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魔討戦記  作者: NGO
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対天使編



その日、夜に太陽が昇った日。

俺たちは、人間たちは知らされた。

天上の者との在り方を


決意した。

牙を研ぎ、奴らを総て討ち払うことを……




王室魔討士(おうしつまとうし)魔払士育成科(まばらいしいくせいか)

天上のもの、すなわち天使、悪魔を討ち、払う者を育てる王室直属の育成機関。


俺はここの第9代入門生として迎え入れられた。

かつては崇拝し、供物を捧げ、ひたすらに奴らを信仰していたものもこの世界には多くいた。

しかし今は一部を除き皆が奴らを殺すことに人生を捧げていると思っていた。

だがどうやらここは違うらしい。


『ディオン様ー!!』

「焦らないでください僕は1人しか居ませんが順番に話をしますから」

『きゃー!!』

ークリスチャン・ディオンー

家族全員魔討士の家系の特待入門生。

金髪、碧眼、しかも御曹子であり才覚(ブランド)もちである元敬虔な信仰者の一族…いわゆるキャリア組だ。

ここはそういった特殊な才覚を持つ者達を鍛え上げ天上の奴らと対抗する戦力とするための機関だ。


「全員、着席」

『っっっ!??』


静かに放たれたその一言でその場にいた者は地面にひれ伏された。


「ほう。今年は2人も居るのか。」

俺ともう1人だけがその言葉のプレッシャーに負けず立つ事が出来ていた。その俺たちに目線を配りながら彼女はこういった。


「クリス・ヴェン・アッシュ、イヴ・サン・ドーラか…よし、君たちはこのクラスの筆頭指揮生とする!」


「納得いきませんね教官…」

ざわつく室内から1つだけ声が上がった。


「おや?少しは骨のある奴が残っていたか。さすがはクリスチャンの家系だな。」


「私はクリスチャン家の中でもトップクラスの才覚持ちです。それをアッシュの烙印を持つものの下につく事は死よりも屈辱です!!」


『アッシュの烙印持ちだって?』

『あの夜の生き残りということか?』

『ということは七聖天使の!?』


「諸君そこまでだ。私の決めた采配に異議があるなら貴様が奪い取ってみせろクリスチャン・ディオン。仮にも才覚持ちならば然るべき時にその機会は回ってくるだろう。今日は解散!皆の部屋割りはそこの紙に書いおいた。確認して部屋の整理を行え、以上!」


足早に教室を出る者、知り合いと談笑している者と皆の足並みはバラバラだが、これから相棒になるイヴ・サン・ドーラと会話をしておこうか

と考えていると物凄い剣幕でこちらに歩みよるものがいた。


「アッシュだと……!くっ!クリス・ヴェン・アッシュ!!俺の名前はクリスチャン・ディオン。クリスチャン家の次期党首となる男。この後闘技場へ来い!貴様が筆頭指揮生など俺は認めないっ…!

ふぅ…失礼。イヴ家の党首様。お見苦しい姿を見せてしまい申し訳ありません。しかし是非見にいらしてください必ず貴女の横に立って見せます。では。」


『ディオン様ー』

取り巻きなどあいつにとっては本当に意味の無い存在なのかのようにこの部屋を1人で出て行くディオン。

イヴ家の党首と言っていたがこの子がそうなのか。イヴ家…ね…


「……なによ、私の顔がそんなにおかしいかしら。それとも何か聞きたい事でもあるの?」

「イヴ家には、特に党首ならば聞きたい事は山ほどあるがとりあえず今は仲良くしておこうぜ、俺の名前はさっきも出たから知っていると思うがクリス・ヴェン・アッシュだよろしくなイヴ・サン・ドーラさんよ」

「そうね。同じ筆頭指揮生として友好的であるのに越した事は無いわ。七聖天使の燃えかすさん」


「気に入らねぇか?」

「いえ、最高ね。あなた、どんな才覚を持っているのかしら?アッシュの烙印についても詳しく聞きたいわ。魔討士の始祖とも言えるあなたの父親についても…ね。」


「ふん、言ってろ…俺はディオンの所に行ってくる」

「では、御一緒させていただこうかしら」


さてクリスチャン・ディオンの才覚はどんなものだろうか。溢れる笑みを隠す事が出来ているだろうか。

さぁ行こう。



「きたか、クリス・ヴェン・アッシュ」

「あぁ、きたぜ、クリスチャン・ディオン」

「教官が来る前に終わらせてしまおう。さっきはプレッシャーに対応できない無様な姿を見られたが今回はそうは行かない。覚悟してもらおう。」

「俺が勝ったらお前はどーすんだ?何かできる事があるのかよ?」

「私が負ければ大人しく君の元へ下ろう。一切関わらなと言えばそのようにしよう。」

「やっすいな…まぁいいぜ、始めようか!」


「行くぞ!」

ディオンが地面を蹴った瞬間俺の体は宙に浮いていた。

「ぐはっ…!?」

「えあぁぁ!!」

背後からの一撃。かなり研ぎ澄まされた戦闘スキル。さすがは名家の歴代トップクラスだ。

「どうだクリス・ヴェン・アッシュ。これが僕の才覚だ。歴代トップクラスの名に恥じない最強の能力。願望の具現化だ。貴様がどんな才覚を持っていようとこの才覚の前で効力を発揮できるかな?」


得意げに指を立て能力を説明してくれるクリスチャン・ディオン。だが。


「そうだな、もうケリがついてなきゃあいい出来だったな」

「何をバカな…ガハッ!?」

血反吐を吐き散らかすディオン。

「お前の負けだクリスチャン・ディオン」

『何があったんだ?』

『ディオン様の一撃で勝負は決まっていたはずだ!』

『ありえない…』

「たく…イッテェーな、しかし願望の具現化か、確かに最強の才覚と言って過言じゃねぇな。使い手さえ習熟していれば今の一撃で俺の意識を刈り取れただろうよ」

確かに強力だ。しかし完封していなければ俺の敵ではない。そう。俺の才覚の前では。

「俺は手の内は明かさない。そこでどうして負けたか考えてな御曹子。あばよ。」

そう。手の内は明かさず周到に勝負を終わらせる。そうでなくては上へは上がれない。俺は油断しない。

「舐めるなぁ〜っ!!!」

「っ!?なに!?」

「はぁ、はぁ、くそがっ!!!この俺を、クリスチャン・ディオンを舐めるなよ燃えかすがぁ!」

「なるほどその才覚はそういう使い方が本当の姿なわけだ。自分の体の傷が治癒している願望を具現化したのか」

「貴様の才覚は読めたぞ。反射、いや痛み分けといったところか。貴様に攻撃を当てた箇所と同じ箇所が痛む。しかし貴様もダメージを受けているところを見るとそういうことだろう。だがなぜ貴様はこれだけのダメージを負ってその程度でいられる!何かまだ隠しているのか!」

「お前と違って俺は体を鍛えているからな。その才覚なら奢るのも分かるが基本は肉体を鍛えて牙を研ぐことだ。次で終わらせてやる!行くぞ!」

「こいっ!クリス・ヴェン・アッシュ!我が力の全てを持って貴様をねじ伏せる!」

「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」

その瞬間俺は自分の体を貫いた。

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