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薄暮  作者: 私茶(S.Odiums)
2/5

File:002   信

外では悲鳴が聞こえる。


カラスと、

理性を失った人間と。


海を挟んだ向こうを見る。

彼女は向こうだったよな。


ニュースの声がうるさくなる。

俺はテレビを切る。


彼女とのトークを見返す。


ふっと笑みが零れる。

ふっと涙が零れる。


なぜだろう?

何も怖くないはずなのに。


外の悲鳴が大きくなる。

外の景色が歪む。


もう最後だな、と感じる。

何も根拠はないのに。


『信じてくれ』

カッコつけて言った

あんな言葉も


守れないと知っていたなら。


もうじき空が光るだろう。

”向こう”に手を伸ばす。


届かないと知っているのに。

知っていたはずなのに。


次の瞬間。

ひとつ、都市が消えた。

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