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2人で見た景色11


 僕を恐れて、従業員が隠れてしまったから、アトラクションも止まってしまった、ということらしい。


「かえで……ごめん、僕のせいで」


「あ、謝らないでください! ヤツカさんは悪くないですよ」


 確かに誰が悪いという話でもないだろう。

 けれど、僕のせいであることは事実だった。


「僕が一緒じゃなければ、かえでもちゃんと遊園地を楽しめたはずなのに……」


「そもそも、ヤツカさんが一緒じゃなかったら、ここには来れてませんよ」


 だから気にしないでください、と彼女は微笑む。


 優しい笑みを浮かべたまま、かえでは何かを思いついたように手を打つ。


「それに、原因がわかったということは、解決できるということです!」


 自信満々に宣言して、彼女は猫又の少女に向き直った。


「ヤツカさんは悪い神様ではありませんよ。いつも私のことを守ってくれるんです」


「人を守る神様……? じゃあ、わたしのこと食べない?」


「もちろんです! いい神様ですから。このことを、みなさんに伝えてくれませんか?」


「みんなに?」


「はい! そうしたら、またアトラクションを動かしてもらえますよね?」


「う、うん……危険じゃないってわかったら、みんな働けると思う……」


 なるほど、これなら。


「これで、改めて遊園地を楽しめますね!」


 かえでが明るい笑顔を投げる。


 ずいぶん遠回りになってしまったが、やっと遊園地らしいことができそうだ。


 せっかく来たのに、ゲームをするだけで終わるのはもったいない。


「じゃ、じゃあ……みんなのところ、行ってくるね」


 猫又の少女は、まだ少しだけ怯えた様子で歩き出した。


 離れようとする女の子に、しかしかえでが待ったをかける。


「あ、私たちも行きます! 怯えさせてしまったことを謝りたいですし」


 かえでが謝ることではないが、同行することには賛成だった。


「僕のことは自分から説明したほうがいいか」


 自分への誤解なのだから、自分で解決するべきだ。


「う、うん……じゃあ案内するね」


 女の子はひとつ頷いて歩き出す。それに僕とかえでが続こうとした時だ。


「――っ!」

 不穏な気配に襲われる。


 さっきも感じた気配だが、数倍に膨れ上がっている。とても危険な予感がする。


 目の前にいる猫又に目を向けるが、この気配は彼女から発されているわけではなさそうだった。


 ということは、発生源は別にいる?


 そう理解した直後、そいつらは現れた。


 床から黒い煙のようなものが噴き出し、いびつな人型にまとまっていく。


 ――■■ッ!

 声にならない叫びが響き渡る。


 猫又の少女が恐怖に身を固くした。


「わわっ! なにあれ……!?」


「ケガレだね」


 自我を持たない、負のエネルギーの塊。


「ど、どうしてケガレがこんなところに……? こんなこと一度もなかったのに!?」


 女の子が驚きの声を上げるものの、僕たちには予想できていたことだ。


 霊を引き寄せやすい賑やかな場所に、依り代として最適なかえでがいる。


 こんな条件をそろえて、何かが現れないほうがおかしい。


 次々と出現するケガレは、十体ほどで打ち止めとなり、


 ――■■■ッ!

 再び大きく咆哮した。


 臨戦態勢に入ったということなのか、ケガレたちの体が膨れ上がり、一斉にこちらに迫ってくる。


「わぁ!? た、食べられちゃうよぉ……!」


 猫又は涙目でガタガタと震え出す。

 今にも泣きだすか、気絶しそうだった。


 そんな怯えきった様子の女の子を安心させるように、かえでが優しく抱きしめる。


「大丈夫ですよ。ヤツカさんがいますから」


 どこか自慢げなかえで。

 彼女にそんなふうに言われたら、手抜きはできない。


 二人をかばうように前に出る。


 そして周囲に視線を走らせた。近くに人はいない。

 なら、ちょっと本気を出しても大丈夫だろう。


「……ふぅ」


 集中するようにひとつ息を吐く。

 そして、左腰に両手を構えた。

 まるでこれから刀でも持っているかのように。


 ――■■ッ!


 ケガレたちはすぐそばまで迫ってきている。

 けれど、焦る必要はない。


「――」


 右手を動かす。刀を抜くように。

 そうすることで僕の手に、淡い光を放つ直刀が出現した。

 抜刀しながら、勢いよく直刀を横に薙ぐ。


 それだけで、ケガレたちはすべて両断されていた。


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