Ⅷ.
久しぶりの投稿になります。短い。
「ありがとうございましたー!」
「やっと終わったの?空手部って意外と時間かかるね」
道場から出て帰ろうとした葉月に声をかけてきたのは、剣道部が終わって待っていたのであろう泉だった。
「だったら先に帰ってればよかったのに。待っててなんて頼んでないし」
「へぇ?そんなこというのはこの口かなー?」
「痛い痛い痛い!!」
葉月の頬を抓って伸ばす泉。
「うー…いつか顔の形変わるんじゃないのこれ…」
この馬鹿力、と頬を摩りながら恨めしそうな目で泉に視線をやる葉月。
「そこまで強くやってないよ。ほら、帰ろう」
「…はぁ…って、燕は?」
いつもは葉月が出てくるまで、泉が暇つぶしの相手に引き止めているのだが。
「今日は弥生ちゃんの部活が休みだから待っててもらって一緒に帰るってさ」
「ああ、そういえば部活休みだって言ってたっけ…ホント、燕って弥生好きだよね」
ぶっきらぼうで朴念仁ということを知らずに遠目からみれば、見た目も良くクールな性格に見えるだけの燕は、女子からモテる。
しかしそんな本人は、自分でも気づいていないが、泉や葉月と出会った小学生当初から、ずっと弥生を見ているのでほかの女子は眼中にない。
そして、これまた本人は知らぬ一面であるが、恐ろしい程に一途で嫉妬深い。
どんなに見目の良い女子から告白されても断るのは勿論、最悪、知らない相手だという理由で呼び出しに応じないこともあった。
確実に面識があるようなクラスメイトや隣のクラスの女子を知らないと言い出した時は泉もさすがに相手に同情せざるをえなかった。
要するに、一途故に興味がないのだとは分かるが、これほどまでとは、と頬が引きつったものだ。
もう一つの嫉妬深い、という一点は泉も相当なものであるためあまり言えないが。
「まぁ、弥生ちゃんも燕クンが好きなんだろうしいいんじゃないの?」
「そうなんだよねー。何であの二人付き合わないんだろうね」
「お互い両想いだって気づいてないし、今までの関係壊したくない、って感じかな。多分だけど」
「そういうものかぁー」
「葉月には分からないだろうねぇ」
「何か腹立つなぁ…まぁ、恋なんてしたことないし、そうだけどさ」
「…え、何本当に恋したことないの」
「何その反応」
「別にぃ~。ま、葉月はそのままでいいかもね」
へらりとした笑みを浮かべて泉が歩き出す。
「ちょ、待ってたの泉のくせに置いてくってアリ?!」
ぽかんとしていた葉月は、すぐに我に返って小走りに泉を追いかけはじめた。