美添沙
あの日のミモザをまだ覚えているかい?
ちぎれては宙に舞う黄ばんだ砂絵
僕らの終わりはそんなふうに呆気なく
砕け散って春を汚したんだ
ポケットのなかの噛み終えたガム
味がなくなったって吐き出せない
君の言った言葉の意味を
僕は何度も何度も反芻してる内に
あの駅前のロータリー
いつも僕を待っていた
汚れたスニーカーとはにかんだ顔
ふっとそのどちらも掌をすり抜ける
ミモザ
ミモザ
君のささやきが
耳の奥から離れないんだ
君はどうして泣いていたんだろう
僕らはメリーゴーラウンドを降りたけれど
心はまだ覚めない
春はまたミモザを咲かす
僕の目の前で