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息抜きパーティー

 俺達はその場から動けなかった。

「ん? トンボか」

 何故か俺達を見てニヤッと不気味に笑うジニアを見て、俺はこれ以上はもう無理だと思った。俺は無理やりに変身魔法を解いて、光の速さで土下座する。下がコンクリートで少し痛かったが関係ない。きっとこれからもっとひどい目にあうのだから。

 土下座しているためによく見えないが、シャルルも魔法を解いて、土下座したのだろう。「すいませんでした」と言う震えた声が聞こえてきた。

 因みに変身といたら裸っていうお決まりのオチが待ってるのかと思っていたが、俺は裸ではなくジャージ姿だった。

「二人とも、少々お待ち下さい」

 声が妙に落ち着いている。それが逆に怖い。

 俺達は無言で待つ、待ち続ける。多分三分くらいだろう、その場で正座しながら俺達は待った。


 この後のこと聞きたい…? 個人的にはあんま説明したくないんだよねぇ。だって多分簡単に想像できると思うから。

 ……うん。じゃあ簡単に説明するけど四時間説教された後、一週間出禁くらいました。出禁て敷地内からじゃなくて城内からです。

 因みに言うと廊下と部屋と玄関に監視カメラがつきました。理由は表向きは防犯のため、でも本当は俺達(主に俺)が勝手に仕事を抜け出さないため。

 いや元々引きこもりのニートの俺がこんな仕事漬けの毎日でよく頑張ったよ。なんかやめるみたいな事言ったけど、やめないです。

 この一週間は日課のお昼寝も我慢して仕事しました。でも時々シャルルやトーカが様子見にきてくれていたので、それなりに楽しかった。

 この一週間で俺は勿論逃げ出すようなことはしなかった。だってそんな事したらまた何か罰をくらいそうだったから。

 大体出禁になって三日目くらいだったかな。トイレで自己処理してたらリニアが俺の事を探して男子トイレにまで侵入してきた。名前を呼ばれた時はとんでもなく焦ったが、止まらなかった。とりあえず便秘ってごまかしたから帰っていったけど、フツーメイドでもトイレにまで入ってこないよな? あ、あいつフツーのメイドじゃなかった。という自問自答をした。


 なんだかんだで出禁の一週間は過ぎた。別に説明するほど面白いこともなかった一週間でした。いや説明しちゃったけど。


 とりあえず出禁の期間が過ぎても外出は控えた。街に行こうとしたらジニアにしつこく質問攻めされたので、控えた。

 というわけで室内で遊びまくった。シャルルとサキナとトーカとトランスした。どこかの金髪美少女の殺し屋みたいに体の一部が変化するわけじゃないですよ。俺の元いた世界で言う『トランプ』のことだ。

 俺達はババ抜きをした。俺がルールを教えて、みんながルールを把握できたところでスタートだ。ババ抜きをやるとお決まりの、びっくりするぐらい顔に出るやつが見れると思っていた。したら案の定見れた。誰でしょう? シャルルとトーカです。俺→トーカ→サキナ→シャルルの順番で座っていたのだが、俺がシャルルの持っているカードの一枚を持つととても余裕そうな表情をしていた。でも俺が別のカードに触れると一気に顔が青ざめ、たらたらと汗を流し、首を小刻みに横に震わせる。別に罰ゲームを設定したわけではないのに…と思いつつも青ざめてる時にカードを抜いた。トーカも似たようなものだった流石にシャルル程分かりやすくなかったが、恐らくババの時は梅干を食べた時のような顔になっていた。つまり唇を変に飛び出させ、目は半開きのような状態に。もはや顔芸だ。

 そんな二人とは違ってサキナは素晴らしいポーカーフェイスだ。顔色一つ変えずにババを引き、ババを手放す。横二人がアホみたいにわかりやすいのですぐ分かってしまうが。

 五回程やったが負けるのはシャルルかトーカだった。大体サキナが最初に抜けて俺が二番目、そして最後に泥仕合。先に抜けた俺とサキナはクスクスと笑いながら泥仕合を眺める。それも三回目あたりから飽きてきたので、俺とサキナでもう一組トランスを取り出しスピードをした。これはとてもいい勝負で四回やって二勝二敗と実力は拮抗していた。

 たまにはこんなまったりした時間もいいもんだなぁとか思いつつ、楽しく遊んでいた。

 途中ジニアとリニア、お姉さまも合流して遊んだ。

 お姉さまがどこからか出してきた『成り上がりゲーム』なるもので遊んだ。すごく簡単に言うと人生ゲームだ。でもマスに書いてあることは流石異世界と言った感じで、例えば『ドラゴンが街に進撃してきた。手元に魔法カードが五枚以上あれば撃退、それ以下なら今の家と自分の財産の半分を失う』とか。人生ゲームでも、どれになるかによってその後の命運が左右されるであろう職業。元の世界のものでは教師や医者、政治家などだが、こっちのものの職業マスに書いてあるのはどれも不思議な職業ばかりだ。例えば退魔師(たいまし)滅竜戦士(ドラグナー)魔法医者(まほうドクター)、国王、十賢大魔道、花屋、などあった。花屋だけ普通すぎるが、それは置いておこう。そもそも退魔師や滅竜戦士とはなんなのか…? 漫画や小説の中のじゃあるまいし。実際にある職業なのか? そもそもそんな異世界的なゲームの中でなんで花屋があるんだよ。そして何故花屋というチョイスなのか? 他に教師とかじゃダメなのか? 一度製作者に問いただしてみたい。

 こういったゲームをやると絶対に一人は借金まみれになるのがお決まりだが、今回もやっぱりそんな奴がいた。さて誰でしょう? 

 正解は俺でした。最終的に家も職も失い、借金だらけで路頭に迷い、開拓地行きになりました。

 因みに最初にゴールしたのはお姉さまでした。次にサキナ、そしてシャルル、ジニア、トーカ、リニアの順だ。

 現実で国王という立場にいるからその報いなのか? 

 そしていつの間にか日も暮れていて、珍しくジニアから「もう遊んじゃいましょー!」という言葉が出てきたので素直に甘えることにした。もう十分に遊んでるじゃん、というツッコミは入れずに。勿論お酒ものんだ。

 ジニアとリニアが酔った勢いで話してくれたのだが、二人とも仕事はあんまり好きじゃないらしい。それでもメイド長と執事長という立場から真面目にふるまうようにしているみたいだ。でも思い返してみると二人とも真面目じゃない部分もだいぶ出てきてた気がする。でもそれが二人の良いところであり、個性だと俺は思う。

 途中から優愛も合流して、全員が出来上がっていたために優愛にも無理やり飲ませた。優愛が側室になったときのパーティー以上に飲ませた。そしたら優愛は脱いだ。流石に下着になったところで女性陣が止めたが、男性陣は前かがみです。本当にありがとうございます。


 結局はその後はみんないつの間にか眠ってしまって、気が付いた時には朝になっていた。

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