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プロローグ 投獄
目の前に鳥居があった。
周りには、七人のお坊さんが、それぞれの手に神器を持っていた。
お坊さんの前には、十人の、緋袴を着た巫女が、槍を片手に俺へとつき出す。
なにも着ていない俺の体には無数の鱗と、頭に二本の角。
そう。俺は鬼だ。
「望める兵」
お坊さんと巫女が詠いだす。
「闘う者」
俺はその情景をただ、眺めていた。
「皆、陣裂きて前に在り」
俺の体を中心に、ドーマンが出現した。
鬼は危険を察した。
「我に在りし神兵よ」
鬼が、俺の中で、逃げろ、逃げろともがく。
「彼の内に在る鬼を封印せよ!」
巫女の持つ槍から、お坊さんの神器から、精神から作り上げられた魔弾が放たれる。
質量を持たないそれは、光の速さで至近距離の鬼を射つ。
俺を中心に広がっていたドーマンは、直方体の檻となって、俺ごと封じ込める。
俺は気を失った。