2人で見た景色12
僕たちのところにたどり着くことなく、ケガレは煙のように霧散して消えていく。
「すごい! さすがヤツカさんです!」
かえでの声を受けながら、直刀を納めて振り返る。
すると、小さな影に飛びつかれた。
「わぁ! すごいすごーい! お兄ちゃんって、すっごく強いんだね!」
猫又の少女が、僕の手をつかんでぴょんぴょん飛び跳ねる。
「お兄ちゃん、ヒーローみたいだった! わたし、ヒーローショウとかヒーローアニメ大好きなんだ!」
彼女はさきほどまでの怯えっぷりがウソのように、満面の笑みだ。
「ケガレをやっつけたってことは、本当に良い神様なんだよね! みんなにも教えてくるね! 怖がらなくていいよ、って」
ともあれ、信頼してもらえたなら助かる。
これで、改めてかえでと遊園地で遊べるだろう。
安堵の息をついていた僕だったが、そこでふと、かえでが声をあげた。
「待ってください。もう大丈夫です、その必要はなくなりましたから」
もの悲しそうに言って、彼女は僕のほうへ向き直る。
「ヤツカさん、そろそろ帰りましょう」
「え? なんで……」
これからやっと本番だというのに。
「だって、ケガレが出てしまったので」
「……」
すでに倒したから問題ない、と言っても意味がなさそうな雰囲気だった。
「やっぱり、私がこういうところに来るのは危険なんですよ」
彼女は諦めるように、仕方なさそうに苦笑を浮かべる。
「もうすぐ日も暮れますし、周りに被害が出ないうちに帰りましょう」
周囲のことを気にするのは彼女らしい。
このまま無理に居残ろうとしたら、逆に彼女にとっては楽しくない時間になってしまうだろう。
「……わかった」
だけど、僕は納得できない。
もの足りなそうな表情のまま、かえでを帰していいはずがないのだから。
「でも、もう一ヶ所だけいいかな?」
この提案に、彼女はすこしだけ悩んでから、ひとつ頷きを返した。
「はい……一ヶ所だけなら」
それから、小さく首を傾げる。
「けど、どこに行くんですか?」
「まだ決めてない」
「えぇ!? 無計画だったんですか!?」
あまり否定できない。
とはいえ、完全に考えなしだったわけでもない。
「一応やりたいことは決まってるんだけどね」
かえでにそう答えてから、僕はこの場にいるもう一人に視線を投げた。
「えっと、そこの猫又の子」
「え? あっ、はい、なんですかお兄ちゃん!」
すっかり警戒心がなくなった女の子が、元気よく返事をしてくれる。
この子なら、僕の目的を満たしてくれるかもしれない。
「ひとつ教えてほしいことがあるんだ」




