2度目の任意売却
2度目の任意売却
何はともあれ2度目の任意売却をする事になり、まずは三峰さんから債権者に相談の電話をしてもらう事になった。以前も冷たい対応だったので自信がないと三峰さんは言っていたが、何とかしてもらいたいと思う。いくら何でも1,500万円の競売は避けたいし、少しでも高く売ってもらって、私たちに残る残債務を少しでも減らして欲しいと思った。
何日かして三峰さんから電話があった。A銀行はやはり完済でなければ応じないとの事だ。正式にはA銀行の保証会社と話をしているのだが、同じようなものだと三峰さんは言っていた。完済に必要なのは2,100万円位なのだが、それでなければ競売の1,500万円で良いのだそうだ。庶民の感覚では例えば1,800万円であっても300万円は多い訳だから応じてくれても良さそうに思うがそうではないらしい。
保証会社が応じないのが珍しい事ではなくこんな理由があるのだと三峰さんは説明してくれたが、説明の内容は一つも覚えていない。とにかく駄目だという事だけが分かった。
三峰さんはその後も頑張ってくれて任意売却の案をつくってくれた。2,280万円で売却してA銀行に2,100万円を返して、三峰さんの仲介手数料など差し引いて100万円が残るので、それであと2件の債権者が同意してくれれば、それで売りに出したい、との事だった。
私たちとしてはそれで大丈夫なのだが、問題は債権者だ。信用保証協会は多分大丈夫そうだという事だったが、B信金は話もしてくれない状況なのだという。
B信金としては競売になって落札があって回収¥0円で、決着があればそれが良いようだ。¥0円より50万円の方が良いと庶民としては思うのだが、金融機関というのはそうではないのだそうだ。私たちにとっての50万円や300万円がどれほどのお金か。しかしお金を返せない身分では何も言えないのは分かっている。悔しいが、悔しいだけなのだ。
結局、B信金には弁護士の住友先生から電話をしてもらった。弁護士から電話があった事により三峰さんが電話をして、話をしてもらえたのだ。任意売却をして売買が決まったら、50万円を受け取り抵当権を外してくれる事を検討してくれる事になった。
但し決定事項ではないそうだ。三峰さんの話によれば、売買が決まった時点で正式に協議をしてもらって、債権者の社内で稟議がおりて、決定なのだそうだ。それまでは正式な回答にはならないが、それは仕方ないとの事。それは信用保証協会にも当てはまるそうだが、任意売却のスタートとしては十分なのでこれで売却活動をスタートします、という事になった。任意売却とはそういうものなのだそうだ。
2度目の競売までの間になんとか良い価格で売れて欲しいものだ。本当のラストチャンスだと思うので、三峰さん頑張ってください。お願いします。
三峰さんによる2度目の販売活動がスタートした。売出価格は2,280万円だ。以前に1,980万円で出ていた事を知っている人は高いと思うかもしれないが、競売で時間が空いたのでその点は少し良かったようだ。
今思えば最初に頼んだC社がキチンと今回の三峰さんのようにしてくれていれば結果が少しは違ったのかも知れないと思う。勿論変わらなかったかもしれないが嫌な気分だ。私たちも冷静でなかったので、それも良くなかったと思う。今も冷静ではないのだが、一度競売にかけられて覚悟したのが良かったのか、少しは冷静になれたと思う。何とか良い報告をもらいたいものだ。
今回の任意売却でも良い報告はなかなかもらえなかった。まあ300万円も高く出した事になってしまっているのだから、周辺地域で投資物件を探している人などは高く買うのは嫌だろうから問い合わせが少ないのも仕方ない事なのだろう。
三峰さんの話では、流れの上で価額の推移がそうなってしまったが、収益率や物件の面積などからは妥当な価額だという事だった。
そうこうしているうちに裁判所から通知がきた。来月2度目の競売にかけられるそうだ。三峰さんには頑張ってもらったが、任意売却もここまでかも知れない。
あと2週間で競売開始のときに三峰さんから電話があった。買いたいお客様が見つかったというのだ。他の不動産会社さんの斡旋らしいが、投資家でローンも大丈夫という話だ。ご主人は物件を見ていてOKで、あとは奥様がOKなら契約をする、との事だった。
これで競売にならずに済む。価額も納得のいく価額で、残債務も競売になるよりずっと少なくなるし、今後も何とかやっていけそうだ。本当に良かった。奥様は来週帰ってくるので、そこで正式に返事がもらえるそうなので、後は待っているように、との事だった。
そして1週間後、奥様の返事がきた。結果は駄目だった。風水で良くないのだそうだ。何だそれ? 自分の住む家の風水なら何となく理解できるが、投資物件でそこまでするか? こんな事って不動産売買ではよくある事なのだろうか。
三峰さんも残念そうだったが、買いたくないのであれば仕方ないと言っていた。確かにその方にとっては風水が大切なのだろうし、競売になった事など考えると縁起が良い物件でないのは確かかも知れない。それにしても残念だったが、もう期日もなくどうしようもなかった。
こうして最後のチャンスも生かせず、2度目の競売にかけられる事となった。




