新スキルの検証と眷属召喚
一部修正してます。
サンダーバードと巨大芋虫のお陰で、レベルが上がりスキルも増えた。
新しいスキルもかなり役に立ちそうな感じだ。
さて新しいスキルをどう使うか一晩考えていた。
朝は森の拡張をして土壌整備した。
もう太陽が真上まで昇っているのだが、カルラはまだ家から出てこない。
まだ寝てるのかな。よっぽど疲れてたんだろうと思い、そっとしておくことにした。
それでは、そろそろ新しいスキルの検証をしますか。
まずは『フォルムチェンジ』。さて。何の形状を変えようかな。
そういえば、少し前に僕の枝が嵩張っていたから、自分で剪定したんだ。
葉を『ハードニング』で硬くし、切りたい枝のみ『ソフトニング』をかけて。
そしたらなんと剪定できたんだ。……ちょっと痛かったけど。
その時の枝があるから、それを使うことにしよう。
細い枝を手にし、『フォルムチェンジ』を使った。
そして細い枝の形状を変え、裁縫用の縫い針と待ち針、ハサミの形にする。縫い針にはちゃんと糸の通し穴も作る。
それと針を入れるケースも作っておく。
金属じゃないから、折れやすいかもしれない。
なので、新しいスキル『エンチャント』で裁縫セットに『ハードニング』の付与を施す。
よし、とりあえず、これで裁縫道具はどうにかなった。
あとは布さえあれば、カルラに布団を作ってあげられるかもしれない。
『フォルムチェンジ』と『エンチャント』のスキル、便利じゃないか。
次に『巨大化/縮小化』。大きくなりすぎててかなり気になってたんだ。
これ以上大きくなってたらどうなっていたことか。
というわけで『縮小』を使う。大きさは普通の木と同じくらいの大きさでいいだろう。
というわけで、四メートル程まで小さくなった。
僕が体が小さくなり、回りを見ると大きな木に囲まれてることを認識する。
そして地面が近い。
僕は小さくなれたことを喜んだ。
魔獣が僕を襲ってくるのは、僕が大きいから目立ってたのではないかと思うんだよな。
小さくなったら、あまり目立たなくなるし、これ以上襲われずに済むだろう。
うん。そう思いたい。
新しいスキルを試したところで、次はもう一つ、検証したいスキルがある。
これまでは、召喚したところで、餌や飲み水の問題で呼べなかったんだよな。
でも水問題は解決したし、食料はとりあえず果物でいいだろう。
というわけで、そろそろいいよな?
運良く、空飛ぶ魔獣のストックができたことだしな。
というわけで『眷属召喚』!
そして、ついさっきストックしたサンダーバード達を召喚する。
《うっ!》
体内のマナがごっそり抜けた。
ごっそりマナが抜けるのとほぼ同時に、地面から伸び出た光の柱。その柱からサンダーバード達十羽が地出てきた。
一番大きなサンダーバード、確かサンダーフェニックスだったか。を先頭にしてその後ろに残り九羽が並んでいた。
「ピュルル~」とサンダーフェニックスが片翼を上げながら鳴くと、残りの九羽が「ピュル!」っと片翼で敬礼しながら鳴く。
しかし、内二羽が左翼で敬礼し、他の七羽が右翼で敬礼てるのに気が付くと慌てて右翼に変えている。
(なんだこいつ等。大きいのに可愛いぞ)
可愛い行動のサンダーバード達に癒されるた僕は、次にサンダーフェニックスに目を向ける。
木に激突したこいつがどうやらリーダーのようだ。
とりあえず、話をしてみるか。
《僕の言うことが分かるか?》
「ピュル」と頷く。
《さっきはすまなかったな。襲われそうになったから思わず迎撃してしまった》
「ピュル」と首を横に振り「ピュル、ピュルルゥ~ピュルピュル」と言ってくる。
《すまん。何を言ってるかさっぱり分からん》
と正直に伝えると
「ぴゅっ!?」っと半歩後ずさってからガクッと膝を付く。
こいつが何か言ってくれてるのは分かるんだが、何を言ってるはさっぱりだ。
何かを伝えようとする意志は分かる。だから言葉を伝える手段があれば会話ができるだろう。
魔獣同士だからといって会話ができるわけじゃないんだな。
《少し待っててな》
と言ってから、剪定していた僕の枝を使って足輪を作る。
その足輪に『エンチャント』で念話を付与してサンダーフェニックスの右足につけてやる。
《その足輪に念話を付与したんだ。これ言いたいことを伝えれると思うんだが。僕に伝えたいことを思い浮かべてみてくれ》
と言われたサンダーフェニックスは拝むように翼を合わせながら、何度もお辞儀をしてる。
《届いてください届いてください届いてください届いてください……》
何度もお辞儀しながら、伝わってきたのは「届いてください」を連呼してる声だった。
(こいつはこういうキャラなのか?)
内心思いながら《聞こえてるぞー》 とサンダーフェニックスに返事をすると「よかったです~」と安堵している。
なんだこいつ。残念そうなキャラかと思ったが、リアクションがすごい。魔獣だけど感情表現が豊かなのかな。面白いな。
《さっきは話の途中で悪かったな。お前の言ってたことが分からなったから》
とサンダーフェニックスに謝っておく。
サンダーフェニックスは首を横に振り、
《いえ、大丈夫ですよ~。むしろこのような魔道具を作っていただいてありがとうございます~》
サンダーフェニックスが頭を下げる。
《それで話を戻すんだが、さっきは何を言おうとしたんだ?》
《今回の件は貴方は何も悪くないんです~。貴方を襲った私達がいけないんです~。ごめんなさい~》
とサンダーフェニックスが地に伏せ翼で顔を隠す。
他のサンダーバード達も同じように地に伏せて翼で顔を隠す。
どうやら、僕がしたことは怒ってないようだ。
僕の方も被害はなったんだし、一方的にやってしまったこともある。
だから今回のことは水に流すことにしよう。
《僕は被害がなかったんだ。許すから、頭を上げてくれ》
サンダーフェニックス達が頭を上げる。
《それでだ。お前達を僕の眷属にしてしまったんだ。すまない。もし嫌ならこのまま去って行ってもらって構わないんだがどうする?》
とサンダーフェニックス達にこれからどうするのかを聞いてみた。
ここから去るのなら構わない。
でももしここに残ってもらえるなら、頼みたいことがある。
サンダーフェニックスはしばらく考えた後、振り返り他のサンダーバード達に「ピュルピュルピュルルゥ」と話しかけてる。
何を言ってるのかは分からないが、これからどうするかをみんなに相談してるんだろう。
大事な決断を自分だけで決めず、みんなの意見もちゃんと聞く。いいリーダーじゃないか。
サンダーフェニックスに感心していると、答えが出たのか、僕の方に向き直り、
《私達一同は貴方様の眷属となり、生涯を共に致します。どうぞ良しなに》
とのことだった。
《本当にいいのか?》
確認のためもう一度聞く。
《はい。構いません。私達はもう一度この森で暮らしたいと思っておりましたから》
《もう一度?》
《ええ。かつての森と違うところはありますが》
と森を見回す。
《いつか必ず帰ってくると思い続けていたんです。このセレス大樹海に》
とのことだった。
サンダーフェニックスから、もっと話を聞いてみたいと思った。




