プール到着
天気は快晴気温は少し高く二十九度、そして現在午後一時。本日は国王誕生日です。
これから街にある屋内プールに行くために俺とジニアは先に車に乗り込んでいる。因みにジニアは最初隠れて連れて行くつもりだった。でもめんどくさくなってしまったので、ジニアは荷物番にするという条件で女性陣の許可をいただいた。
ジニアはテンションが今まで見たこと無いくらいに上がっていて、車の運転も自分からすると言い出した。
「ジニア、分かってるな?」
「勿論です。ちゃんと持ってきてますし、ステルス機能搭載です」
「ならよし」
因みに今回行く屋内プールは国内一の規模で、中にある巨大ウォータースライダーや巨大流れるプール、水中アトラクションなどを売りにしている。勿論シャワーと温泉完備だ。そして同じ敷地内には大きなショッピングモールがあり、水着のまま食事やショッピングが楽しめる。
食事に関してはお手軽に食べれる軽食ものから、グルメな人も満足な高級料理まである。大人だけでなく学生の人にも優しいお値段の食事もあって、プールには入らずに食事を楽しみにくるだけの人も少なくない。
この屋内プールは非常に高い評価を受けており、国外からも沢山のお客さんがやってくる。中には俺達のような王族の人などもやってくることがある。そのために防犯には非常に強い力を入れているらしい。詳しくは俺も分からないが、最悪の場合麻酔弾などで眠らされることもあるらしい。が、あくまでうわさである。
俺とジニアが車に乗り込んでから十五分くらいして女性陣が準備を終えて、車に乗ってきた。みんないつもよりもラフな格好をしていていつものように固い感じがしない。鞄をトランクに入れて、ジニアが全員乗ってるのを確認してから出発する。屋内プールは車でここから三十分くらいで到着する。
因みにずっとあやふやにしてきたが、国王のお城は国の中心部にある。サニア王国は現在二十五の州に分かれていて、お城があるミスティリア州がこの国の首都と言う事になっている。これまた余談だがサニア王国の国王は建国の時から代々ミスティリア家が勤めている為に、この国の首都の名前はミスティリア家の名前からとっている。忘れてる人もいると思うために言っておくが、俺のこの世界での名前は『ミスティリア・アポロン・リファス』である。元の世界での本名は『志木春也』だ。
特に何事もなく屋内プールに到着した。チケットを購入してから、入口から中に入って行く。係員の人には事前に国王がやってくると言ってあるので、この日はいつも以上に警備が厳重になっているらしい。
まずは水着に着替えるために俺達は男女それぞれの更衣室に向かった。
ここはセキリュティシステムには魔法アイテムを使用しているらしい。
魔法アイテムとは防犯から人々の生活を支える物まであって多種多様につくられている。その名の通り魔法を簡略化したアイテムだ。例えばだが、考えるだけで体を動かすことが出来るようになる魔法アイテムは、自分で体を動かすのが困難なお年寄りが使う事が多い。
この屋内プールではどんな魔法アイテムを使用しているかは世間には公開されていない。俺は少しは知っているが。
魔法ばかりで忘れがちだが、この世界では科学も非常に発展している。魔法アイテムとは、魔法と科学が協力してできたものだ。そのシステムは俺は専門に勉強してないからよくわからないが、リオックさんはかなり詳しく知ってるはずだ。何故ならこの魔法アイテムの第一人者は彼だから。
更衣室は男の方はすべて個室に分かれている。多分女子も同じようなつくりだろう。個室なだけに着替える時は非常に気楽だ。俺は持ってきた水着に着替える。自分で言うのもなんだが、俺はなかなかカッコイイボディだと思う。
腹筋だってムキムキってわけではないが一応割れているし、余分な贅肉はあまりない。
俺が今着ている水着はボクサーパンツ型で黒を基調とし、白でメーカーの模様が入っている。向こうの世界でのプ○マのような模様であるが、この世界にいるキュウビという動物のシルエットをしている。
俺はゴーグルと大き目のバスタオルを持って更衣室から出て、みんなを待つ。どうやら俺が一番最初に着替え終わったようだ。
さぁ早く出てこい女性陣。キミ達の水着が今年一番の楽しみなんですから。
俺が出てきてから二、三分程して出てきたのは、ジニアだった。やはり楽しみは最後までとっておけってことか。
ジニアは青地に白で何か文字が書いてある、予想外のブーメラン型の水着だ。
「おや、まだリファス様だけでしたか」
ジニアは出てきて早々に残念そうにそう言った。気持ちはわかるけど少しは隠したらどうだ?
「お前ブーメランかよ。恥ずかしくないの?」
俺は恥ずかしくてブーメラン型の水着なんて着れない。絶対に着たくない。
「パンツじゃないから恥ずかしくないのです!」
どっかで聞いたようなセリフだが、まぁいいだろ。
「ブーメランカッコイイじゃないですか? リファス様は着れないんですか?」
「ムリダナ」
俺は両手の人差し指だけ立てて、それをクロスさせてそう言った。
俺達はこうやって話しているけどやっぱりお互いどうしても気になってしまう。俺達はチラチラと更衣室の出口に視線を送ってしまう。
早く出てこい。キミ達のその水着が見たいんだ。あ、でもその前にちゃんと確認しておかなければ。
「ちゃんと持ってきてるか?」
「勿論です」
なら大丈夫だ。俺が計画していることはもしかしたら犯罪かもしれない。最低かもしれないが、もしもの時はジニアに全部の責任を押し付けられる。計画に抜かりはない。
任せたぞ、ジニア。




