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目が覚めたら

 誰が何のためにそんな事を言ったのか知らないけど、三十歳を過ぎても童貞だと魔法が使えるようになるという。勿論実際に使えるようになるわけではなく、三十歳にもなって女性経験がない人のことをただバカにしているだけってことはこのネタを知ってる人なら誰でも知っている。

 

 でも、もし魔法が使えたら――――――


「んなことあるわけないのになー」

 俺は目の前にあるパソコンから目を離して、伸びをして誰に言うでもなく呟いた。

 透明になって覗きをしたいとか、モテモテになりたいとかそう言う不純な目的のために魔法を使いたいと思う男が殆どだろう。俺だって出来る事ならこんなニート生活から脱出してモテモテになりたい。でももう一年以上家族以外とは会話をしていない。家族とだって一週間に一度話すかどうかだ。

 そんな俺がイケメンになってモテモテになりたいなんて雲を掴むような話だ。

「メラ○ーマ」

 イスから立ち上がって適当に構えをとって、とりあえず知っている魔法を言ってみても何が起きるわけでもなく、自分の声が部屋に空しく響くだけ。

「へ~んしん!」

 とか言ってみても変身なんかできずに、机の上からボールペンがカタンと落ちただけだ。さっきちょっとぶつかったかな。

 俺はさっきまで座ってたイスに座って再びパソコンの画面を眺めてみる。

 やっぱ一番使ってみたいのは透明化の魔法かな、いや魔法が使えなくても悪◯の実食べれたらいいや。元々カナヅチだし今の俺から変われるなら何でもいいや。二次元に行けるのも面白そうだ。二次元大好きだし。

 勿論こんな事思うだけで実際は何にも変えるための努力なんてしてないし、したくもない。



 もう三時か、壁にかけてある時計に目をやってからなんとなくそう思った。ニートだから別に時間なんて関係ないけどちょっと眠くなってきた。

 俺はベッドに横になってからいつもの体勢で目を閉じた。

 いつも俺は寝る時、あおむけで腹あたりで両手を組んでいる。死人みたいとか棺桶に入ってるみたいだとか思われるかもしれないけど、一番この格好が落ち着くんだ。いちいち寝る時の格好に文句をつけるな。誰も文句を言ってないけど。




 ―――なんだ? 遠くからすすり泣く声が聞こえる。

 泣く声が聞こえるなんてなんか嫌な夢だな。夢の中でくらい自分の好きなようにさせろよ。

 まったく…うるさいな……延々とすすり泣く声が聞こえる夢なんてつまらないんだよ。

 もう起きようかな、こんな夢やだし。でも夢って目覚めようと思って目覚められるものじゃないしな、少なくとも俺は。


 ガタン!


 体がビクンとなって目が覚めた。

 こういう目覚め方するとその後二度寝できないんだよな……

 近くにあるはずの携帯を取ろうと思って、おいたハズのとこに手を伸ばすけどそこは壁だった。

 逆か、と思って反対側に手を伸ばしてみるけどそこも壁だった。

 俺の部屋ってこんなに狭くなかったぞ…

 俺はおかしいと思って目を開けて首を左右に動かしてみると思った以上に狭くて、腕を上げようと思ったがすぐにガンと音がして上がらなかった。


 なにこれ…? 閉じ込められてんの?

 とりあえず色々とそこらじゅうをとたたいてみた。

 すると何故か遠くから声がしたかと思うとどんどんその声が近くなってきた。その声は複数で男性のものと女性のものがいくつも聞こえてきた。

 するとガツンと大きな音がしたかと思うと一筋の光が視界に入ってきて、俺はあまりの眩しさのあまり手を額あたりに持ってきて目を閉じてしまった。

「リファス様が生きておられるぞ!」

 初老の男性と思われる声がしたかと思うと数々の老若男女の顔が俺のことを覗き込むように見てきた。

「な…なにこれ」

 無意識のうちに出たその言葉に数々の人々が何故か歓喜の声を上げていた。


 ……だ…誰かこの状況を説明してくれ……

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