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13/13

13話

 私はいつの間にか寝てしまってた。


 朝目覚めると7時半だった。


「ヤバイ! 遅刻しちゃう~!!」


 急いで準備をして、朝食を摂る暇もなかった私はパンを加えながら学校へ向かったのだった。

 これがいつもの日常。

 前の生活に戻っただけだ……

 彼の事を思いながら、自分にそう言い聞かせた。

 授業中の時も彼の事が頭から離れなかった……


「麗香、今日学校が終わったら、久しぶりにカラオケ行かない?」


 親友で、私と同じヲタクの優理ゆうりが声をかけてきた。

 私はあまり気が乗らなかったが、気晴らしになると思った。


「いいわね! アニソン歌いまくっちゃう?」


「うん。歌いまくっちゃおう!」


 優理はテンションアゲアゲでそう答えたのだった。


 学校が終わると2人でカラオケに行った。

 私は寂しい気持ちをカラオケで紛らわすように、歌いまくったのだった。


「やっぱ、アニソンはいいわね~!」


 優理が楽しそうにそう言っていた。

 

「そう言えば麗香、アキバのメイド喫茶辞めたって聞いたけど、ホントなの?」


 優理に急にそう言われ、何て答えていいか私は戸惑った。


「ううん。ちょっと休んでただけよ」


「何かあったの?」


 そう聞かれたが、私は笑顔で答えた。


「ちょっとバイト詰め込みすぎて、疲れちゃったからお休みをもらっただけよ。でも大丈夫! 元の元気な麗香様よ!」


 優理は心配そうな顔をしていたが、私が元気そうに笑顔で答えたせいか、安心した様子だった。


「いくらバイトと言っても、あまり無理しちゃ駄目よ! 麗香様! はは~っ!!」


 優理はそういうと深くお辞儀をしたのだった。

 そして、2人で笑いあった。


「さてと、そろそろ帰る? あまり遅くなると親がうるさいからね」


 優理がそういうと、私はうなづいた。


「そうね。そろそろ帰ろっか」


 そして、それぞれ家に帰る事になった。


 私は家に帰る途中、何か視線を感じた。

 急に怖くなり、走って家に帰ったのだった。


 それからも視線を感じる事があったが、気のせいだと思うようにしていた。

 

 ある日、学校で友達とおしゃべりしていたら帰りが遅くなってしまった。

 急いで帰る途中、やっぱり視線を感じたのである。


「やっぱ、おかしい……まさか、あの時の女吸血鬼じゃ……」


 私は走って家に帰ろうとした時だった。


「キー! キーキー!」


 ティートが私の目の前に現れたのだった。


「ティート!」


 私はティートの姿を見て嬉しくて仕方なかった。


「ティート! 久しぶりね。こんなところでどうしたの?」


「キーキー!」


 ティートが何を言いたいのか相変わらず分からなかった。

 そして、ティートは近くのビルのほうに飛んで行ったのだった。


「ティート?」


 私はティートの後を追った。

 すると、何やら小声で話声が聞こえてきたのである。


「駄目じゃないか…。見つかってしまうだろう? ティート、お願いだから静かにしておくれ」


 そこには彼の姿があった。

 久しぶりに彼の顔を見て私は嬉しくなった。

 そして、今まで視線を感じていたのは彼なのだと思った。


「こんなところで何してんのよ!?」


 私は少しぶっきらぼうになって言った。

 照れ臭さもあったからだ。


 彼はというと、彼も少し照れている様子だった。


「やあ。麗香。久しぶりじゃないか……。こんなところで何をしているんだい?」


 彼のとぼけた言い方に、私は可笑しくて仕方なかった。

 ここはあえて、少し冷たい態度をとる事にしたのである。


「私の後を今までず~っと付けてたのね? このストーカー!!」


 そう言って、私は彼のお腹をカバンで叩いたのだった。


「痛っ! 僕はストーカーではない! 相変わらずだな~麗香は。君の事はこの僕が守ると言っただろう?」


「は? え? な、何言ってんのよ! そんな事聞いてないわよ!」


 彼の僕が守る! と言った瞬間、急にドキドキが止まらなくなった。


「麗香。ティートを看病してた時に、僕はそう言ったんだが君はいつの間にか眠ってしまったんだ」


 そうだ。あの時、眠ってしまう瞬間、彼が何か言っているようだったが、そのまま眠ってしまったのを思い出したのだった。


「あ、そ、そうだったのね。だったら、こそこそしないで、堂々としなさいよ!」


 彼は嬉しそうに話始めた。


「麗香。君がさよならと告げたあの日から、もう君の目の前に現れることは迷惑だと思ったんだ。僕は紳士であり、気高き吸血鬼だ」


 なんか、またナルシスト入ってる? 私はそう思いながらも彼の話を聞き続けた。


「そんなに堂々として欲しければ、そう言いたまえ! 僕はてっきり……」


 そう言った瞬間、2人して大笑いした。


「ねえ、私、今思いついたんだけど、あなたに忠誠を誓う事は出来ない。でも、メイドとしてバイトする事は出来ると思うの。先の事なんてわからない。だけど今は側にいたいの。いい?」


 彼は嬉しそうに私にこう言った。


「もちろんさ! 麗香。そんなに僕の側にいたければ、最初からそう言ってくれれば良かったじゃないか」


「は~~っ!! 何ですって?」


 私は相変わらずの彼に向かって、思いっきりグーで顔を殴ってやった。



 あ、そう言えば願い事の事をすっかり忘れてた。

 でも、忠誠を誓うわけじゃないから無効かな。

 バイト代だけはしっかり請求しようっと!!

 私はそう思いながら、これから先の事を考えるより、今の気持ちを大切にしようと思ったのだった。 

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