2度目の競売
2度目の競売
三峰さんの任意売却も上手くいかず、結局2度目の競売にかけられる事になった。今回の売却基準価額は三峰さんの言っていたとおりで、前回の3割引きの1,500万円だった。最低落札価額は1,200万円だ。
私も疲れてしまって、それならそれで終わってくれれば良いとも思った。競売も2度目なので慣れたものだ。こういう場合若い人なら「(笑い)」とか書くのだろうか。前回は入札が1件もなかった訳だが、1,200万円であればいくらなんでも入札があるだろう。前回の最低落札価額は1,700万円位だったから、1,200万円~1,700万円の間になるのだろう。
何かもうどうでもいいかな、と思う。なるようにしかならないし。でも民事再生にならずに自己破産になったら住む家がなくなってしまう。私たち家族はこれからどうやって暮らしていくのだろう。自然と涙が出てくるが、ただ泣くだけだ。泣いてもしょうがないのだけど、やっぱり泣く他ないので、ただ泣くだけだ。
そして開札があった。今回は入札が多かったようだ。落札価額は1,800万円だった。1,800万円といえば、前回の最低落札価額より100万円ほど高い価額だ。だったら前のときに1,750万円とかで入札すればよかったのに。
三峰さんに聞くとこういうことは割とよくある事らしい。何にせよ想定していた価額よりも高く落札された事は私たちにとってありがたい事だった。
落札があったので、裁判所の手続きを経て落札者に工場の所有権移転が行われる事になる。抵当権は当然抹消されるのだが、私たちの債務は残るという訳だ。工場をどうするかなどあるので、少しおちついてから弁護士の住友先生に相談してみようと思う。住友先生には取りあえず落札があった事だけを報告した。
しばらくしてから落札者の代理で来たという不動産会社の人が夫の工場にやってきた。そういう人って暴力団まがいのイメージがあったが、夫の話では普通の感じだったそうだ。競売で落札した事、ついては退去をして欲しい事、荷物の整理などの話があったとの事。
話し合いの中で、退去の猶予を2か月もらって工場の荷物はそれまでに夫が整理する事になったそうだ。2ヶ月あれば、仕掛中の仕事を終えてから閉鎖ができるので夫としてはありがたい事だった。
また工場にある機材などは買うと高いのだが、捨てるのも高いもので、落札者から見ればその整理をするのは大変なので上手く折り合ったのかも知れない。今すぐお金を出してまで欲しい人を探すのは大変だが、無料でもらってくれる人なら見つけられるあてがあるようだ。このあたりの事は上手くいった方だと思う。




