし待つのは慣れてるから!」


序美は慌てて返事をする。

その笑顔は少々かたい。


「…じゃ、行こっか」


愛はコクリと頷く。

そして二人は、いつもの店へと向かった。

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