神様雇います10
「私は兵器みたいなものなんです。使い方を間違えたら、どんな悲劇だって起こせます……」
自分のことを兵器という彼女は、とても悲しそうだった。これまでの明るい雰囲気が嘘のように。
「私の体質のことは、あまり人に話したくないんですけど……でも、ヤツカさんのことは巻き込んじゃいましたし、助けてもらったので本当のことを話しておきたかったんです」
彼女は一瞬だけ目を伏せて、それから心配そうな視線を向けてきた。
「あの……私のこと、嫌いになりましたか?」
「え、なんで?」
予想外すぎる質問に、とっさに聞き返していた。
かえでの方はというと、こちらも僕の反応が予想外だったのかビックリした様子だった。
「だ、だって、私は危険な存在なんですよ!? 悪霊に憑りつかれたら、いろんな悪いことができちゃうんですから!」
「それは悪霊が悪いわけで、かえでが悪いわけじゃないし」
「っ! そ、それは……そうですけど……」
というか、問題はそこじゃない。
「ってことは、かえでは常に悪霊に狙われる可能性があるわけか」
それだけではない。さっきの男のように、かえでを危険視している人間が襲ってくることだってあるだろう。
出稼ぎのための都心に出てきて、いきなりこんな特別な女の子に出会った。
――これも何かの縁だろう。
「よし、決めた。僕が君を守るよ」
「……え?」
「どんな悪霊も、人間が相手でも、君を襲うものは僕が倒す。一生守り続けるよ」
人間を守る神として、この状況を知って放置することなどできない。
そんな僕の言葉に、かえではなぜか顔を真っ赤にして、あわあわと困惑していた。
どうしてそんなリアクションになるのだろう?
「えっと……もしかして、ダメだったかな?」
不安になって尋ねると、彼女は慌てて首を横に振る。
「い、いえ……っ! ダメではないです。ただ……お、男の人にそんなこと言われたの初めてだったので……」
「そんなこと?」
って、どんなことだろう?
いまいちわからず困惑していると、なぜか秋穂さんが楽しそうに微笑んでいた。
「あらあら~、一生守るって……つまりプロポーズってことでいいのかしら~?」
「ぷ、プロ……ッ!?」
え? そうなるの?
確かに、死ぬまでそばにいるということだから、そういうふうに取られてもおかしくはないけれど。
「いや、違うんだ! 他意はなくて……ただ、かえでを守りたいと思って!」
「そ、そうですよね! 大丈夫です、わかってますから。ちょっと、ドキドキはしましたけど……」
理解を示してくれたかえでだが、その顔はまだ真っ赤だし、視線を合わせてくれない。
そんな彼女の様子に、僕までドキドキしてしまいそうだ。
「……っ」
しかし、あることに気づいて、それどころではなくなった。
視界の端で、わなわなと震えている夏希の姿を見つける。
こちらへの説明は間に合いそうにないな。
覚悟を決め、歯を食いしばる。
直後に、夏希が一瞬で間合いを詰めてきた。
「この色ボケ神っ!」
渾身の拳が頬を打ち抜き、僕は本日二度目の気絶を経験した。




