the girl and woman
少年が去った後、少女は青年に向かって当り散らした。といっても殴っても全くこたえた様子はなく、青年はただじっと少女を見て立ち止まっていた。
しばらくそうしていただろうか。急に青年は少女を引っ張った。
少女は少し抵抗したが、男の力には勝てず、なされるがままになった。
また少女は青年にあたろうと思ったが、青年に突っつかれた方をみると、とても美しい霊が墓場の中央に立っていた。それが立っているだけで、墓場という場所がまるでお城にでもなったかのように。
その霊は墓場を見回すと、少女に向かって微笑みかけた。
少女はその霊に近づいていった。霊は少女にとある質問を投げかけた。少女は、それにこたえ、霊の顔を盗み見た。
それは、かつてないほどやさしく微笑み、少女の手を取った。
少女は抵抗するのも忘れ、霊の先導で踊りだした。緩やかで優雅なワルツを。
先ほど少女たちを嘲笑していた人たちも、いつの間にか、彼女たちを称賛していた。
どのくらいそうしていただろうか。
――コケコッコー。
鶏の声が鳴り響き、霊は少女を優しく元の場所に戻した。
それと同時に墓場でうごめいていた者たちはすべて一瞬にして消え去った。
その一瞬後、太陽が顔をだし、あたりを明るく照らし出した。




