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File:002 信
外では悲鳴が聞こえる。
カラスと、
理性を失った人間と。
海を挟んだ向こうを見る。
彼女は向こうだったよな。
ニュースの声がうるさくなる。
俺はテレビを切る。
彼女とのトークを見返す。
ふっと笑みが零れる。
ふっと涙が零れる。
なぜだろう?
何も怖くないはずなのに。
外の悲鳴が大きくなる。
外の景色が歪む。
もう最後だな、と感じる。
何も根拠はないのに。
『信じてくれ』
カッコつけて言った
あんな言葉も
守れないと知っていたなら。
もうじき空が光るだろう。
”向こう”に手を伸ばす。
届かないと知っているのに。
知っていたはずなのに。
次の瞬間。
ひとつ、都市が消えた。