表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/93

地下倉庫の悪霊11


 次々と黒い煙が湧き出て、人型の怨念は数を増していく。


 視認できる限りで、すでに五体。そのすべてが、敵意をもってこちらに向かってくる。


「まずは一体!」


 近くにいた怨念に斬りかかる。


 僕の攻撃は問題なく怨念を切り裂き、確実に数を減らす。しかし、


「これは……前に進めないね」


 次から次へと怨念が迫ってくる。


 倒すことはできるが、僕の目的はこいつらを倒すことじゃない。


 秋穂さんから課されたのは、契約書を取ってくることだ。


 このままでは本来の目的を達成できない。


「どうしたものかな……?」


 なんとか打開策はないか考える。


 それがよくなかった。

 考えることに集中して、視野がせまくなっていたのだろう。


「きゃあっ!」

 かえでの悲鳴。


 見れば、物陰から新たな怨念が飛び出してきていた。もう少しでかえでに手が届く距離まで接近している。


 考えごとをしていたせいで、対応が遅れた。


 夏希は、近くにいる怨念の相手で手いっぱいのようだ。


「かえでっ!? 逃げて!」


 すぐにでも駆けつけたいようだが、敵がそうはさせてくれない。


 ここは僕がいくしかないだろう。

 しかし位置が悪い。


 敵は、かえでを挟んだ向こう側にいる。ここから攻撃をしたら、かえでを巻き込むことになる。それはできない。


「かえで、手をっ!」


 だから僕は、敵を倒すのではなく、かえでを守るための動きをした。


 手を伸ばし、かえでを引き寄せる。


「――っ!」

 かえでの手をつかんだ瞬間、奇妙な感覚がした。


 ピリッと痺れるような。けれど、どこか心地よい感覚。


「なんだ……?」


 よくわからないが、その原因を調べている場合ではない。


 敵は迫ってきている。


 かえでを引き寄せると同時に直刀を構え、敵の攻撃を受け止める準備をしておく。


「――出テイケッ!」


 怨念の手が振り下ろされる。


 その手が、僕の構えていた直刀に触れ――勝手に両断された。


「自滅した?」


 しかしおかしい。


 さっきの怨念は、僕の攻撃を素手で受け止めていた。


 怨念によって強さが変わることはないだろう。本体が同じなのだから。


 にもかかわらず、ただ受け止めるために構えていた直刀で、腕が両断できた。


「どうして……?」


 原因はわからない。

 けれど、考えている余裕もなさそうだ。


「――憎イッ、憎イニクイニクイッッ!!」


 怨念が残ったほうの腕を振り上げる。


 まずはこいつを倒すほうが先決だ。


「すこし強めにいくよ」


 確実に怨念を倒すために、力を込めて直刀を振るう。


「――ッッ!」


 僕の攻撃に、眼前の怨念はあっさりと消滅した。


 ここまでは想定内の出来事だ。


 しかし、予想していなかったことまで起きた。


「すごいです……! 一気に倒しちゃいましたっ!」


 かえでが驚きの声をあげる。


 僕も驚いていた。


 そう、かえでの言う通り、刀を一度振るっただけで周囲にいた怨念もまとめて消滅させてしまったのだ。


 刀が触れたわけでもないのに。まるで、斬撃が飛んでいったように、離れた怨念が両断された。


「……僕の力が強くなってる?」


 ありえないことだ。


 厳しい修行をしたならまだしも、こんな短時間で強くなることなんてありえない。なにか異変でもないと。


 そして考えられる異変と言えば――


「……」


 僕は自然とかえでを見つめていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ