非日常
凡庸な一般市民の特殊性
日常の中の非日常
真面目なおっさんのズル
信号。
日本の交通整備をになう基本インフラ。
青はススメ、赤はトマレ。
そんな当たり前のルールに従ってきた善良な一般市民。
それが昨日までの俺。
今の俺は信号はみない、車と歩行者しかみえない。
きっかけは昨日、遂に100回目の赤信号に引っかかった。
入社から1週間の出来事だった。
俺のすむ町には信号が多すぎる。
車に対して数が多いのだ。
しかも、おれが通る信号はすべて赤い。
昨日は残業でイライラしていたところにいつも通りの赤信号。
我慢の限界だった。
初めて渡る赤信号は罪悪感と爽快感をくれた。
そして、これは初めて気づいたが、一つ無視すれば残りの信号はすべて青かった。
今日は信号はみない。
自転車のハンドルと前だけむいて出社した。
同僚からは「今日は早いな」といわれた。
いつもよりも仕事のペースがいい。
イライラがすくないからだろうか。
珍しく残業がなかった。
係長から飲みニケーションもない。
すっきりした気分で赤信号をわたる。
二つ目以降はやはり青色だった。
そして、家の目の前の交差点に差し掛かった。
今日はビールでも飲んでぐっすり眠ろうかな。
青色の交差点をわたる。
信号は赤色に変わった。
信号無視の車が通りすぎていく。
周りがうるさい。
身体が重い。
「だるいな」