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人騒がせなヒイ。

一部修正してます。

「トレントさんってやっぱりおかしい。非常識すぎるよ。あっという間にこんな風に村を作ってしまうなんて。トレントさん、本当に魔獣?なんで建物作れるの?水路や道路や畑に農具まで。トイレやお風呂まで作って。もうトレントさんが他の生物だと言われても信じてしまいそうだよ」


 《こんな恐ろしい相手を襲おうとしてただなんて~。ごめんなさい~、今後絶対逆らいません~。こんなに凄い物を次々と生み出すなんて。トレント様って実は神様だったりしませんか~?私、トレント様が神様だと言われても信じます~》


 とカルラとアリアがブツブツ言っている。


 カルラとアリアはしばらく放置しておこう。


 村が完成したということで僕は『縮小化』で十メートルの大きさまで小さくなる。


 大きいままだと落ち着かない。



 そうだ、忘れてた。ヒイ達の家というか作業場も作っておかなきゃな。


 今後も布や衣類、糸もたくさん作ってもらわないといけないかもしれないしな。


 《ヒイ。お前達の家を作ろうと思うんだが、どんな家がいい?》


 ヒイ達が上を向いて考えてる。


 《う~ん。おもいつかないー。あるじにおまかせー》


 《分かった。任されよう》


 僕はアリア達の家の近くに、四本の大きめの桑の木を創る。その中心にツリーハウスを創る。


 《こんな感じでどうだ?》


 ヒイ達の目が輝き、家に入っていく。


 《ひろいー!あたたかいー!いいかんじだよあるじー》


 どうやら気に入ってくれたようだ。


 《このはっぱはなにー?》


 と聞いてきながら、ヒイが桑の葉を一枚食べる。


 《ん~~!!》


 食べた直後ゴロゴロと転がりだす。


 《どうしたヒイ⁉》


 カルラとアリアも心配してヒイの所へ行く。


 他のシルキーワーム達もヒイを見て心配してオロオロしてる。


「トレントさん。貴方この子に何を食べさせたの?」


 《まさかトレント様、毒を~?》


 カルラがヒイを抱え、怒りの形相で僕の所に詰め寄り、アリアは目は笑っているが、冷たい空気を纏って詰め寄ってくる。


 怖いよ二人共。


 《そんなことしてないよ。桑の木を創ったんだ。糸の材料になるし、桑の葉好きかなと思って》


「じゃあ、なんでヒイが苦しそうにゴロゴロしてたのよ!」


 《知らないよ。まさかこんなことになるなんて思ってなかったし…》


 《この桑という植物は本当に毒は含まれてないのですか~?》


 カルラとアリアは僕を疑っている。


 《含まれてない…と思うよ》


 含まれてないよな?だって桑の葉ってお茶の葉としても使われるんだし。


 《じゃあ、桑の木は除けといた方がいいかな?》


 他のシルキーワームが食べてもいけないし、このまま桑の木がある場所で安心して休めれないだろう。

「そうね。もしまた食べてしまってもいけないし」


 《早く撤去すべきです~》


 《そうだな。分かった。桑の木は撤去することにしよう》


 桑の木を撤去しようとすると、他のシルキーワームのフウ達が桑の葉の前でじっとしてる。


 あれ?さっきまで君達ヒイのこと心配してなかったか?


 なのになぜ桑の葉をじっと見てる?まさかと思うが……。


 むしゃむしゃむしゃ…


 フウ達が桑の葉を食べ始めた。


 《えっ!?ちょっ!!》


「なにしてるのよ!死んじゃうわよ!?」


 《すぐに吐き出してください~》


 僕とカルラとアリアは止めようとしたが時すでに遅し。


 桑の葉を食べたフウ達がヒイと同じようにゴロゴロと転がりだす。


「ほら言わんこっちゃない!」


 《大丈夫ですか~?しっかりしてください~》


 カルラとアリアが駆け寄る。


「トレントさん!この木を急いで除けなさい!」


 《そうですよ~トレント様~。これ以上ヒイ達のような被害者を出さない為にもこの木を早く撤去してくださいよ~!》


 この状況を見るとどうしても僕が悪い気がしてくる。


 《分かったよ。じゃあ桑の木撤去するか》


 せっかく用意したのになぁ。


 シルキーワームって蚕みたいな魔獣だろうから、桑の葉好きなんじゃないかと思ったのに。残念だ。

 で、撤去しようとすると


 《だめ~~~~~~!!》


 ヒイが飛び起きて、桑の木撤去を阻止しようとしてくる。


 《このきのけちゃだめーー!!》


 ヒイがじたばたしながら撤去をやめるように言ってくる。


「ヒイ、この葉っぱを食べて倒れたばかりじゃない。苦しかったんじゃないの?」


 《そうですよ~。フウ達もヒイと同じようにほら……》


 アリアがヒイにフウ達を見るようにと緯線を向ける。


 ヒイはフウ達に軽く目を向けるだけで、すぐに僕の方に目を向けて、


 《だいじょうぶだよー、あるじー》


 と言ってくる。


 《ヒイ。本当に大丈夫なのか?》


 《うん。だいじょうぶー》


 本当に大丈夫なのか?と僕とカルラとアリアがヒイに目を向ける。


 《ねえあるじー?このはっぱもっとたべてもい~い?》


 《いや、でもさっき一枚食べた途端ゴロゴロ悶えて気を失っただろ?》


「そうよ。体に悪い物だったんじゃないの?」


 アリアはうんうんと頷いてる。


 《あのねー、あのはっぱすごくおいしいのー。こんなにおいしいはっぱをたべたのはじめてなのー》


「え?美味しかったの?苦しくて悶えたんじゃないの?」


 《ちがうよー。おいしすぎてふわふわしちゃったのー》


 なんだそれは?そんなことが起こるのか?


 《ふうみがよくてー、さわやかなのー。それにねー。にがくないしー、しぶくもないしー》


 《そ、そうか。じゃあ、フウ達も美味しいから気絶したのか?》


 《そうだとおもうよー》


 じゃあ、桑の木は残すことにしようかな。


 だがフウ達を起こして一応聞いてみるか。桑の木をどうするか。


 フウ達が目を覚ますとまた桑の葉を食べに行こうとする。


 おや?これ、もう答え出てますね~。が、


 《待てお前達!桑の木は撤去しようかと思うんだが?》


 と言うとヒイも一緒になって撤去反対だ!と言ってくる。みんな桑の葉を気に入ったみたいだな。

 じゃあ、桑の木はこのままと言うことで。


 ヒイのせいで散々な目にあったよ……はあ、全く。人騒がせな。


 でもまあ、ヒイ達の住処と食料ができて本当に良かった。そう思うことにしよう。





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