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誰か説明を・・・・・・

 俺は初老の男性に手を引かれて立ち上がって周りを見渡してみる。

「リファス様、生きてたんですか!」

 涙を流しながら話す初老の男性の声を右から左へ受け流しながら、頭をフル回転させて状況を理解しようとするが一割も理解できない。

「あの…だ…誰ですか?」

 俺は勇気を出して一年のブランクがあるにも関わらずに頑張って他人に話しかけてみた。

「リファス様!? わ…私を…覚えてないんですか!?」

 だからそのリファス様って誰だよ、俺は志木春也(しきはるや)って名前だっつーの。なんて声に出して言えるわけもなく、ただあたふたするだけの俺である。

「私のことは覚えてますよね!?」

 人ごみをかき分けて出てきた女性は、桜色のストレートの長い髪と大きな胸をゆらしながら水色のきれいなドレスを着た女性で、俺に涙ながらに抱き着いてきて見つめてきた。少しつりあがった目と細い眉、そして高めの鼻で右目の下に小さなほくろがある。俺の方が身長が高いようで上目づかいされる形になった。

 勿論、十八歳童貞である俺には破壊力抜群で、それだけで異常なほどテンパってしまう。

「私です! トーカです!」

「…し……知らない…」

 俺がそう言った瞬間、その女性は膝から崩れ落ちて両手で顔を覆って泣き出してしまった。


 なんだかよくわからないけど女の子を泣かせてしまったぞ。これは流石にまずいんじゃないか? もう一度頭をフル回転させてみるけどこの状況をどうにかする手段なんか思い浮かばなかった。

 すると女性は立ち上がってから涙を拭いて口を開いた。

「でも、生きてただけで私は嬉しいのです。絶対に思い出させてみせます」

 そう言って女性は俺の方に歩いてきていきなり抱き着いてきた。

「ね、私の愛しいリファス」

 目元を赤くして涙をためながらの笑顔は破壊力抜群で、初めて会ったのに惚れてしまいそうになった。俺の女性に対する免疫がなさすぎるだけかも知れないが。

「ていうか、ここどこ?」

 俺は独り言のつもりでボソッと呟いたのだが、トーカと名乗った女性に聞こえてしまった。

「本当に…何にも覚えてないんですね。とりあえずお屋敷に戻って話しましょう」



 俺は言われるがまま勢いに乗せられてそのお屋敷にまで連れてかれた。

 そこは石油王が何人住んでるのかと思うくらいでかくて、屋敷と言うよりお城って感じだった。

 中には沢山のメイドさんがいて、夢にまでみた「お帰りなさいませ、ご主人様」をリアルメイドから生で聞くことが出来た。

「ここがあなたのお屋敷ですよ、何か思い出せましたか?」

 さっきの初老の男性が話しかけてきてくれた。

「だから思い出すも、ここにくるのが初めてなんだってば」

 何とかそう言うとその男性は残念そうに溜息ついて「覚えておりませんか…」とつぶやいてどこかに行ってしまった。

「ねぇリファス、あなたはあの時死んでしまったはずよ。リニアにもちゃんと調べてもらって死亡が確認されたの。でも、よく生きててくれました」

 トーカと名乗った女性は悲しさと嬉しさが混ざったような目で俺の方を見上げてきた。

「トーカは…トーカは…例え記憶が無くても永遠にあなたを愛してます…」

 その言葉が俺に向かって言われたものではないと分かっていても、そんなことを言われて俺なんかがしっかりと喋れるはずもない。

「……き…記憶はしっかりとあ…ある」

「記憶が混濁してるのですね、分かりました。私が思い出させてあげます。私の体で…」

 うぉぉぉぉぉ!! 何ですかこれ。状況が理解できてないのにいきなりエロイベント突入ですか!?

 俺が妄想にふけっていると、ゴンという鈍い音がして二人の女性がトーカさんの後ろに立っていた。

「何してんの、ちゃんと説明しなさいな」

「そうよ、正室だからって調子に乗らないでください」

 正室だと……!? 今正室って言葉が聞こえたぞ。つまり奥さん、妻、嫁、家内。既婚なのか俺は?

「とりあえず部屋に行きましょう」

 俺は言われるがまま寝室らしい場所に連れてかれて、ベッドの上に座らされた。

 トーカさんと二人の女性もベッドの上に座って俺の方を見つめてきた。

 勿論俺は美女三人を見つめ返すなんてことは出来るはずなく、視線を少し横にずらす。

「リファス様…よく生きててくださいました」

「ななななな!」

 ポニーテールでまとめた金色のきれいな髪に控えめな胸に、僅かに垂れている目に桜色の健康的な唇のおっとりした感じの女性にいきなり抱き着かれた。

 まままままずい! このままでは春也の春也が元気になってしまう! この全く理解できない状況でも大きくなってしまう。

「ゴホン!」

 後ろにいる肩までの短めの水色の髪をしたトーカさん程ではないが立派な胸を持った少しつりあがった目をした女性がわざとらしく咳をした。この女性は特徴と言った特徴が見つからないものの、かなり高レベルで整っている。しいて言うなら真面目そうな雰囲気をしている。

「抱き着く前に、色々と聞くことがあるんじゃないですか?」

 そう言ってその女性はどこからか取り出したメモとペンを持って、これまたどこからか取り出した水色の縁の眼鏡をかけて俺の方を見つめてきた。

「まずは、あなたのお名前は?」

「し…志木春也」

 俺はその質問に目線を逸らしたまま答えた。

「ここがどこだかわかりますか?」

「わからない」

「ここにいる私たちの三人の中で一人でも見覚えがある人はいますか?」

「いない」

「自分の地位は覚えてますか?」

「わ…わからない」

「あなたがさっきまでどこにいたか覚えてますか?」

「えぇっと……家の部屋のベッドの上」

 なんだか尋問をされているみたいだ。

 その女性はずっとメモを取りながら俺に尋問をしていた。

 ふぅぅと溜息をついてから「ズバリ! 記憶がおかしくなってるでしょう!」と自信満々に言った。

 ま◯お君みたいだ…。

「多分先日のラファスお姉さまをかばって死んでしまった時の影響でしょう…」


 ――――――やっぱり俺って死人だったのか。会話の流れからなんとなくそんな気がしてましたけどね。ご愁傷様です、リファス様。

「記憶がないのですか……自己紹介が必要ですか?」

 金髪の女性が他の二人に聞いたかと思ったのだが、二人が答える前に自己紹介を始めた。

「私はリファス様の第二側室のシャルルです。魔法はあまり得意ではありませんがその分料理が得意です」

 そ…側室!? 本当にどうゆうこと?

「私はリファス様の第一側室、サキナと申します。私は魔法よりも剣術が得意です」

 青髪の女性は腰にさしていた剣を抜くと目の高さあたりまで持っていって、高く構えた。

「そして私がリファス様の、ダーリンの正室であるトーカです。得意なのはダーリンを愛する事です」

 トーカさんは初めて会った時とは全く違った印象の自己紹介をなさった。


 落ち着け俺。ついさっきまで童貞引きこもりニートだったのに何故かいきなり美人な正室と側室が二人も出来た。だめだ、理解がおいつかない。ただ、夢にまでみたハーレムになってるってことはわかった。

 いや待てよ…? これは夢か、何故その可能性を考えなかった。だとしたら俺はだいぶ末期だな、童貞をこじらせたか。

 俺はこういうときの対処法として一般的な方法として、自分の頬をつねってみた。

 うん、普通に痛い。

「もしかして記憶が正常でないってことは魔法も使えないんですか…?」

 いつの間にか俺の顔を覗き込んでたトーカさんに聞かれてお決まりのように目を逸らしてしまった。

 魔法も何もまだ十八なんだよね俺。あと十二年時間があるからまだ平気…のはず。

「リファス様が魔法を使えない……?」

「大問題ですよこれは。王国、いや大陸にとって」

 側室のお二人は何をおっしゃってるんですか。


 とゆうかそっちで話を進めないで誰か俺にこの状況してください。お願いします。

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