2度目の相談
2度目の相談
不動産会社からの訪問・手紙はその後も続いて、この対応にも私は心を減らされる思いだった。別にその人達に迷惑をかけている訳ではないのだが、何だか叱られているような感じがしてたまらなかった。実際に凄んでくる人もいた。私たちの自宅はマンションでオートロックになっているので、エントランスからTVインターフォンでかけてくる訳だが、他の住民にも聞かれるかもしれないし、本当に辛かった。
それでも競売を避けるために任意売却を考えてみようと思い、大手と思われるC社に相談をしてみる事にした。
C社の担当者にきてもらい、いくら位で売れるかの査定を出してもらった。2階が賃貸住宅になっていて家賃収入がある事、工場も貸せば家賃収入があるので、利回り的には¥25,000,000円位で売れるだろう、との事だった。但し、建ぺい率・容積率がオーバーしているので、銀行融資が付きづらく、その点下がる事を想定していて欲しい、との事だった。販売を依頼した場合、債権者との話はつけてくれるとも言っていた。元々そんなに高くは売れないとは思っていたが、¥25,000,000円で売れても¥38,000,000円は返せないので、この査定を元に法テラスに相談に行く事にした。
私はこの建物を建てる時にもそんなに大きなものを建てるのには反対していたのに、違反建築をしてまでこんな大きなものを建てたからこうなったんだ。私が言ったとおりに小さな工場だけにしておけばこんな事にはならなかったかもしれないのに。
法テラスに予約を取り、今週金曜日に相談に行くことになった。無料法律相談があり、その後の弁護士費用などの分割払いの制度もあるそうだ。今回相談に行くことには夫は嫌がらなかった。以外だったが、少しは考える気持ちになったのかも知れない。
金曜日になり、予定通り法テラスに行った。私たちの最寄りの駅から歩いてすぐの所にあった。先日市役所の法律相談に行って、今回は2回目なので、私たちも担当の弁護士さんに説明をするのに上手く話せたと思う。担当の弁護士さんは住友さんと言って、30代半ば位の優しそうな人だ。結局この住友さんとはここから長いお付き合いになっていくのだが。
まず、¥38,000,000円の借金があり、¥25,000,000円位で売れそうだという話をした。債権者であるA銀行とB信金、信用保証協会の三者が抵当権を外してくれないと、事実上売却はできないそうだ。そして、その条件で抵当権を外してくれるかは債権者が決める事で、話し合いになるとの事だった。当然応じてくれないこともあるそうだ。
そして競売なり任意売却なりした場合に、次にどうするかと言う話になった。私としてもここが一番相談したい所であり、一番上手く対処していきたい所だ。
一つ目の方法は夫の自己破産だ。
¥25,000,000円で売れて返せなかった分の¥13,000,000円について自己破産をして借金をチャラにする方法だ。この場合、事業資金について私が連帯保証人なので、夫が自己破産しても私には債務が残ることになる。なので、私も自己破産をするという方法だ。
建物のローンについは息子が連帯債務者になっているので、息子さんも一緒に自己破産をしなければ意味が無い、との事だった。私たち夫婦が自己破産をするのは、仕方の無い事だと思えたが、息子を自己破産させるのはどうしても嫌だった。
なので、私にとってこの方法はどうしても選べないものだった。
二つ目の方法は個人民事再生だ。
返せなかった分の¥13,000,000円を返せる分だけの金額にしてもらい、その分だけを返して終わり、というものだった。人によってはそんなに変わらないと言う人もいるかもしれないが、私はこの方法でいきたいと思った。私たち家族の財産は「工場」の他に「自宅マンション」がある。自己破産をしたら全部無くなるが、民事再生であれば自宅が残せる。自己破産もしないで良い。因みに自宅マンションは住宅ローンがあり、夫と息子の共有名義となっている。自宅マンションとそのローンはそのまま残る。¥13,000,000円について圧縮して返すというものだった。
民事再生ができるかどうかは裁判上の手続きで絶対では無いそうだが、住友弁護士としてはできると思う、との事だった。見通しとして5分の1。つまり¥13,000,000円÷5で260万円にしてもらって、それを3年か5年で返そうと言う話だ。私たち夫婦も年をとりあと5年がどうかとも思わない訳ではないが、これならできそうな範囲だ。そしてこれが完済できれば息子に迷惑をかけないで済む。そうは言ってもそれなりには迷惑をかけているのだが。
とにかく私はこの話にかけてみたいと思った。そして5分の1がなるべく少なくなるためには、なるべく高く売る必要があるので任意売却をやってみる事にした