the answer of the question
――病院の一室で。
誰かのすすり泣く声で少年は目を覚ました。首をめぐらせると、両親が泣いていた。
「どうしたの、パパ、ママ」
少年の声に両親は驚き、医者を呼びに行った。
「実に信じられん」
医者は少年に向かっていった。
「確かに君はもう助からんところにいた。だが今はどうだ?元気で歩くこともできる。
何か奇跡でも起こったか……」
奇跡。その言葉を聞いて少年は、さっきまでのことを思い出した。
「お医者さん、少し、外出してきてもいいですか」
医者は少し苦い顔をしたが、不思議なことに、看護師と一緒ならという条件付きで許してくれた。
念のためと車椅子に乗せたがる看護師をとどめ、少年は歩いて事故現場に向かった。
途中で花屋により、お墓に手向ける花を買う。
看護師は不審な顔をしたが、それには黙っていた。
墓場で、少年は去年亡くなった女性の墓石を探したが、見つからない。
その時、木の陰から、一人の女性が出てきた。
白いスカートに、麦わら帽子をかぶった少女は、少年を認めると、微笑んだ。
「あたし、瑠香っていうの。あなたは」
「僕は、海斗だよ」
「ありがとう」
少女のこの言葉で、少年にはすべてを理解することができた。
「君が昨日の子なんだね」
「ええ」
そして二人は抱き合った。
あまりにも遅い帰りを心配した看護師が迎えに来るまで。