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競売そして個人民事再生  作者: 三峰
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任意売却

任意売却


 個人民事再生をするため、債務の5分の1を少なくするため、任意売却をする事に決めたので以前に相談をしていた大手不動産会社C社の担当者に連絡をとり、売却の打ち合わせに来てもらった。担当者は大塚さんと言って40歳位の男性でベテランのように見えた。

今まで弁護士さんと話した内容も含めて状況を説明して自分たちの希望を話した。

C社も大塚さんも任意売却は何度もやっているので安心して任せてください、との事だった。提案されていた2,500万円で、「専属専任媒介」で依頼をすることになった。債権者とは大塚さんが話をつけてくれるとの事だった。

4月に配当要求の終期の公告に載り、10月に競売にかけられる見通しだった。すでに5月末になっていたので、あと4ヶ月位で売れなければ競売になってしまうので、なんとか早く売って頂きたいとお願いをして大塚さんと別れた。


 1週間後C社から「営業活動報告書」が届いた。販売用の図面などが添付してあった。インターネットにも掲載をしていて問い合わせが何件かあるが、まだ案内には至っていない、と言う内容だった。その後もこの「営業活動報告書」は毎週送付されてきた。

最初の1ヶ月で3組位の案内があったが、決まらなかった。大塚さんから価格を下げるように言われ2,280万円に下げる事にした。

価格を下げたものの2ヶ月目は案内が1組しかなく、時間の猶予もないので、また大塚さんに言われるまま1,980万円に下げることになった。この時点で私たちの残債務は仲介手数料など考慮すると1,900万円位なので、5分の1でも380万円となり辛いものではあったが、競売になるよりは良いと思い、それでお願いした。

実際、この間に裁判所の人が夫の工場に来て「現況調査」をしていた。工場や建物の写真を撮って、2階の賃貸住宅の家賃などを調査しにきた。着実に競売の準備がされているのだ。


 8月末になりC社に販売の依頼をしていた期間が満了になった。私たちとしては引き続き販売の依頼をしても良かったのだが、大塚さんの方からは「お役にたてずすみませんでした。」との事だった。


 どこかに頼まなければならないが、どこに頼もうか。ダイレクトメールは引き続き沢山来るのだが気の進む感じでは無い。そんな時に地元の不動産会社D社が夫の会社に訪ねてきた。なんでもC社を通して、買いたいお客様を斡旋したいとC社に話をしたのだそうだ。ところがC社としては依頼期間が終わったと言われて、仕方なく話にきてみたのだそうだ。

 私たちとしては売れれば良い事なので、このD社に依頼をする事にした。買いたい方がいたのは本当で、早速債権者に連絡をとってくれる事になった。

 ところが、D社の三峰さんが債権者に確認してみたところ、1番抵当のA銀行に早速断られたとの事だった。1,980万円ではA銀行に完済できない。A銀行は「完済でなければ全て断ります。競売で良いです。」という事らしい。返済できる分をA銀行が全てもらって応じてくれたとして、B信金・信用保証協会は1円ももらえない訳だから、そもそも相談どころではない。つまりC社の大塚さんは何の打ち合わせもしていなかったのだ。どこかのタイミングで上手くいかない事に気づいたのだろう。だから依頼期間が終わったところでタイミング良く逃げたのだ。

 大手だと思って信用していたが、とんでもなかった。

 

三峰さんは大変良くしてくれたが、1,980万円で買いたかったお客様なので、話はそれ以上の進展はなかった。当然と言えば当然の事なのだが、残念でならなかった。

裁判所からの通知では10月の初めには競売に出されるそうだ。三峰さんが債権者に連絡をしてくれて、可能性のある範囲と言う2,280万円で新たに売りに出してくれたが、実りは無く、工場の競売が始まる事になった。




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