2人で見た景色3
「じゃあ、行ってきたらいいんじゃないかしら~?」
「え、でも私は……」
戸惑うかえでのことなど気にせず、秋穂さんはあるものを取り出した。
小さな二枚の紙切れを僕たちに差し出す。
「これ、お得意様にもらっちゃったのよ~」
差し出された紙に視線を向ける。
細長い紙にはカラフルな印刷が施されて、切り取りやすいように点線が打ち込まれていた。
その表面には「浅草花やしき」と「特別優待券」という文字が書かれている。
これはもしかして……。
「遊園地のチケット?」
「そうよ~。ちょうどペアチケットをもらったの。明日は土曜日だし、ヤツカちゃんとかえでちゃんの二人で行ってきたらどうかしら~?」
秋穂さんの嬉しい提案に、しかしかえでは困惑を返した。
「だ、ダメですよ……遊園地なんて。そんな人の多いところに行ったら、迷惑をかけちゃうかもしれませんし」
コンビニに行くことすら危険だと注意されている彼女だ。
遊園地で、もしかえでに悪霊が取り憑いたら……。
どれほどの被害が出るのか計り知れない。
なにより、かえでが悪いモノに狙われる可能性を高める。
僕としても、あまり賛成はできない。
けれど、秋穂さんはまったく気にした様子もなく、笑顔を僕に向けてくる。
「ヤツカちゃんが一緒なら大丈夫よ~」
「え? 僕……?」
いきなり話を振られて戸惑っている僕だが、なぜかかえでは納得するように頷いていた。
「あ、そうですね! ヤツカさんがいてくれるなら安心です」
「いや、待って! 安心するのが早すぎる!?」
もうちょっと警戒心というものを持ったほうがいい。
自分の体のことなのだから。
そんな楽観的な考えでは、すぐに悪霊に取り憑かれてしまうのではないかと心配してしまう。
けれど、僕の心配とは対照的に、秋穂さんが安心しきった笑みを返す。
「だって、かえでちゃんのこと、守ってくれるんでしょ~?」
「……確かに、そう約束しましたけど」
「じゃあ、大丈夫ね~」
信頼が厚すぎる……。
「はい! ヤツカさんと一緒なら、何が起きても大丈夫ですよね!」
かえでも!?
少しはいざという時のことを考えてほしい。
僕だって、最強というわけではないのだから。
「……とはいえ」
せっかく期待してくれているのだから、できることなら応えたい。
たとえ無茶でも、なんとかしてみよう――そう思えてくる。
「わかりました。僕がきっと守ってみせますよ」
「さすがヤツカさん! 頼りになります!」
僕の言葉に、かえでが飛び跳ねそうな勢いで喜ぶ。
そして秋穂さんは改めて、僕たちに遊園地のチケットを差し出した。
「よかったわ~。じゃあ、デート楽しんできてね」
「あ、はい。デートを……」
……ん?
「デート!?」




