2 仲間を集めよ
第二話を投稿します よろしくお願いします
レオンは王宮に向かう馬車に揺られながら、外を眺めた。
朝焼けがまぶしい。整った街角にきれいに反射している。
「またこの街が見れるなんてな……」
ぼんやりしながらそうつぶやいた。
レオンは一度目の人生で自らの魂を燃やし続け戦い続けたものの、ついに魔王を討ち果たすことは出来なかった。
今度は魔王を倒せるだろうか。
みんなを死なせはしない。そう思い、覚悟を決めるのであった。
「開門!!」
ぎぎぎぎ……という巨大な音が鳴る。
王城の門が開くと、レオンはその中へ歩を進める。
白一面の廊下に玉座へと向かう一直線の赤いカーペットの敷かれた通路。
左右には今にも動き出しそうな鎧の飾りや巨大な初代勇者の絵画が権威的な雰囲気を漂わせていた。
財宝がぶちまけられているだけの魔王城とはえらい違いだった。
(王宮はやっぱ慣れないな……)
レオンは厳かな王宮の空気が苦手だ。平民の自分にはこの空気は耐えられない。
二回目の人生でも怖いものは怖い。
自分の家が三つは入るであろう巨大なエントランスを抜け、玉座の間にたどり着いた。
玉座の間に王はおらず、大臣とその側近が立っていた。
「……来たか」
低く乾いた声で、中央に立つ大臣が言った。白髭を撫でながら、こちらを伺っている。
その背後、側近たちは一斉に視線を向けた。鎧の擦れる音がわずかに響く。玉座は空のまま、その空白だけがこの場の異様さを際立たせていた。
「勇者レオン。召集に応じたこと、まずは評価しよう」
レオンは深々とお辞儀をする。
(評価ね)
一度目の人生ではこういう台詞にいちいち喜んでいたと内心ほくそ笑む。
「水晶の儀から一年が経った。体に変わりは無いか?」
「はい。体に問題はありません」
ハキハキと返事をしながら、レオンは昔を思い出していた。
出来事が心の引き出しが開くように次々と浮かんでくる。
水晶の儀。次代の勇者を決める儀式のこと。
王が水晶に次の勇者を聞くと勇者の顔と名前が浮かぶ。そうして現れた者を国家が探して国が代々受け継ぐ聖剣を授けるというイベントだ。
聖剣授与の儀は、その1年後に行われる。
民衆の不安など政治的な面もあるため儀式は大規模に行われるのだ。
では本題に入ろう、と大臣が口を開く。
「聖剣授与の件だが、昨晩王宮に不審な人物が入った」
レオンの眉がピクリと動いた。
「不審な人物、ですか」
一度目の人生の自分は緊張のあまりこの会話の内容のほとんどを失念してしまっていた。
「ああ。どうやら聖剣の噂を聞きつけ、奪いに来たらしい。聖剣は重大な宝物ゆえ、厳重に保管しているため大事には至らなかったのだがな」
レオンは思う。聖剣を手に入れる前からすでに魔の手は迫っていたということか。
「民衆の不安もある。育成の予定を切り上げ、早急に冒険の旅に出てもらうぞ」
「はい」
水晶の儀で選ばれてから1年間王都の兵舎で特別な訓練を受けていた。
訓練はとてもハードなので、はやく解放され、冒険の旅に出れる喜びに満ちあふれていて事件どころの気分ではなかった。
「ああ、それと」
来たか……と思う。ここで、あの指令を言い渡されるのだ。
「勇者レオン。今回の旅、民衆の不安もあり、早急に優秀な仲間を集めてもらいたい」
大臣は白髭を撫でながら続けた。大臣の目が真っ直ぐレオンを射抜いた。
玉座の間が静まり返った。
「王都には冒険者、騎士見習い、神官、魔術師。力ある若者は数多くいる。だが、最後まで命を預け合う相手を選ぶのは勇者自身だ」
民衆の不安を抑えるため、より派手に行いたいという意図があるのだろう。
それにしても仲間を集めろとは大きなお節介だ。
「誰を信じ、誰と歩むのか。勇者としての最初の試練だ」
「二週間以内に仲間を集め、聖剣授与の儀までに揃えよ」
王都には数多くの旅人が軒を連ねている。だが、一度目の俺は迷いなく自慢の友人たちを選んだ。
二度目の人生においてもそれは変わらなかった。
レックス。フィナ、セバス。
あいつらを失ったあと、俺は多くの仲間と旅をしたが、やはり俺はこの三人と旅がしたい。
少々癖があるが、能力はそこらの冒険者では足下にも及ばないだろう。
「よし。では兵舎に行って今日も修練を積んできたまえ」
王都に潜む魔の手を払い、必ず仲間たちと外の世界に出る。
そう決意しながら、俺は王宮を出た。
続く。
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