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 今宵も彼は、宵姫の元へ訪れる。宵闇の館――そう呼ばれ、周辺の民にも恐れられる、彼女のためだけの屋敷へ。

 日中はそれでも、最低限の身の回りの世話をする女房が数人出入りするものの、山の稜線が赤く染まり、その赤が濃い闇に消えいく頃には、屋敷に近づく者は誰もいない。まだ移り住んでまもない頃には、数人の兵と女房が交代で残ってくれていたが、近頃ではそれさえもなく、日が暮れる前に麓の屋敷へと帰ってしまうようになった。

 いまやすっかり周知の事実となった状況を彼も知っているからこそ、以前のように頭の角を隠すことも、髪の色を黒く変えてやってくることもなくなった。

 月光に照り映えるような美しき白、そのままだ。天を駆けたのか、それとも野山を風のごとく突っ切ったのか、彼の足取りを宵姫は知らない。訊ねても答えてくれないことは、話題に上らせなくなった。ただ彼は訪れ、自分は乞われるままに『語り』を与えてやるだけ――。

「また来たの、蛍鬼けいき

 かすかな風だけを供に、御簾を潜り上げてやってきた彼を、宵姫は穏やかな微笑で迎えた。蛍鬼、と呼ばれた男のほうも、慣れた様子で肩をすくめてみせるだけだ。月明かりを集めたような銀の着物も、見る者を釘付けにせずにはおけない風貌も出会った頃のままに、蛍鬼はどかりと腰を下ろす。壁代を背に、脇息に肘をついてみせるなど、くつろいだ体勢は人間と同じように見えた。

「秋は食いものがうまいと人間たちも言うのであろう。それは、我ら『語り喰い』とて同じこと。格段お前の澄んだ声が聞きたくなる季節だからな」

 蛍鬼は、自分のことを決して鬼だとは呼ばない。けれど、宵姫にとっては鬼以外の何者でもなかった。頭に角を生やした存在は、他に何と呼んでいいものか、知らないからだ。

「まあ、季節になど係わりなくやってくるくせに。私の声が澄んでいるかどうかは別として――つくづく不思議だわ。『語り』なんか食べるだけで生きていけるなんて」

 本音を言えば不思議なのはそれだけに留まらず、彼の能力や素性など、全てが謎に満ちていた。けれど、聞いたところで蛍鬼が答えをくれないこともわかりきっていた。

「そんなことを言うなら、食物などを必要とする人間のほうがわしには不思議だな。一日に二度もの食事、などという面倒くさい真似をして、よくも毎日暮らせるものだ」

「あら、あなたたちのように日に一度――いいえ、月に一度でも『食事』を取れば十分だというほうが異常なのよ。動物も魚も人間も、この世に生きるものは全て食物を必要としているのだから、そちらのほうが自然に決まっているわ」

 唇をわずかにとがらせて反論すると、蛍鬼はニヤリと口角を上げる。端正な顔の裏に潜む性格を知った上では、実に彼らしい表情だとわかる。

「自然、か。ならばわしは自然に反した存在であるのだろうな。だが、生憎我ら語り喰いは、人間が生まれたと同時に生まれ、光と影のように相反しながらも、共に歩んできた。人の語りなくして、我らは生きていけぬからな」

「人の……。楽器の音ではだめなの? ほら、初めて会ったあの夜、私の琴の音に惹かれて来たと言ったわ」

「琴――そうだな。お前の爪弾く音はわしの足を止めるにふさわしい価値はあった。しかし、音だけではわしの腹は満足せん」

 鏡台の前に今も置かれた宵姫の琴をちらりと見て、蛍鬼は渋面を作る。面白がるように人間の表情を真似てみせるのがおかしくて、ついくすくすと笑ってしまう。

 竜舌に施された蒔絵がところどころはげかけているのを瞳に映して、宵姫の微笑がややかげった。そんな些細な表情の変化に気づいているのかどうなのか、飄々とした顔で蛍鬼は続ける。

「笑い声も悪くはない。だが、やはり美味なるは――お前の語る物語だな」

「物語、そうね……けれどあなたが訪れ始めてもう三年。私が幼い頃から聞き集めたお話の類は、全部話してしまったわ」

 陽光の下に出られない自分が、薄暗い部屋の中でひたすら読み進めた、また時には女房たちに語り聞かせてもらった物語――幼い頃は退屈しのぎでしかなかったそれが、自分に許された唯一の楽しみであることに気づいたのは、いつからだっただろう。

 まぶしい太陽の光にさらされると、皮膚がたちまち赤く腫れあがり、熱を持つ。皮膚だけに留まらず、すぐに全身が熱くなり、何日も床に臥すことになる。幼い頃から幾度も苦しんだ挙句、それが自分だけの病であることを知った。

 何人もの祈祷師が訪れ、香を焚き、まじないを口にしても、誰も癒すことのできない呪われた病。物の怪に取り付かれたのだと後ろ指をさされ、そして恐れられるようになった。御簾を下ろし、壁代の前に几帳を幾つも立て、昼間でも日の光が届かないようにすることでやっと苦しみは去った。周りにいた人々と一緒に――。

 結果、一人で過ごす時間は果てしなく長く、物語の世界に遊ぶことしかできなくなったのだ。夜、月明かりの下で外に出ることだけを除いて。

 だから、人は自分を宵姫と呼んだ。太陽が沈んでからしか自由に過ごせぬ、呪われた姫、そして屋敷。 こんな場所にやってくるのは、この物好きな鬼しかいない。

「同じ話でも喰えぬことはないが――そうだな、ならばお前が語りを紡いでもよいぞ」

「私が、語りを……?」

 問いかけると、蛍鬼は造作もないこと、とばかりに頷く。

 御簾を上げた部屋には月光が満ちており、燈台の火など必要がないくらいに明るい。太陽とは違う優しい明るさは、宵姫の透き通るような肌を浮き立たせた。

「そうだ。思い浮かんだままに語ればよい。初めて会った時、お前が琴を爪弾いていたように」

「琴を――でも、物語はただの音とは違うわ」

「何が違うものか。美しいもの、優しいもの、清らかなもの、はかなきもの、憎らしいもの……幾多の音を重ね合わせ、爪弾くのと同じこと。お前の描く物語とはどんなものか、わしは聞いてみたい」

 喰ってみたい、と直接言わなかったのは蛍鬼のせめてもの気遣いなのだろうか。この鬼にそんな感情があるとは思えないものの、覗き込んでくる萌黄の瞳は穏やかだった。

「……わかったわ。どうせ、そうでもしないと帰るつもりもないのでしょう? なら、やってみましょう。ただあなたの舌を満足させられるかどうかはわからないわよ?」

「わしはもともと雑食だからな」

 肩をすくめ、笑ってみせる。その動作で流れる白滝のような長髪が揺れ、銀の衣が美しくきらめいた。夜の色をした肌、頭上に際立つ漆黒の角、人の物ではあり得ない萌黄の――蛍の光を宿した瞳。全てが尋常ではないというのに、もはや動じることなど忘れた自分に苦笑して、宵姫は首をわずかに傾けた。さらさらと肩から落ちたぬばたまの髪が、しとやかな表着の上で遊んでいる。

「遥か昔――この世が生まれる前のお話よ。世界はただ闇の固まりで、そこには天の神様だけがいらっしゃった。けれどもある時寂しく思われた天の神様が、ご自分の両手を丸く広げて、金色に輝く太陽をお作りになったの。太陽は天の神様の御子、日の神さまとなった。日の神さまはそれは雄々しく、見る者全てをその輝きで魅了する、力にあふれた男神だった。日の神さまは、天の神様から与えられたお力で、緑芽吹く大地を作り、吹き渡る風を作り、青き大海原もお作りになった。そして大地には人々や動物たち、草花、おおよそ世界に必要だと思われるもの全てを置かれた。ご自身の生み出した世界が、粛々と生の営みを続けていくのを空の上から眺める時、日の神さまは何よりも楽しんでおられたの」

 ためらいが嘘のように、流暢に語り始めた宵姫の声は滑らかで、耳に優しい。その声音、口調、表情の全てに呼応して、蛍鬼の瞳がうっすらと明るみを帯び始める。角の周りから徐々に白髪が逆立ち、不揃いな曲線となって闇に浮かんだ。

 と同時に宵姫の体は寒いような、温かいような、不思議な感覚に包まれる。気が遠くなりそうな、それでいてはっきりと目覚めさせられるような――これが、蛍鬼が語りを『喰い』始めた印だった。

 相槌を挟むこともせず、ただ自分の言葉を――語る声を聞いている。喰っている。語り喰いの双眸が恐ろしかった昔を思い出しながら、宵姫は続けた。

「けれどそんな毎日にも、日の神さまはすぐに飽きておしまいになった。鳥が朝の訪れを告げる声にも、人が田を耕し、実りを得る祭りにも、自分への祈りの声にさえも。そして、日の神さまはお思いになった。ただの闇しか訪れない夜を、輝かせるものを作ろうと。はじめは可愛らしく、幼い星たちを。次に、しとやかで慎み深い月を作られた。星は小さな童神となり、月は美しき女神となった。彼らと語らうことで永い孤独は少しずつ癒され、しばらくは楽しい日々が続いたわ」

 語りながら、時にわずかな空白を挟んで、宵姫は声を紡ぐ。どこか遠くを見つめる瞳が寂しげに瞬く時にも、蛍鬼は何も言いはしなかった。

「三年と三月の間、月と星と遊んだ日の神さまだったけれど、やはり彼の空白を癒せるものはなかったの。そしてお思いになった。いっそのこと、全てを一度壊してしまえばどうなるだろう、と。壊して、また作り直して、もっと自分の気に入る世界にすればいい。日の神様のみなぎる力を持ってすれば、そんなことはたやすい。けれど、童神の星々も、女神である月もこぞって反対した。当然だわ、世界が壊れれば、その創造物でしかない彼らも消えてしまう。そして何より、日の神よりも遥かに人間に近しく接してこられた女神にとって、愛すべき生命みなが消えてしまうことは、耐え難い苦痛であったから。何度となく説得を試みた星たちの声も、女神の声も日の神には届かなかった。いいえ、聞き入れはしたわ。気に入った月の女神だけは自分の側に留め置いてやろうと仰ったのだから。まさにそんな気まぐれこそが女神にとっては非情な振る舞いであったにもかかわらず、日の神様はお気づきにならなかった。彼の側で、ただ壊れていく世界を何もできずに眺めていた、女神の胸の内にも――」

 まるで自身が体験した話のように、宵姫は眉を寄せ、苦しげに吐息をもらす。もしこの場に他の人間がいたならば、青白く月光に照り映える彼女の姿こそが、月の女神と見紛うほどだと感じただろう。だが、幻想的な美を眺めるのは、表情の薄い語り喰いだけ――。

 ぼんやりとほの明るい蛍鬼の瞳に見つめられながら、宵姫は語り続ける。滑らかに、まるでその膝元に絵巻物でも広げるように。   

そう、彼女には見えていたのかもしれない。瞼の裏で繰り広げられる日の神と、月の女神の物語が。

 彼女の澄んだ声が紐解く物語の世界で、日の神は満足げに次なる世界を創造し始める。それはまるで無邪気な子供が与えられた玩具で遊ぶかのごとき、たわいもない衝動。

 だが、その世界に生きるものたちにとっては、残酷にすぎる遊び。作っては滅し、また組み立てては壊す。ただひたすらに退屈を紛らわせるための繰り返しだった。

 その度に破壊を見なくてはならない月の女神の心が少しずつ壊れていくことにも、彼は気づくことはなかった。無論、そんな愚行がいつまでも許されるはずのないことにも――。

「ついに日の神の所業に審判は下されたわ。烈火のごとくお怒りになった天の神様が、月の女神の訴えをお聞き入れになり、彼女を永遠に雲間へ隠しておしまいになった。そして日の神の力を取り上げ、世界を元あるべき姿へ戻されると、全ての命の営みをひたすらに見つめ続けることを、日の神の仕事とされた。退屈も楽しみも何も存在しない、永遠――そして彼は知ったの。愛する女神の姿が見られないことが、一番辛いのだと」   

 全てが終わってしまってから、重すぎる後悔に打ちひしがれる日の神の姿。彼の嘆きを知るかのような悲しげな表情で、宵姫は語った。皮肉にも、そんな身勝手な日の神を愛してしまった月の女神の絶望をも。

 二人の嘆きを哀れに思った天の神の情け、それは――一月に数日だけ女神の姿を雲間から出してやること。少しずつ、少しずつ顔を出す女神を空の反対側で見つめることで、わずかにでも日の神の切ない心が癒されるようにと取り計らってやったのだ。

「けれども、そんな日々は長くは続かなかった。耐えられなくなった日の神が、残された力を使って女神を人間の娘に変え、側に置こうとしたの。怒った天の神様は、二度と彼が過ちを犯さぬよう、人間の娘となった女神を戒めることとした。日の光にあたれば、たちまちその熱に耐えられず、苦しみぬいて死んでしまう、恐ろしい呪いをかけた。そして、空の月はからっぽの殻となり、空虚な満ち欠けだけを繰り返すことになってしまった。ただ日の神が絶望に死んでしまうことのないように、天の神は最後の情けをかけることも忘れはしなかった。人間の娘となった女神がその血を絶やさぬよう、後の世代までずっと女神の心は受け継がれた。悲しい呪いと共に――だから今でも、日の神は待ち続けているの。愛する月の女神が、自分の元へ帰ってきてくれる日を……」

 語り終えた宵姫は、ほう、と小さな吐息をもらした。扇を閉じ、笑みと共に小首を傾げる仕草は、さながら品評を待つ花のようだった。

「なるほど――これは新たな味だ。今まで見聞きした物語を語る時よりも、生き生きとしていたぞ? しかも舌に残るわずかな苦味がまた素晴らしい。お前の『語り』、しかと堪能させてもらった」

 ちろりと赤い舌を出し、自らの唇を舐め取った蛍鬼の瞳から、ほの明るさが消えていく。今や普段の、芽吹いたばかりの草木の色に戻った双眸は、それでも宵姫から逸らされることはない。眼差しにほんのわずかにだけ漂う、感情のきらめき。伝わってくる興奮や充足感の名残が、蛍鬼が今の『食事』に満足したということの証明だった。

「しかし――確かこの地を創造したという神々の話は、また別にあったのではなかったか? 昔、喰った覚えがあるような……」

「ああ……イザナギとイザナミの、国産みの神話ね。でも私、実を言うとあまり好きになれないの。だって二人は兄と妹で、命じられたままに婚姻し、子を産むのよ。イザナミが先に声をかけたから、という理由で最初の子は足の立たない蛭子が生まれて、海に流して捨ててしまうのだもの。ひどいと思わない?」

 幼い頃には抱くことのなかった疑問や違和感が、次第に積もり積もって宵姫を苛んだ。 

 なぜ、女が先に声をかけたらいけないのか。どうして、女だからという理由で男よりも下に見られなければいけないのか。そして――役立たずの子だと親に捨てられた蛭子は、どれほど無念だったことだろうか。

 いつしか唇を噛みしめ、俯いていた。宵姫の表情をただ黙って見つめていた蛍鬼は、ふっと微笑んだ。

「――なるほど。道理であの時の語りもあまりうまくはなかった記憶がある。空腹には変えられんから、喰うには喰ったがな」

「まあ、失礼ね。渋々ならば、食べていただかなくて結構よ」

「何を今頃になって怒ることがある? 面白い娘だ」

「……褒めているつもり?」

「ああ、もちろん。そうでなければいくら美味な語りではあっても、三年もわざわざ喰いに通ったりはせん。わしもそれほど暇ではないのでな」

「あら、それはどうも……光栄でございますわ、月光の語り喰い様」

 憮然とする蛍鬼に、宵姫は冗談めかしてお辞儀してみせた。彼自らがそう明かした呼び名が、どういう意味を持つのかはわからない。

 けれど、言葉や態度の端々から、どうやら力にあふれた存在であるらしいことだけはわかる。だからこその皮肉だった。

 例え暇つぶしであったとしても、宵姫にとっては、少なくとも唯一話し相手になってくれる存在であることは確かなのだ。

「よし、これからはお前の紡ぐ語りだけを喰いに来ることにしよう。そのほうが美味であることがわかったからな。わしが再びやってくるまでに、好きなだけ物語の世界を創造しておくことだ」

 勝手な物言いを聞いて、宵姫の頬にあきれたような微笑が浮かぶ。もとよりこの鬼に、人間に対する細やかな気配りなどあるはずがないのだ。自分の欲求を満たすべく、命じるだけ。そして自分は彼の単なる語り手――自身の食欲を満たすための道具。いくら面白いとは思っていても、それが自分に対する情になるわけではない。そもそも、そんな感情を持つことのない生き物なのだから。

 ――それでもいい。一人でこの孤独を紛らわすよりは。

 そう、永い永い一人きりの時間を紛らわせるために、自分も彼を利用しているに過ぎない。気の狂いそうなこの永遠の孤独を――。

 そっと俯く宵姫の向かいで、無造作に蛍鬼が立ち上がる。訪れと同様に唐突な退室。それもまた、この語り喰いの常だ。

 別れの挨拶を唇に載せようとした宵姫は、視界の隅でふと蛍鬼が動きを止めたことに気づいた。何か言い忘れたことでもあったのかと顔を上げると、いつになく真剣な瞳が自分を見つめていた。

「先ほどの語りは、お前のことか?」

 突然の問いに、言葉も出ない。何を聞かれているのかもわからなかったのだ。

 長い睫毛にうっすらと滲んだ涙を、瞬きでごまかす。まだ自分にそんなものが残されていたことに、宵姫自身が一番驚いていた。

「月の女神の心を受け継ぎ、日の光にあたることのできない娘――それが自分。もしそうであったなら、少しはこのやるせない思いも救われるのだろうか、と。語りを喰いながら、お前のそんな声が聞こえた気がした」

 銀の衣をくるりと翻し、背を向けたまま呟く。どこかためらいがちな仕草も言葉も、まるでいつもの彼にはそぐわないものであったから、尚更何も答えることができなかった。ただ、静かな笑みを湛えただけの返答が、何より正直な思いを伝えているのだと――蛍鬼は気づいているのだろうか。

 ゆらゆらと揺れていた燈台の火が消え、部屋には冷たい月光だけが満ちている。振り向いた時には、蛍鬼はいつもの表情を取り戻していた。

「また、来る。次はどんな語りが喰えるのか、楽しみにしているぞ」

 微笑んだ浅黒い顔を、宵姫は寂しげな瞳で見つめていた。

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