かえでからの相談11
「――――」
わずかに躊躇しそうになる。
おそらく、直刀を出せば、これまでの比ではない激痛が走るだろう。
朝から僕の全身を襲っているのは、神気を強化した反動だ。
筋肉痛の時には、筋肉を力ませると痛みが走る。
では、今の状態で、僕の神気を体現する直刀を出したら?
その負担は想像しきれない。
「とはいえ、心配させたままっていうのもカッコ悪いし」
短く息を吐く。覚悟を決めるように。
右手を動かす。
刀を抜くように。
その動きに合わせて、僕の手に淡く光を放つ直刀が出現した。
「――ッッ!」
全身を痛みが駆けまわる。
動くこともできなかった今朝より、さらに激しい痛み。
正直、意識が飛びそうだ。
「だけどっ!」
歯を食いしばって耐える。
ここで気を失ったら、それこそかえでを心配させてしまうし、葉菜の抱えている問題を何も解決できていない。
二人を守るためなら、動けなくなるほどの痛みだって耐えてみせる。
「……まぁ、だから一歩も動けないんだけどね」
小さく、自分にツッコミを入れる。
僕は今、激痛で動けない。
それでも、戦いようはある。そのために直刀を抜いたのだから。
「いい加減、止まってもらう!」
直刀に力を込める。
そうすることで、直刀が放つ光が強くなっていく。つまり、僕が放つ神気が高まっているということだ。
低級霊が僕の神気に触れて、平気でいられるはずがない。
――キュウ
短く、鳴き声が聞こえた。
足下を見れば、白い影が転がっている。
再び僕に攻撃しようとしたところを神気に当てられたのだろう。
「つっ……!」
急いで直刀を納め、大きく息を吐く。
全身が針で刺されたように痛い。
これは、数日の間は痛みと戦うことになりそうだ。
とはいえ、そのおかげで事件が解決できそうだから、よしとしよう。
「さてと……正体を見せてもらおうかな」
足下に転がる白い物体をつまみ上げる。
――キュウ
再び小さく鳴いたそれは、
「……ウサギ?」
動物霊だった。
捕らえられた白い影に、ベッドにいる二人も首を傾げている。
「こんなに可愛い子が、私の服を……?」
葉菜の疑問も頷ける。
見たところ凶暴そうな印象はないし、大した力も持ってなさそうだ。
僕の神気に当てられても消滅しなかったことを考えると、人間に害を与えるモノではないと思うけど。
――キュウ?
動物霊の体に徐々に力が戻ってくる。
もう僕の神気は納まっているから、徐々に回復してきたのだろう。
正気を取り戻すように首を左右に振り、周囲を見回して自分の状況を確認している。そうして現状を理解した瞬間だった。
――■■ッ!
「うわっ! おい、暴れるな!」
聞きとれない鳴き声を上げ、牙を剥いて僕の手から逃れようとする。
――■■■ッ!
「え? なんだって?」
なにか主張しているようにも見えるが、低級霊だけに言葉を解していない。
これでは意思疎通は難しい。
悪いモノではないようだから倒すわけにもいかないが、かといってこのまま暴れられるのも困る。
「どうしたものかな?」




