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ウォータースライダー

 俺達が到着した巨大ウォータースライダーは、夢の国かよって程に人が並んでいる。俺達が列の一番後ろに並ぶと、俺達の前にいる人が俺達の方をチラッと見てその後にすごい速さでもう一度俺達の顔を見た。とても驚いたような表情をしている。

「こんにちは」

 俺は軽く会釈して挨拶をする。

「こ…国王様だ!! 前に入れてあげろ!!」

 するとざわざわとあたりがざわめいて、人が端に避けて一気にウォータースライダーまでの道が出来た。

 アニメやドラマなんかでしか見たこと無かった光景が、今目の前に広がっている。

「おぉ…」

 驚きのあまり何も言えない。例えば性格がイケメンな人なら「私を気にしないで並んでて下さい」とでもいうのだろう。でも俺は性格がイケメンどころか人見知りでコミュ障なので、言葉にならない言葉を出すのが限界だ。

 でも他の方々はこういう事は慣れているみたいで、「私たちの事は気にしないでくださーい」と言って最後尾に再び並んだ。

「こういう事ってしょっちゅうあるの? 今まで俺が出かけたときは無かったんだけど…」

「ないですよ、普段はリファスの服に存在感を薄くする魔法をかけてあるんで。今回は水着だから魔法がかかってないですけど」

「なるほど、トーカはなんでも知ってるな」

「なんでもは知らないわよ、知ってることだけ」

 ……知ってるのか!! 何でだ!?この世界にも委員長がいるのか?

「リファスはやっぱりよく勉強してますね」

 どういう事…? と聞こうとしたけど、トーカはシャルルと話し初めてしまった。

 なんでアニメのセリフを言っただけでよく勉強しているという事になるんだ? 俺自身この世界でアニメや漫画を見たことはないし、聞いたこともない。

 とりあえずお城に戻ったら資料を引っ張り出して調べてみるか。俺自身興味もあるからな。


 そしてなんやかんやで二時間程並んだ。プール入るのに最適な気温でだからと言って、濡れた体のまま二時間も水着で並んだら流石に寒くなる。

 何故かトーカ達は体を拭いてあったみたいだし。

 そうだ、確か俺は火を出せたはず。というわけで左手の上に小さく火を出して、暖まる事にした。

 その後は三十分程並んでようやく先頭になった。

「はいじゃあ次のか…た………」

 係員の健康的に日焼けした女性の声で俺は前に進む。係員の人は俺に気づいたのか、五秒程フリーズした。

「あわわわわわわわわわわわわわ…! り…リファス様! よくお越しくだされいました。是非これを滑ってみてくれださい」

「落ち着いて、言葉おかしいから」

 係員の人は大きく二回程深呼吸した。

「申し訳ありません。三人まで同時に滑れますので、ではどうぞ」

 どうやら落ち着いたらしい係員さんの言う通りに順番を決めてから滑る。最初は俺、シャルル、サキナだ。順番はじゃんけんで決めた。

 ウォータースライダーの入口のところに座ってみると、外から見るよりも長く大きく見えた。それにうねうねとうねっている。

 これは…結構怖いかも。自分のタイミングで行きたい。……なんて考えていると必ず後ろから―――

 ドン!

「やっぱりィィィィィィィ!!!」

 誰かに背中を押された。ちくしょう、多分リニアだな。あのニセメイドめ。

 とんでもない速さで変わっていく景色を理解できない。

「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇいィィィィィイヤァァァァァ!!」

 速いという事しか分からない。それに一向に終わりに着かない。



「ぜぇぜぇ……フン!」

 どのくらい滑ってたのか分からないけど、気が付いたらザパァーンとプールの中に飛び込んでいた。

 ゆっくりと立ち上がる。鼻の中に水が入ったために外に出す。耳にも入ってしまったためにケンケンをして水を出す。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぶぉぉぉぉ!!」

 サキナが絶叫しながら落ちてきた。

「ぶっはぁぁぁ! やべぇなこれ!」

 サキナさんはとてもテンションが上がっているようです。

 因みに俺はサキナの絶叫する声が聞こえてきた辺りには、すでにプールから上がっていました。

 サキナは俺に気づくと、少し恥ずかしそうにしながらプールから上がって俺の隣に来た。

「シャルルはまだですか?」

「来てないな……来た」


 少し遅れてシャルルが滑ってきた。

「ひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! いぇぇぇぇぇい!!」

 シャルルさんもとてもテンションが上がっているようです。


 その後はシャルルもプールから上がって、三人を待った。

 リニアとトーカはテンションが上がっていたが、優愛はかなりビビッていて終始無言だった。流石に優愛になんて言ったらいいか分からなかった。なのでジュース買ってあげた。


 他のみんなにも買ってあげて、俺はひとまずジニアの様子を見に戻る。


「お、リファス様」

「どうだ? 調子は?」

「いい感じです。流石に高かっただけありますね」

 ジニアが手にしているのはカメラだ。見た目は普通のデジカメ、でもなんとステルス機能搭載だ。周りの景色に紛れ込むカメラの為に、持っていても怪しまれない。

 このカメラで何をしているかって? 勿論美女たちの水着を(無断で)カメラに収めてるのさ! (※盗撮は犯罪です。絶対にやってはいけません。)

 美女ってうちのメイドとか正室さんとか側室さんとかですよ。他人は撮ってません。


 そのあとはもう一度ジニアに荷物番を頼んでからみんなの元へ戻った。

 そしてあたりが暗くなるまでみんなで遊んだ。

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