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【フリークラス棋士規定により】(俣彦『短編ぼくのまち』)

先週の木曜日。

とある将棋棋士のかたの対局が

将棋連盟から携帯中継されておりまして


その対局は

竜王戦の中で

最も下のクラスの6組の対局であり、

更には

本戦出場に直結することも無く、

次期5組に昇級の可能性はありますが

それもまだ途中の段階。


普段でありましたら

まず中継されることのない。

翌日の朝10時ごろ更新されます

将棋連盟のHPで結果が伝えられる扱いに

留まることになるであろう

この対局が


なぜ携帯中継されることになったのか?


と申しますと


5月7日からの

竜王戦6組の昇級者決定戦の

5つの対局に全て勝つことが出来れば

向こう最低2年(もしくは13年)の

棋士生活が保障されることになる一方、


5つ勝つ前に

1つでも対局を落としてしまった時点で

その将棋棋士のかたの

引退が決定することになる対局であった。と……。


【フリークラス棋士規定】


には2つの種類がありまして


1つは自ら宣言する形式。


これを宣言しますと

名人戦を除く大会に参加することが出来、

宣言後15年+α

もしくは

65歳まで対局したのち

引退となる。


嘱託職員


に近い形での

対局が続くことになるのに対しまして、


もう1つの


その他のフリークラス


と呼ばれるモノに関しましては


名人戦以外の大会に参加できる点では

宣言されたかたと同じなのでありますが


異なる点としましては

好成績を修めますと

名人戦の挑戦権を獲得することの出来る

順位戦に復帰することが出来ます。


ただし

編入後。

10年ないし10年半以内。

もしくは60歳までに

所定の成績に到達しなければ

引退を余儀なくされることになります。


で。この

その他のフリークラスになられるかたは

どのようなかたがたなのか?

と申しますと


『宣言されて』

のかたは

自らの意志で。

であるのに対しまして


アマチュアからプロへ。

とか

3段リーグで次点2つ獲得されて

など

ポジティブな形で

と言うかたも

中にはいらっしゃるのでありますが


大半のかたは

順位戦での成績が芳しく無く、


降級

と言う形での

フリークラスへの編入を余儀なくされたかたがたでありまして


成績が思うように伸びなくて


でありますので

そこから順位戦に復帰することが出来たかたが

今まで

どれだけいらっしゃったのか?

と申しますと


アマチュアから

次点2つのかたにつきましては

現在進行中のかたを除きまして

全てのかたが

順位戦へとステップアップされたのに対しまして


降級されてのかたで

復帰することが出来たかたは

今まで

『1名のみ』

そのほかのかたがたは

10年後ないし60歳での

引退を余儀なくされることになっております。


今回中継されることになりました

棋士のかたは

3段リーグで好成績を修められ

順位戦に参加されるも

最短の3年間での

フリークラス編入を余儀なくされ、


その後9年間対局されるも復帰することが叶わず

迎えた

最終10年目のかたでありまして


その10年目にしまして

初めて全棋士参加棋戦本戦での初勝利を挙げられたほか

10月には当時の竜王位のかたに勝利を修められるなど


(最終年度にして復帰を決められるのではないか……)


と言うところまで来ていたのでありましたが


勝てば勝つほど対戦相手も手強くなり、

竜王戦以外

1つ負けた時点での撤退を余儀なくされ、


(今回、この棋士のかたは

辿りつくことが出来なかったのでありましたが

リーグ戦にまで到達したとしましても

リーグ戦まで到達される棋士

=強い棋士でありますので

今度は勝率面で厳しくなる)


などありまして

11月以降

思うように星を伸ばすことが出来ず

迎えた

今回の5月7日の対局を持ちまして

現役生活から

別れを告げられることになった。と……。


今、その棋士のかたの

通算成績をホームページで拝見させて頂いているのでありますが


123勝156敗。勝率4割4分1厘。


そんなに悪い成績では無いように……

引退に追い込まれるような?

と思いながら


引退へ繋がることになりました

順位戦を除く成績を見てみますとこちら


116勝123敗の4割6分6厘。

基本1つ負けたら

その棋戦敗退の条件下。

この成績は

けっして悪い成績では無いと思われるのであります。


が一方、

棋士の処遇に直結することになります

順位戦3年間の成績は

7勝23敗の勝率2割3分3厘。


その3年間の通算成績は

38勝52敗の勝率4割2分2厘。


そこから

順位戦の成績を除きますと

31勝29敗の勝率5割1分7厘。


順位戦を除きますと

指し分け以上の

好成績を修められているにも関わらず

順位戦の結果によって

13年間での現役引退を余儀なくされることになってしまった。と……。


極端なことを申し上げますと

全棋士参加戦は

現在9あります。

これに順位戦を加えました

10のタイトルを争うことになるのでありますが


その内

順位戦を除く

9棋戦で初戦敗退の憂き目に遭ったとしましても

順位戦で

降級点を回避する事の出来る

5勝を挙げることが出来れば


その年の成績が

5勝15(順位戦5+竜王戦2+各棋戦1×8)敗。

の勝率2割5分の成績でありましても

現役を続けることが出来る。


それだけ

『名人戦』の格が……

とも言うことが出来るのでありますし、


某かの基準を定めないことには

(棋士が増えすぎてしまって

それはそれで大変なことになってしまう……)


なのではありますが

巷間語られている評価で括ってしまうのは

(……酷なところがあるのかな?……)


順位戦以外も見ないことには

5月7日の対局を持ちまして

引退となられましたかたの

評価を見誤ってしまうことになりかねないな……。


今回、振り返ってみて

感じたことであります。

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