川づくりとスキルについて
一部修正してます。
あれから三日掛けて森を広げ、川までたどり着いた。
北東に十六キロ程伸びた形になった。
川は北東に十五キロ行ったところにある。川の幅は広く、北西から南東に向けて流れている。
北西にも森を拡げた後、川の上流から僕の所までの川の水が流れる為の水路を作ることにする。
三日掛けて『アースチェンジ』で、木々の間隔を空け、幅五メートル、深さ三メートルの溝を作る。
僕の所から五十メートル離れた位置に作った。
僕の所から近すぎても遠すぎてもいけないと思ったからだ。
で、北東から南西に流れるように作ったこの川を本流として、所々枝分かれさせ支流を作り、行き渡るように幅四メートル、深さ二メートルの水路となる溝を作る。
万が一氾濫したらまずいかr水路の両端に堤防を作っている。
水路が完成したからお次は水路と川の境界線を取り除く。
するとうまいこと川の水が二つに分かれて流れていく。
本流から支流へと分かれながら流れ込んでいく。
因みに南西の森の端に幅四十メートル、深さ十メートル程の穴を作り、最終的にそこに川が流れ込むようにしてる。
いずれはそこに魚の魔獣とか住み着いてくれたらいいのにな、と思うのでした。
そんなこんなで川作りを終えた僕は、カルラから呆れた目で見られてた。
「トレントさん」
《何かなカルラ?》
「どうして数日で森がこんなに拡がってるんですか?」
《それだけじゃないよカルラ!なんと川も完成してるよ!これで水に困らない》
ってカルラに言ったら
「知ってるわよ!森を拡げるところも川を作るところもしっかり見てたんだから」
それでも自分の目を疑ってしまうのよ、とブツブツ言うカルラ。
前にも見てるんだからそろそろ慣れたらいいのに。と思う僕。
でもカルラの反応が面白いから、ついついやっちゃうんだよな。
「でもこんなにも早く森を拡げて、地面も好きにできるなんて。やっぱりとんでもないわね」
《そうなの?カルラ以外の人や亜人に会ったことないから、基準が分からないんだ》
「普通はできないのよ」
《僕がトレントであることが関係あるのかな》
「それは分からないわ」
まさか転生者だからチート能力を手にしたわけじゃないよな?
さすがにこのことは言えないけど。
《カルラは何かスキルを持ってるのか?》
カルラは何かスキルを持ってるのだろうか?
気になったので聞いてみると、「持ってるわよ」とのことだった。
《どんなスキルか聞いてもいいか?》
「えぇ。私は魔法がいくつか使えるのと、羽根を使って攻撃するスキルを持ってるわ」
《へえ。魔法が使えるんだ。いいなぁ》
「あれ?トレントさん魔法は使えないの?」
《うん、使えないよ。見たこともないし》
魔法が使えるんだったら、使いたいよ。
「トレントさんのあのスキル、十分魔法のレベルだと思うんだけどね」
と言うカルラ。
《魔法ってどんな風に使うんだ?》
と聞くと
「魔法は大気中のマナを媒介にして使うことができるの。だから魔法を使うためにマナを感じ取ることが必要になるの」
ふむふむ。僕はマナを感じ取れるし見ることもできるぞ。
「魔法は属性がいくつかあって、火、水、風、土、光、闇、氷、雷の八属性があるの」
ふむふむ。結構多いな。こんなに属性があるなら、僕も一つくらい使えたらいいのに。
《カルラが使える属性は?》
「私は火、風、雷の三属性が使えるわ」
三属性も使えるのはすごい。異世界物だとチートじゃないか。
《三属性も持ってるんだ。すごいな!》
と素直に口にすると、「そうでもないわよ」とのこと。
「三属性以上使える人は結構多いの」
そうなのか。という事はチート持ちが多いという事か。
「で、魔法を使うためにはマナが必要であることは分かった?」
はい。分かりました。魔法を使うためにはマナが必要。
という事は、だ。
『アースチェンジ』と『植物創造』を使うとき、マナを媒介にしてるな。これはどういう事だろう?
《はい!カルラ先生!質問があります!》
「あの……トレントさん。ふざけないでいつものように普通に呼んでください」
と頬を膨らませプイっとそっぽを向いて拗ねてしまった。可愛い。
《ごめんごめん》と謝ると機嫌を直してくれた。
《僕のスキルの『アースチェンジ』と『植物創造』だけど、マナを媒介にして使ってるんだ。これは魔法に当たるのかな?》
「そうね。マナを使ってるという事は、魔法に分類されると思うわ」
やっぱりそうか。
《じゃあ、僕の属性って……》
「おそらく『アースチェンジ』は地でしょうけど、『植物創造』は……なんなのかしら」
《カルラも分からないのか》
「えぇ。植物を生み出すなんて聞いたことないし」
《そっか。植物を好きに生み出すスキルだから木魔法、とか?なんてね》
「そう!それよ!木属性!」
え?冗談のつもりで言ったのに……
《全部で八属性だったんじゃなかったか?》
さっきそう言ってたじゃないか。
「ええ。今は八属性よ。でも昔は木属性もあったの。でも木属性の魔法を使える者がずっといなかったから失われた属性なのよ」
は~。失われた属性ねぇ。そんなものがあったとは……
《じゃあ、『植物創造』はその木属性かもしれないってことだよな》
「おそらくね」
マジですか~。
「とはいえ、トレントさんのその魔法は強力すぎるけど」
まさか、このスキルが念願の魔法だったとは。
僕は知らず知らずに魔法を使えてたんだな。
「トレントさんといると退屈しないわね」
と微笑むカルラさんは綺麗に見えた。
カルラと魔法の話をしていると、森に何者かが入ってきた感覚が伝わってきた。