2人で見た景色8
いくつかのアトラクションを巡ったあと、かえでが声を上げる。
「また職員さんが不在です!?」
そう、僕たちが向かったアトラクションが、ことごとく休止していたのだ。
「ついさっきまでは動いてたみたいだけど……」
周囲には僕たちが乗ろうとしていたアトラクションの感想を言っている子どもたちが。
こういうことが立て続いていた。
確かにアトラクションは動いていたはずなのに、僕たちが到着する直前にいきなり休止状態になってしまう。
結果、僕たちはまだ一回も、まともに乗り物に乗れていない。
せっかく遊園地に来たのに、まったく楽しめていなかった。
「なんか……ごめん」
「えぇ!? なんでヤツカさんが謝るんですか? ヤツカさんは悪くないですよ」
「まぁ、そうなんだけど……」
なんとなく、僕が謝らないといけないような気がしていた。
理由はわからないけれど。
「と、とりあえず、次行こうか」
なんの計画性もない提案。
それに彼女は満面の笑みで応じた。
「では、次はここに行くのはどうでしょう!」
そうして提案されたのは、ゲームコーナーだった。
クレーンゲームにレースゲーム、対戦ゲームなど小規模ながらも、様々がゲーム機がそろっている。
「さすがに、ゲーム機まで止まってるってことはなかったね」
「よかったです! これでやっと遊べますね!」
安心したように笑顔を浮かべるかえで。
しかし、僕には心配が残る。
「せっかく遊園地に来たのに、ここでいいのかな? これだとゲームセンターと変わらないけど」
「大丈夫です! 私、ゲームセンターにも行ってみたいと思ってたんです」
彼女は気を使っている様子もなく、満面の笑みを浮かべる。
「今日だけで二つも夢が叶いました!」
遊園地に行く、ゲームセンターに行く。
確かに形の上では二つ叶えたことになるだろう。
しかし、どちらも不完全な気がする。
遊園地では、まだひとつもアトラクションに乗れていないし、このゲームコーナーもゲームセンターとは少し違う。
これで夢を叶えたと言っていいのが、すごく心配だ。
けれど――
「わぁ! いろんなゲームがありますね。ヤツカさん、あのお菓子がいっぱい入っているゲームはなんですか!?」
かえでは心底楽しそうだ。
「満足してるなら、いいか」
小さくつぶやく。
「はい? ヤツカさん、何か言いましたか?」
「いや、なにも」
大したことは言っていないと返して、僕は周囲のゲーム機を見回した。
「どのゲームをやろうか? かえではやりたいものとか、ある?」
「あ、はい! 前から気になっていたものがあるんです!」
喜々として彼女が指し示したのは、とても有名で一般的なものだった。
これを目的にゲームセンターに行く女性も多いだろう。
その場で撮影した写真をシールにしてくれる機械、プリクラだ。
「これが気になってたの……?」
「はい! クラスのみなさんもよく撮っているらしいので。私も一度撮ってみたかったんです!」
なるほど、周りがやっていることに興味を持つのは、まぁ当然と言えば当然か。
「さぁ、ヤツカさん、一緒に撮りましょう!」
「え? 僕も……?」
「もちろんです! 今日の記念に!」
そう言われては、断ることなどできない。
「わかった、じゃあ記念に」
「では、さっそく入りましょう!」




