表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/93

地下倉庫の悪霊3


 押し倒してしまったのに笑顔を向けてくれるなんて、小鈴は心が広い。


 それとは対照的に、夏希は僕に鋭い視線を向けていた。


「私は納得できてないから。本当はわざとやってるんじゃない?」


 疑いの目が向けられるが、それは秋穂さんによってすぐに否定された。


「それはないと思うわよ~。ヤツカちゃんくらい強い神様だったら、私たちを力づくで従わせることだってできるもの~」


「力づくで!?」


 夏希は身を守るように、自分の体を抱きしめていた。


「いや、やらないから! 秋穂さん、フォローになってないですよ!」


「あら~? でも、強いのは本当じゃない~」


 これに勢いよく賛同したのは、かえでだった。


「はい! 昨日は何度も助けられちゃいましたから。悪い人を、あっという間に倒しちゃって、すごかったです!」


「ほんと助かったわ~。だから――」


 秋穂さんは僕の手をつかむと、いきなり引き寄せてきた。


「お礼のぎゅ~っ」

「――っ!?」


 次の瞬間には、柔らかい感触に包まれていた。


 急なことだったので反応が遅れたが、どうやら秋穂さんに抱きつかれたらしい。


 全身を柔らかい感触に襲われるが、特に顔がやばい。


 二つの大きなふくらみに包まれて、その圧倒的な存在感にめまいがしそうだった。


「よしよし~、えらいわね~」


「ちょっと姉さん、何してるの!? そいつは男っ!」


「えぇ~、男の子も女の子も関係ないわよ。頑張った子は褒めないと~」


「そういうことじゃなくてっ!」


「あ、そうだわ。ヤツカちゃん、ここに暮らすなら、うちで働いちゃうのはどうかしら~?」


 仕事がもらえる!?

 それは願ったり叶ったりだ。


 しかし、どうも思考がまとまらない。返事ができない。


 だって柔らかくて、いいニオイで、そして何よりも……苦しい!


 顔面が完全に包まれてしまって、息ができない!


 息苦しさに悶えていると、かえでが異変に気づいてくれたようだ。


「秋穂さん、ヤツカさんがっ!? 窒息! 窒息しちゃいますっ!」


「あら? あ~、ごめんなさいね」

「ぷはぁ!」


 やっと解放されて、大きく深呼吸する。


「大丈夫かしら~?」


「は、はい……なんとか」


 神を殺すほどとは……恐ろしい膨らみだ。


 まだクラクラする。足下がふらついて、視界が揺れて……


「あ、やばい」


 そう思った時には手遅れだった。


 ぐあっと頭が揺れて、気づけば視界に天井が映っていた。


 その直後、背中に衝撃が襲う。


 どうやら倒れてしまったらしい。我ながらなさけない。


「だ、大丈夫ですか!?」


 かえでの心配する声が聞こえる。


「なんとか……」


 返事をしながらすぐに立ち上がろうとしたのだが、ふと右手が何かに触れた。


 棒状で、しっとりと手に吸い付くような感触で、少し硬い部分と柔らかい部分があって、


「……きゃっ」


 短い悲鳴。


 すこし幼いその声に視線を向けると、僕がにぎっていたものが何かわかった。


 僕の右手は、黒い着物のなかに滑り込んでいる。


 倒れる勢いで近づいてしまっていたのだろう。


 僕は、ミヤビのふくらはぎを触っていた。


「いやぁぁぁぁっ!」


 これまでのイメージからは想像もできない大きな叫び。


 それに呼応するように、彼女の体から灰色のモヤが放たれた。


「これは……っ!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ