表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/103

元凶

きた——

  あれから順調に攻略は進んでる。


 【アクロバット】を覚えた事で、森の中限定とはいえ、空中戦も可能な三次元行動能力を獲得し。

【格闘】により、様々な体勢から、身体のありとあらゆる部位での攻撃が可能となった。

 もはや、空中の敵は敵ではない!



《【格闘】のレベルが上がりました!》


《【掴み】のレベルが上がりました!》


《【ダッシュ】のレベルが上がりました!》


《【アクロバット】のレベルが上がりました!》


《【解析】のレベルが上がりました!》



 順調、順調。

 見敵必殺さーちあんどですとろいをスローガンに、出会った魔物を狩りながらひたすら進んでいる。


 シババットの、レベル1が5体とレベル2が3体。

ナッツスピナーは、レベル1が2体にレベル2が3体、レベル3が一体出てきた。

 グリズリーアームとは一度だけ遭遇したけど、逃げられた。なんで、森のクマさんの方が逃げるかなぁ!


 どちらの魔物も、レベル1はもはや敵じゃない。

レベル2も安定して狩れている。

ナッツスピナーのレベル3は流石に強くて、多少ダメージを貰ってしまったけど。

自然回復でカバーできる程度だから、そこまで大変でもないしね。


 ただ、どいつもこいつも状態が恐慌やら恐怖やら萎縮やら、ネガティブなのはなんだろうか?

出遭った時点でその状態だから、私は関係ないだろうし……


 まあ、いいや。


 ドロップ——って言ってるけど、正確には剥ぎ取りか——は、蝙蝠の毛皮や皮膜、蜘蛛の甲殻や牙など色々と手に入った。

 色々、珍味だとか特殊な処理が必要な食材も剥げてる。

 まあ、たまに何も剥げない時もあるけど。泣かないぞ!


 また、こんなのにも遭遇しました。



〔ゴッデスハグトラップ〕Lv. 4

 魔物 パッシブ 捕食中

 地上



 最初、女の人が立ってるのかと思ったんだよね。


 でも、近付いてみると、なんかおかしい。……まあ、こんな森に人がいる事自体おかしいんだけど。

 よく見ると、巨大な葉っぱの縁が妖艶な裸の美女の形に変化してるだけ。葉っぱは二枚合わさっているようだ。


 【解析】で名前を確認して、ピンときた。


 こいつは、巨大なハエトリグサだ。

 ただし、餌はヒトや魔物で、囮で餌そのものを惹き寄せるタイプの。


 捕食中……どうやら、お食事中のようである。

中に囚われているのは、グリズリーアームかな?

僅かに腕を出し、中には骨らしきものも覗いている。

 

 食べられているのがヒトではないのなら、別に放っておいて問題ないだろう。

いくら見敵必殺を謳っているとは言っても、流石に食事の邪魔をするほど私はマナーが無い訳ではないのだ。


 ……別に斬撃系の攻撃手段がないから、植物タイプ相手に戦うのがめんどくさいというわけではないですよ?





 更に森の奥に進んでいく。


 この森は魔力の流動が激しい為、方向感覚はめちゃくちゃに狂ってしまう土地となっている。

これは優れた感覚を持つ獣人や、植物と交感できるエルフでも同様だ。

 なのに。何故か、私は真っ直ぐ森の深奥へと進んでいる。


 まるで、何かに導かれるように。



「あ、夜明け……」


 枝葉の間から僅かに覗く空が白み始め、地面に光が差し込み始めた。


 ——と、突然視界が開けた。



「え?」


 周りを見渡すと、半径50メートル位の範囲で樹々が全て倒れている。

その為、ぽっかりと空間が開けているのだ。


 しかし、既に夜が明けている筈なのに、何故か少し薄暗い。

 上空を見ると、空は何か薄い膜のようなもので覆われている。


 なーんか見覚えあるぞ、あれ。



《時は来たれり》


《宝冠は時の輪を廻す》


《幻想は過去の追憶から生じ》


《夢幻は現在の懊悩を抱擁し》


《起源を超克するは常に未来》


《欲せよ。汝が求むるがままに》


《力を。記憶を。全てを喰らい——階梯を登れ》



 世界が——変わる!?


 突然響いた意味深なインフォメーションと共に、空間が歪む。

周囲が、薄い桃色に染まっていく。


《2種の宝冠の欠片の接触を確認——決戦領域を形成——形成完了》


 周囲を見渡していると、突然地面が揺れ出した!?

倒れた樹々を吹き飛ばして、蜘蛛——の化け物が姿を現した。



 見た目は、森にいるナッツスピナーによく似ている。いや、似ているのは脚と腹部だけ。

頭胸部がある筈の部分から、腰から上の女性の身体が生えているのだ。

肩、胸、腹部を甲冑のような甲殻で鎧い、両腕は巨大な爪を備えた鎌足となっている。頭部はヘルメットか兜のようで、その表面はナッツスピナーのように無数の単眼が覆い尽くしている。

女性の肌も、蜘蛛の身体も、全てが鮮やかにして毒々しいショッキングピンク。

ただ、兜の単眼と瞳のない両眼だけが真紅に輝いている……


 その容姿は美しくも、異形の造形。

醜い怪物、なのに惹き付けられる蠱惑的な美が覗いている。


「キュアァぁぁああァァァ!!」


 哭くような叫びを上げ、異形の蜘蛛は両腕を振り回した。



〔マドリー・スピニング・クィーン〕Lv.5

 魔物・冠種 アクティブ 狂乱

 地上・??・??



 ……そうか。


 本来、深部にいる筈の『シルバーアーム』が表層部や中層のセーフティエリアの近くにいたのも。


 セーフティエリアにいたグリズリーアームが大きく負傷していたのも。


 森にいる魔物たちがどれも怯えたり、パニックになっていたのも。



 全てお前がいたからか——!?

《決戦中は如何なる存在も干渉できません》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ