表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/93

かえでからの相談4


 彼女は恥じるように視線をそらして、ゆっくりと口を開いた。


「それは多分あれです。私について、とあるウワサが流れているからではないかと」


「ウワサ……?」


「葉菜さん、そうですよね?」


 かえでに話を振られて、葉菜の肩がビクンと跳ねる。


 彼女は言いにくそうにしながらも、僕とかえでの視線を受けて、諦めるようにため息をついた。


「夜里かえでは呪われている」


「……あぁ」

 そういうことか。


「夜里さんの周りで、変なことがよく起きるってウワサしてる子がいて……」


 伏し目がちに告げた葉菜は、慌てて両手を振った。


「い、一部の子たちだけだよ! 私はそんな話、信じてないし……夜里さんとは、本当にたまたま話す機会がなかっただけで……」


 むしろ、と彼女は付け加えた。


「そのウワサのおかげで、こうして相談に乗ってもらえてるから、よかったかなって」


「本当ですか!? お役に立てたならうれしいです!」


 かえでは悲観する様子もなく笑顔を返し、すぐにすこし申し訳なさそうな表情を浮かべた。


「でも、私自身はなんの力もなくて……なので、ヤツカさんに協力してもらうことにしました!」


「そのヤツカさんは、なんの人なの? さっきの説明だといまいちわからなくて……」


 まぁ、それはそうだろう。僕たちだって説明が難しい。


「えっとですね……ヤツカさんは、なんと言ったらいいか……私が下宿している霊能事務所に住み込みで働いてくれてまして……と言っても、働き始めたのは昨日からなんですけど」


 しどろもどろになっているかえでの説明に、葉菜はいくつかの情報をピックアップして眉をひそめた。


「下宿先に、住み込み……? ということは、二人は同居してるってこと?」


「なっ!?」


「い、いえ……っ! 同居とか、そういうのではなくてっ! ……あれ、でも同じ家に住んでるんですから、同居になるんですか?」


 いや、僕に聞かれても困る。


「とにかく! 違いますから! 私とヤツカさんは、そういう関係ではなくてですね……むしろ、なんでもありませんから!」


「……」


 事実だけど、そこまではっきり言われると悲しいものがある。


「私、そこまでは言ってないけど……」


 あまりに強い否定に、葉菜のほうも戸惑っているようだった。


「結局、ヤツカさんは何者なの?」


 しかも伝わっていないし。


「えっと、ですから……その……」


 このままかえでに無理な説明をさせ続けるのは、なんだか申し訳ない。


 困っている彼女は見ていたくないし。


「僕は神様だよ」


 だから正直に話すことにした。


 けれど、いきなりすぎたせいか、葉菜は目を丸くしている。


「え? 何かの冗談……?」


 そう思うのが普通だろう。


「いや、本当の話だよ。僕は正真正銘、本物の神様」


「ヤツカさん!? そんなはっきり言っちゃっていいんですか?」


 かえでが心配そうにしているが、問題ない。


「教えること自体は悪い事じゃないよ。それで罰が下ることもないし」


「あ、いえ、そっちではなくて……頭がおかしい人とか思われちゃいますよ?」


「そっちか……」


 とはいえ、そこも抜かりはない。


「まぁ、かえでの悪いウワサを聞いた後でも話しかけてくれる子だから、大丈夫かなって」


 という僕の予想に反して、葉菜はめっちゃ引いていた。


「自分のことを神様って……夜里さん、この人で大丈夫なの?」


「だ、大丈夫です、大丈夫です! ヤツカさんは頼りになる人ですから!」


「ほんとかなぁ……」


 真偽を探るように、疑いのまなざしが向けられる。


 やっぱり正直に話すべきではなかったかもしれない……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ