恋心
おしゃれな服を着て
髪をすいてカールして
化粧水を塗る
鏡のなかの私は
それでもどこか田舎臭くて。
でも今日も
もしかしたら・・・
きっと昨日より素敵な
わたしになれるんじゃないかって。
女の子は
いつだって魔法みたいに
可愛くなれる
そう思うの。
いつまでも輝いて
お星さまのような自分。
透き通るような肌に
長い睫毛
きっとわたしも・・・
自分を慈しむ時間
穏やかに過ぎてゆく。
It likes sweet memories ...
『ねえ、◯◯くん。』
おもむろに私は彼に話しかけた。
彼は驚いて硬直している。
学校の廊下という雑踏の中。
私は後ろから彼の眼を
両手のひらで隠して
立っていた。
『誰だと思う?』
かれは動揺した様子で
わからない。とボソッと一言をこぼした。
名前の知らない誰かでは居たくなかった。
『私はかれん。』
『かれんだよ。』
私を見て。
『かれん?』
彼は手をほどいて振り返り
静かに私の眼を見た。
『わかったよ。』
彼が口角を上げてこっちを見ると
心臓がはやく動く。
顔は真っ赤かもしれない。
『名前で呼んで?』
そうわたしはせがんだ。
『かれん。・・・これでいい?』
『おぼえてくれた?』
『うん。』
私は幸せものなんだ。
世界が輝き出して
全てのことが愛しい。
もう名前も知らない誰かではない。
わたしときみのじかん。
刻み始めた時は
穏やかに過ぎてゆく。
Love...