プロローグ:全ての始まり
「ありがとうございました!!」
大きく響く声。
今日は柔道部のみ練習がある日だった。柔道部は他の部活と大会の日時が違い、他の部活は今日や昨日が試合の日となっており、柔道部のみの練習となっている。
「疲れたねー」
「お前本多先生が来た時と来てない時でやる気違いすぎだろ。」
「うるさいなー、私は本多先生推しなの!
でも公務員を推すと苦労するよ、貢ぎたいと言う欲を抑えなければならないからね。」
「ヤバ、七菜香が本気語りし始めた。」
「ていうか今日女子私しかいなかったから本多先生とペア組んでたじゃん?顔近くてニヤけるの我慢してたわ。」
そう言う七菜香。直後、武道場から直接外に出るドアを開けようとした。
「あれ、」
何度も押したり引いたりするが、ドアが開かない。
「ちょ、諒太ドア開かないんだけど。鍵は開いてるのに。」
「借してみ、俺が開けてやるよ。」
そう言い、体が大きい諒太が開けようとするも、七菜香が試した時と同じくドアは開かなかった。
そして、段々と扉の前に部員たちが集まってきた。
いろいろな部員が試してみるも、同じく開かず、途方に暮れている。そこへ、誰も帰らないことを不審に思ったのか、本多がやってきた。
「みんなどうしたの?」
「先生、鍵は開いてるのに、ドアが開かないんです!」
そう言われ、本多も試すが、音が鳴るだけで、びくともしない。
「じゃあ別の出口から出ようか」
「はい」
そう言われて、学校の昇降口の方へと降りていく。しかし、そう簡単に脱出できるわけもなく、昇降口は、何かで開かないようにと塞がれていた。
そして一同が職員室へ向かおうとした時、放送が入った。
___お前たちは、外へは出られない。
警察に通報しても無駄だ。お前たちを俺たちが人質にとっている限り、奴らは助けに来れない。
今すぐ大人しく武道場に戻れ。
さもなくば、1人ずつ殺して行ってやろう。
食糧の心配はしなくていい。
こちらで用意する。じゃあ、また次の接触まで大人しく武道場で待っていろ。___
こんな内容のもので、皆、すぐに武道場へと引き返した。