かえでからの相談7
「ちょっと見せてもらってもいいかな」
布袋のひとつを受け取り、細かく観察していく。
かえでも興味深そうに、僕が持つ布袋に顔を近づけた。
「何かわかりましたか?」
「悪いモノではなさそうだけど……霊的な力が込められてるね」
「じゃあやっぱり、葉菜さんが見た幽霊さんが置いていったものなんですね!」
重大なヒントが見つかったと思ったのか、かえでがちょっとテンションを上げていた。
「それで、どんな力が込められてるんですか!?」
「いや、そこまでは……」
答えに困る。
「僕は戦うのが専門なんだよ。術とか道具には強くないんだ」
秋穂さんあたりが見たら、わかるのかもしれないが。
「とりあえず変な術が発動するかもしれないし、これは僕が預かっておいてもいいかな?」
「う、うん、そうだね。捨てようか迷ってたけど、何かあったら怖いし。でも、このまま置いておくのも怖くて……持っててくれると安心かも」
彼女から合計七つの布袋を受け取り、それをポケットにしまう。
仮に危険な力が込められていたとしても、これなら被害を受けるのは僕だけだ。
そして肝心の白い霊への対応だが、
「下着は毎日なくなってるんだよね?」
「うん。毎日、一枚ずつ」
それなら、僕にやれる対策はひとつだけだ。
「夜まで待とうか」
僕の提案に、かえではなるほどと頷いた。
「そうすれば、幽霊さんのほうから来てくれますね」
そこを捕まえれば、簡単に解決だ。
「よ、夜まで男の子を部屋に……?」
しかし葉菜は頬をそめて、一歩身を引いていた。
「いや、そんな警戒しなくても」
「葉菜さん、大丈夫です! 私もいますから!」
慌ててフォローするかえでだが、僕の人柄に対してもフォローを入れてほしかった。
ひとまず僕の方も、葉菜を安心させる話題をしておこう。
「この部屋で待つわけじゃないから大丈夫だよ。僕たちがいたら、霊が来ないかもしれないし」
「でも、いざあの幽霊が来たら、どうするの?」
「そうですよ、ヤツカさん。葉菜さんに玄関まで下りてきてもらう、というのは無理があると思いますけど」
そこは問題ない。
「窓の鍵だけ開けておいてもらえるかな? そしたら、ここから入ってくるよ」
「え? でも、ここ四階だよ?」
戸惑う葉菜だが、僕にとっては大した障害ではない。
「まぁ、四階くらいなら、ひとっ跳びでいけるよ」
「確かに、ヤツカさんならそれくらいできそうですね」
かえでの同意を聞いて、葉菜はさらに混乱を深めているようだった。
「ヤツカさんって何者なの?」
最初に会った時にも聞かれた質問。
これにかえでが自慢げに答えた。
「だから、神様ですよ!」
「えっと……」
困った表情の葉菜。
けれど、喫茶店の時のように、即座に否定してくることはなかった。




