森
私は一人夜の森を歩いていた。
するとある少女を数十メートルぐらい先に見た。
その少女は肌は白く、外界を感じさせなかった。
そして目は大きく、顔は整っていて、髪は腰ほど長く、銀髪だった。
私はそれを見て驚いた。
と言うのも、勿論夜の森に何故少女がいるのだろうと言うのはそうだが、森は暗く自分の手を目に近づけても、手のおおまかな形すら分からないのだ。
それなのに私は数十メートル先の少女を、はっきり見ることができた。
私はその少女に、心惹かれた。
「おにいさんは、どうしてここに。」
そして近づいてきてくれ、少女からそう話しかけてくれた。
それに対して私は、誰にも言えなかった弱音を言った。
「好かれたから。
怖くなったんだ。」
「怖い?。」
「そう、怖いんだよ。
どうして自分なんだ。
どう愛を返せばいい。
好きになり裏切られたら。
おかしいよな。ずっと誰かに選ばれたいと思ってたのに。」
「あなたはその人を愛してるの?」
「愛してない。
誰も愛さない。」
「どうして?」
「愛や優しさ、人を思うきもちなんて邪魔だ。
利用されたり、漬け込まれるだけ。
それに人が裏切ったとき傷つく。
やるとき躊躇いが出る。
他人のことなんて、思ったふりをすればいいんだ。
みんな利益で協力してるんだから。
でも仲良くしてる人が羨ましい。」
「子供の頃、仲良い人はいなかったの?」
「いなかった。
かわりに何か成功しようといろいろなことをした。
なにも上手くいかなかったけど。」
「なにをそんなに焦ってたの?」
私はその言葉に目を丸くした。
言われれば確かに、焦ってたんだ。
テレビとかで見る人見たいに、成功しないと価値がないと。
「そんなことない。」
私の内心の言葉に少女はそう言った。
価値があるのはわかってたけど、誰かにそれを言ってもらいたかったんだ。私は。
何者でも無くずっと苦しかった。
でも走り、前に進めなかった。
「どうしてそう言うふうに、なったの。」
少し考えこんだ。
「わからないけど多分雑に扱ってこられたから。
いじめられたわけじゃないけど、泣いたら馬鹿にされ、もっと傷つけられ、だから誰も見てないところで泣き、日頃からほっとかれ、失敗したら怒られて、価値ある人でいるためには結果が全てだと思うようになった。」
「上手く生きれなかったの?」
「生きれた。偽りで。
本当に自分が汚くなったように感じたけど。」
「おにいさんはどうなりたかったの。」
「強くなりたい。
好き勝手ぶち壊せるぐらい。」
「頑張ったね。」
私はこの言葉を聞き、いやずっと前から確信していた。
私が作り出した幻想だと。
質問の内容が唐突なのも、頑張ったね。と言ったのも、弱音を吐き出したかったり、せめてちっぽけな傷を讃えられたかったり。
そうだ。
幻想だ。
なにしても問題ないんだ。
そう思った時、目の前に大きな化け物がいた。
私は怖くなり、逃げた。みきに引っかかり転びそうになりながら。
少し経ち、幻想なのだから逃げても意味ないと言う、当たり前のことに気づき足を止めた。
そして疲れからかその場に突っ伏した。
そしてなにも変わることなく、そのまま寝た。
今まで何かを乗り越えた、記憶がない。
だから今回もそうなる。
そんな自分勝手な希望を抱えて。




