第9話 ミチの始まり
こんにちは、市九郎です!
手がかりへの第9話、お楽しみに!
ではっ!
第9話
お茶とお菓子を補充した老婆は、懐かしむような、夢を語るような声で、話し始めた。
「あれは15年前だねぇ。こことは別の村に落ち着いていたあたしは、嫌な噂を聞いたのさ」
噂と聞き、ソニアは興味深々だ。やはり女性は噂が好きなのだろうか。
「それは、リンガー王国の軍部が、退役した祈祷師たちを集めているって噂だったのさ。いや、連行する、の方がいいかねぇ」
15年前というと、リンガー王国の政治は安定していたはず。不自然な動きだ。
「なぜそんな事を? 理由は分からないんですか?」
老婆は当時を思い返しながらも、首を振った。
「誰も本当の事は知らないんじゃよ。今でも謎のままじゃ」
老婆は再び話に戻る。
「そして噂は本当だったんじゃ。あたしは予知夢を見てねぇ。その次の日、村に憲兵がやってきて、あたしの居場所を聞き回ったのさ。村人にかくまってもらい、何とか助かったんじゃが、村にはもういられなかった」
「それで、この村に?」
すると、老婆の瞳が輝いた。
「まぁそうなんじゃが、この村に来る道中で憲兵に見つかってねぇ」
「え! じゃあ捕まっちゃったの?」
ソニアは老婆の物語に夢中だ。絵本の読み聞かせのような感覚なのだろう。
「いいや、ここからが面白いんじゃ。連行されそうになったあたしの前に、男が一人、現れたんじゃ。それがいい男でねぇ」
老婆とソニアは顔を合わせ、ニマニマしている。
「その男の人が助けてくれたの?」
ソニアは待ち切れずに聞いた。
「あぁ、そうじゃ。男は『イーター』だったんじゃ」
予想以上に長めの話に、さっきからお茶ばかり飲んでいた俺は、カップを落としそうになった。
「ぶはっ! い、今なんて!?」
急な大声に、二人は目を丸くした。
「何じゃ急に。老婆の心臓をいたわっておくれ」
「そうだよ! どうしたの? ディア」
椅子に座り直し、説明した。
「実は、僕の旅の目的は、両親を探すことなんです」
老婆も落ち着いたようだ。
「そうだったのかい。それで、今の話と、どんな関係があるんだい?」
「僕の父さんは、イーターだったんです」
初めての手がかりかもしれない話に、俺は食い気味に答える。
「ふむ。確かにあの男は人族じゃったねぇ。よく見てみれば、何となく似ている気もするねぇ」
俺は興奮を抑えるのに必死だった。
遂に父さんへの道が、開いたかもしれない。
「そうじゃ。お前さんを視てあげよう。そうすれば、お前さんとあの男が親子か、分かるはずじゃ」
予想もしなかった展開に、俺はすぐに老婆に頼んだ。その時、俺の中には希望が満ちていた。
その時までは。
つづく
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
両親探しの旅も4ヶ月目に差し掛かろうかというところ、やっと手がかりらしい情報がでましたね!
しかし不穏な終わり方……老婆はディアの、なにを視るのでしょうか!
ご意見、ご感想、ご指摘等、お待ちしております!
ではっ!




