表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/103

突入開始

いつの間にかお気に入り登録が千件突破してました。

皆様、ありがとうございます!

 戻ってきました『魔獣の森』。


 うん、前みたいな強烈な圧迫感(プレッシャー)は感じない。

 ボスはやっぱり奥の深部にいるのかな?


「ありがとね」


「キュ」


 おまるから降り、〈夢見る揺籠〉に戻す。

 森の内部は樹々が生い茂っている為、図体が大きいおまるでは通れないからだ。


 ……【突進】で、森を破壊する勢いで突っ込ませれば?


 やろうと思えば出来るけど。


 流石に無茶かな。

 【突進】は道中に試させたけど、20秒位しか続かなかったし。

 森には強い魔物も多いから、平原みたいに次々にポンポン跳ね飛ばしてくとか出来ないだろうし。


 それに私が戦い(殺り)たいし。


 うん。地道に踏破しよう。



「おーい、そこのコート着た狼の子。ちょっと待ってー」


 ん?


 コート? 狼? 私?


 右手から聞こえてきた声に振り返り、周囲をキョロキョロと見回してみる。


 近くに人影はない。

 危険地帯のすぐ傍なんだから、まあ当然なんだけど。


「そこ動かないでー」


 聞こえてきたのは、南の方かな?


 そちらを見ると、6人ほどの人影がこちらに走ってきているのが見えた。


 プレイヤー?……のパーティーかな?

 逆光でよく分からないけど。


 あれ?

 なんで、向こうも遠目だろうに、私がコート姿だって分かったんだろ?



 と思ったけど、納得しました。


 一人は、あのトレイン騒動の時に一緒に戦ったプレイヤーでエルフの女性アーチャーさんでした。

 あの遥か先の魔物の数を見通していた程の視力なら、少し離れてた程度の私の服装くらい、訳ないですよね。


 えーと、お名前はなんて言ったっけ?


「君、ここは『魔獣の森』だよ。危ないよ? 」


「そうだよ。『清水の森』は逆方向の、向こうだよ?」


 どうやら私が間違えて、ここに来たと勘違いしているようだ。



 あ、思い出した。


「お久しぶりです。雷電さん」


「え?」


 日除けに被っていた狼頭のフードを下ろし、顔を見せる。


「え、トウテツちゃん?」


 第二次大戦末期に活躍したという、戦闘機と同じ名前。

 私と同じような、女性としては珍しい厳つい名前だったので覚えやすい。思い出すのに少し間が空いたのは気にしてはいけない。

 ……あと、某塾の知恵袋を連想するのは流石に失礼だよね。



 トレイン騒動の後、雷電さんとは同じ女性ゲーマーとして意気投合して、フレンド登録をしていたのだけど。

 プレイ時間の違いや、ソロ(あの時はリボるんとコンビだったけど)とパーティー参加主体という違いがあったので、お互い登録だけして、あとはメールすら交わしてなかったり。


 同じ女性で、パートナー次第で腐っぽい雰囲気にできて魔王エンドルートありの召喚士SRPGとか、トドメの超必殺技がグロすぎる格ゲーとか、落とし穴を掘って落ちたエイリアンを生き埋めにするアクションゲーとか、傭兵としてロボットを操ってエネルギー争奪戦やるTPSとか、芋砂無双の中背後からナイフ暗殺が楽しいFPSとか、レトロを含めた色んなゲームのお話できる人は貴重なんだよね。

 うん、今度メール送ってお話とかしよう。


 雷電さんは以前は臨時のパーティー参加を繰り返していたそうだけど、ようやく固定パーティーを組めたらしい。

 他の人たちは、重戦士(ウォーリア)軽戦士(ファイター)拳闘士(ストライカー)・魔法使い(マジックユーザー)・信徒(アコライト)とバランスの良いメンバーで、雷電さんの持つ広い索敵範囲と精確な遠距離物理攻撃が重宝されているんだそうだ。


「ここが『魔獣の森』なのは承知しているので大丈夫ですよ」


 うん、心配していただけてるのは分かります。


「え、でも」


 早く行かせて下さい。


「トウテツ? ……もしかして、この子『鬼巫女さん』?」


 えーと。


 『巫女(メイデン)』が現状私一人しかいないから、掲示板なんかで『巫女さん』と呼ばれているのは承知してますけど、『鬼巫女』ってなんですか?


 それ、絶対に私が『鬼人』の『巫女』って意味だけじゃないですよね?


「トウテツちゃん。ここ相当危ないわよ?」


 分かってます。


「大丈夫です。問題ありません」


「魔物の強さも数も、半端ないぞー?」


 だからですよ。


「出遭う端から潰せばいいだけなのデ」


 おっと欲求が漏れて語尾のトーンを間違えた。



「……えと」

 うん、やっぱヒきますよね。


 でも、チャンス。

 皆さんがヒイてる間に——


「では、失礼します」


「あっ」


 『魔獣の森』に突入だ。





 『魔獣の森』も表層部は危険が少ない、との事だけど。

 大体の冒険者が、最初に洗礼として痛い目に合わされるというヤツがいる。



 ——ひょいっとな。


「フゴォー!——プギ!?」


 樹の陰から突っ込んできたのは、白黒縞模様(ゼブラカラー)の猪。


 ギリギリで横に回避した私を見失ったのか、一直線。


 その勢いのまま進路上にあった樹の幹に頭を激しく打ち付けた。


「あれはいたい」


 しかも片方だけ角のように発達した牙が、幹に刺さって抜けなくなったらしい。


「プギ! フゴッ!? ブヒィー!」


 ジタバタ、ドタバタと暴れだした。


 うん。

 すごく、間抜けだ。



〔モノキボア〕Lv. 2

 魔物 興奮 拘束



 うん?

 どうやら、レベル3の【解析】は精神状態だけじゃなくて、状態の異常?も表示されるようだ。

 状態異常には〈ミノカミ〉があるし、効果を確認できるのは便利かも。



 しかし、なんだろう。


 刺さった牙を抜こうと足掻いているシマウマ柄な猪。


 この、笑える筈なのに何故か妙に涙を誘う光景は。


 うん。ここでやる事は一つだよね。


 ——介錯なら任せろー!





 ピコーン!

《【棒術】のレベルが上がりました!》


《【暗器術】のレベルが上がりました!》


《【掴み】のレベルが上がりました!》


《【棒術】アーツ〈パワースマック〉を習得しました!》


《【暗器術】アーツ〈サプライズアタック〉を習得しました!》


《武器スキル【短棍術】の派生条件を満たしました!》


《武器スキル【鉄扇術】の派生条件を満たしました!》


《武器スキル【布撃術】の派生条件を満たしました!》



 もー!


 なに、この滅茶苦茶タフな猪!?

 猪って、確かに元から耐久力のある生き物だけどさ。


 六尺棒で滅多打ちにしたのに、まだ4割近くLPが残ってるとか。

 いくら相手がレベル2だからって、どんだけですか!


 時間掛けてられないから〈重金の髪留め〉も使い、ようやく撃破。


 なのに何も剥げず。ぐぬぬ。



 まあ、タフなお陰で攻撃の経験値が沢山貯まったのか、【棒術】と【暗器術】のレベルが上がったけどね。あと、【掴み】も。


 【暗器術】はなんかアーツ覚えた。初期アーツが無かったし、ようやく覚えたって感じだけど。

 〈サプライズアタック〉?

 おはようバズーカ? ……ないか。

 多分あれかな。不意打ちだとダメージアップとかそんなの。


 【棒術】も新しいアーツ覚えたけど、なんだろこれ。

 パワー(力の)スマック(風味)

 ……うん、分かんないや。



 で、この派生条件満たしたっていう【短棍術】、【鉄扇術】、【布撃術】。

 いや、【鉄扇術】は当初の目標だったから嬉しいけど。【短棍術】と【布撃術】か……


 うーむ。

 短棍術か。

 要は片手で振るう短い打撃棒だ。お巡りさんや警備員が腰に提げてる警棒とか、あの辺だよね。

 あれ。間合いとか携行性とかは鉄扇と若干カブってるような……?


 布撃術?

 あー、中国武術で長い布を巧みに操って叩いたり巻き付けて引き倒したりする、護身であり暗器でもあるとかいう、変わった武術があったっけ。

 いや、あれはカンフースターの映画からだっけ?



 とりあえず、ここは魔物がひしめく『魔獣の森』。

 【鉄扇術】の習得だけしておいて、他は後回しにしておこう。


 確かこういう、特殊なフィールドだったり、ダンジョンだったりには、休息と安全なログアウトが可能なセーフティエリアがあった筈。

 設定上は、生命の神が設置したあらゆる存在の争いを禁止する聖域だったかな?

 もし見つけられたら、そこで色々調べるとしましょうかね。


 今は。



 ——狩りの時間だ。

名前 : 饕餮 / TOUTETU

種族 : 鬼人Lv. 2

職業 : メイデンLv. 4


称号:

『虎狩り』[特殊]

『危難を凌ぎし者』[特殊]

『ウェンディコの問題児 』[特殊]

『戦神の承認者』[特殊]

『戦鬼』[種族]


ステータス

 ATK:+7(+5)

 DEF:+15(+16)

 MBS:+3(±0)

 RES:+10(+10)


 STR:12

 VIT:10[+5]

 AGI:11

 DEX:12 [+2]

 INT:15

 MND:24


ボーナスポイント:0


使役契約:御丸(種族:ロリポリ)


装備アイテム

・〈紅鋼樹の六尺棒〉

・〈古鉄扇〉(予備枠)

・〈網蚕糸の袖無し服(巫女装束風)〉

・〈網蚕糸の袴ズボン(巫女装束風)〉

・〈ファーコートドレス『ルプス・コローナ』〉

・〈重金の髪留め〉

・〈跳ね兎の革足袋〉

・〈異界の道具袋〉


イベントアイテム

・〈宝冠の欠片〉


習得魔法

【巫術】Lv. 4


〈ハラエノミソギ〉Lv. 2

〈ナギノミカガミ〉Lv. 1

〈ミノカミ〉Lv. 1

〈ツクモツキ〉Lv. 1

〈コンパクカッセイ〉Lv. 1

〈トラノカミ〉Lv. 1


オリジナルアーツ

〈雀撃ち〉Lv. 1

〈竜尾の一振り〉Lv. 1


所持スキル

【棒術】Lv. 10 → 11

【震脚】Lv. 9

【舞踊】Lv. 6

【暗器術】 Lv. 3 → 4

【掴み】Lv. 2 → 3

【恐怖と魅惑の微笑】 Lv. 1

【細工】Lv. 3

【鑑定】Lv. 2

【解析】Lv. 3

【暗視】Lv. 2

【言語理解】Lv. 1

【鬼人語】Lv. 1

【神幻語】Lv. 1

【古代魔法言語】Lv. 1

【精霊語】Lv. 1

【魔導言語】Lv. 1

【ダッシュ】Lv. 1

【テイム】Lv. 1

【鉄扇術】Lv. 1 New!


スキルポイント: 4 → 7 → 2

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ