↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/1

ストラス卿の羽の騎士たち

 昔々、今では地図の中に見つけることもできませんが、ティルヤンチという、言葉を話す不思議な動物たちが暮らす土地がありました。そこでは色々な動物たちが、人間たちがそうするように、いくつかの王国を築いて暮らしておりました。

 そのティルヤンチに根付く貴族の一人に、ストラス卿というフクロウがおりました。ストラス卿は、ハーブ園と宝石のコレクションを持っていて、とても賢明なことで知られる君主です。誰もがこのフクロウのことを尊敬していましたし、彼よりも偉い王侯貴族も一目置き、敬意を払っていました。


「ぐごー、ぐごー」


 このりっぱな剣を持ったまま居眠りをしている、りっぱでないアホウドリは、これでもストラス卿に仕える騎士で、アルバート・ロスという、たいそうな名前がありました。ロス卿は、おつむの方はいまいちで、しかも物怖じするきらいにありますが、いざ戦いとなれば誰にも負けないと、もっぱらの評判です。しかし、戦いがないときの仕事ぶりときたら、まあ、今見てもらったとおりです。


「起きろ! アルバート! このゴクツブシめ!」


 一羽のニワトリが、怒鳴りながら、棒でアルバートの頭を打ちました。ティルヤンチにおいても、ニワトリというのは、夜明けを告げる生き物として知られています。われわれの知っているニワトリと違うのは、よく知られるようなコケコッコーという鳴き声ではなく、乱暴な言葉や、その他の乱暴な手段を使うことがあるという点です。


「やや、これはガーランド卿! もう朝ですか?」


 アルバートは頭から血を流しながら、目の前のニワトリに対して敬礼をしました。


「ニワトリは朝にしか夜明けを告げぬ訳ではないぞ、アルバート。きさまは寝ずの番を任されていて、しかして居眠りをしておったから、おれが叩き起こしたまでのこと」


 ニワトリの言うとおり、今はまだ夜更け、空にはお月様やお星様が浮かんでいます。

 このニワトリの騎士は、トリスタン・ガーランド卿といって、戦士たちの名門として知られるガーランド家の出身です。またトリスタンという名前は、大昔の高名な勇者にあやかって名付けられ、彼もまたそのような勇者になることを期待されて育ちました。戦いの技ではアルバートに一歩及びませんが、代わりに恐れ知らずで名高いニワトリです。彼はアルバートを騎士の位に引き上げてもらえるよう、ストラス卿に進言した先輩騎士でもありました。


「きさまが居眠りをしている間に、大変なことが起こったぞ。これを見ろ!」


 トリスタンが案内した部屋は宝物庫で、何者かによって荒らされておりました。かつてはきれいに並べられていた宝物があちこちに散らばり、何がどれだけ無くなったかもわからない、酷いありさまです。


「これはひどい」

「そうだろう。このことがストラス様に知られたら、おれたちはチョルバ・デ・プイ(ルーマニア料理。鶏肉のスープ)にされてしまう!」

「ひええ、どうしたらいいですか?」


 ストラス卿は賢明で優しい君主として知られていますが、大事にしている宝物が無くなったとあっては、トリスタンが言うように、恐ろしいおしおきをするかもしれません。ティルヤンチには他にも多くの貴族や王様がおり、みな言葉を話す動物ですが、この辺りは、人間のやることと変わりません。


「ストラス様は、三日後にお戻りになる。それまでに宝石を取り戻すしかない!」


 不幸中の幸いというやつで、ストラス卿は、他の貴族たちとの大事な会議のために、お屋敷を留守にしていました。戻って来るまでに事件を解決すれば、全て丸く収まると、この二羽は考えていました。


「何か手がかりはありませんか?」

「一つだけある。これを見ろ」


 トリスタンが指差した先には、部屋の外に続く足跡がありました。


「猫の足跡ですね。となると外から入った物盗りでしょう」


 ストラス卿のお屋敷で働く動物たちは、ほとんどが鳥の仲間で、猫はその中にはいません。となると、きっと外からやってきた泥棒に違いない。二羽はそう結論づけました。


「これを追って行けば、宝石を盗んだやつの居場所がわかるかもしれません」

「よし! 泥棒猫め、目にものを見せてくれるわ!」


 こうして、二羽の騎士が旅立ちました。果たして彼らは、盗まれた宝石を無事に取り戻すことができるのでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。