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『魔獣の森』へ

ようやく、ここまで来れました……

 「あ、ところで……中に着る服も何かありませんか?」


 前を釦で閉じれば隠れるとはいえ、流石に初期装備(巫女装束)のままは……


「あるよー。はいっ」


「……なんです、これ?」


 マルキューさんから手渡されたもの。



〈網蚕糸の袖無し服(巫女装束風)〉

 作成者:マルキュー

 品質:C-

 DEF:+2

 耐久値:2000

 ウェブクロウラから採れた糸を処理し編んだ布で仕立てた、前で合わせるタイプの袖無しの上衣。巫女装束をイメージして作られている。

 性能、肌触りは今ひとつ。


〈網蚕糸の袴ズボン(巫女装束風)〉

 作成者:マルキュー

 品質:C-

 DEF:+2

 耐久値:2000

 ウェブクロウラから採れた糸を処理し編んだ布で仕立てた袴ズボン。巫女装束をイメージして作られている。

 性能、肌触りは今ひとつ。



「巫女装束をイメージして作ってみたんだ。【織神の寵愛】とかいうスキル手に入る前に作ったから性能は今ひとつだけど、初期装備よりはマシかな?」


 うーん、確かに性能は初期装備よりかは良いけど。


 何故に巫女装束をイメージしましたか。


 まあ、戴く以上文句は言いません。

 どうせ、コートドレスで隠れるし。


 試着室で着替えて、これで装備は全て完了かな?

 ……袖無し巫女装束とか、なんかどっかの格闘ゲームに出てきそうなデザインですけど。


 試着室を出る。

 ルーミスさんとマルキューさんのなんとも言い難い視線は無視だ。

 


 あとは、いつもの素材提供です。

 今回、良い装備を貰ったので、大盤振る舞いしますよ!


「夜の魔物素材に、また東の丘の魔物素材……に、何これ〈黄色鹿の毛皮〉?」


「あー、それ。丘から北に少し行くといる、全身真っ黄色の『イエローディアー』っていう魔物から取れた素材ですね」


 毛皮に鱗が混じってるから多分加工はしにくいだろうけど、戦った時に感じたあやつの堅さからいっても防具素材としてはかなり優秀だと思います。


「そ、それ最近攻略組が狙い出したっていう……」


 ん? ルーミスさん、なんですか?


「いえ、なんでも——ないわ」


 そうですか?


 あ、思い出した。


「マルキューさん。昨日のメールで訊かれた狩りの件なんですけど」


「んにゅ? メール? 狩り?」



 ……ああ。

 これ完全に忘れてる。

 よし。


「いえ、なんでもないです」


「そぉ?」


 スルー完了。





「そういえば、饕餮さんの腰にあるのって、テイム用のアイテムでは?」


 ありゃ、気付かれましたか。


「あー、はい。長距離移動の足が欲しかったので、先日【テイム】覚えてテイムしたんですよ。で、割とガタイが大きな子なんで、この中に」


 〈夢見る揺籠〉を腰から外し、掲げてみせる。


「へぇ……何をテイムしたんですか?」


「見せて見せて!」


 やはり、女の子。ペットというのは気になるのか、興味津々だ。


 ただ……



「ここは狭いので、出すのは無理ですね。あと、——お二人とも “ 大きなムシ ” は大丈夫ですか?」



「ほえ?」


「え?」


 マルキューさんは首を傾げるだけ。

 ルーミスさんは、一瞬で3メートルも後ずさり。


 ああ、……駄目な人なんですね。


「ここに出せない大きさ——ムシ——饕餮さんの強さ——提供された中にあったブラックウルフの素材……まさか、その中にいるのは!?」


 すごい。一気に推理した。


「あー、はい。巨大団子虫(ロリポリ)です」


「絶対に出さな——見せないで下さい!」


 うーん。普段のクールな感じからは想像も付かないような狂乱ぶり。


 面白……いやいや、可哀想だからルーミスさんの前では出さないようにしよう。


「ルーちゃん、虫はなんでも苦手だからねー」


 まあ、女性としてはわりと普通の反応ですよね。

 ……変わり者の自覚くらいはありますよ? 私にも。


「マルキューさんは平気なんですか?」


「うん! ヤシガニとかダイオウグソクムシとかジャイアント・ウェタとかサカダチコノハナナフシとか大好きだよ!」


「そうですか」


 確か、どれも昆虫や甲殻類では世界屈指の巨大生物じゃ?


 上には上がいましたね。





 さて、現在南門です。


 あの後、紅蓮堂を出てから、宿屋に一泊。翌早朝に市場で色々とアイテムを仕入れてきたし、準備は万端。

 今はちょうど8時過ぎと時間も良い。



 『魔獣の森』はウェンディコの東から南東まで広がる広大な森で、どちらかというと東側の方が深部に近い。

 なので、攻略するなら東側から一気に行く方が良さげではあるのだけど、それじゃ詰まらない。


 私の目標は『魔獣の森』のMOB全制覇!

 あ、夜は流石に無茶だから、日没前に引き上げるけどね。


 見敵必殺! 徹底殲滅! ですよ!


 あれ?

 〈紅鋼樹の六尺棒〉に刻まれた『天魔降伏』の文字が否定できない……?


 ま、まあ、いいや。気にせず行こう。



 さてさて、では。

 〈夢見る揺籠〉を掲げて叫ぶ。


「おいでっ! おっまるぅー!」


 鳥籠が開き、光の玉が飛び出した。


 飛び出した光の玉はぐんぐん大きくなり、形を変えて、着地する。


「キュィイイィィィィ」


 うむ。いい挨拶。

 今日も絶好調だね!


 おまるの上に跳び乗り、甲殻の端にある持ちやすそうな突起を掴む。


「さて、おまる。今日は移動お願いね?」


「キュイッ」


 では、レッツゴー!





 うーん、やはり快適だ。

 自分で歩かなくて済むっていうのは楽でいいね。


 流石におまるは大きすぎて、森の中までは乗れないから森の手前までだけど。

 でも、それまでの道中を楽できるのは十分ありがたい。


 移動速度はだいたい自転車より少し速いくらいかな?


 あ、何度かホーンラットやウェブクロウラを轢いてるけど、プレイヤーやNPCには近付いてないから問題ないよね。



 「見えてきた!」


 現状の最難度フィールドの一つ。


「楽しみだなぁ……」


 地脈から充溢した魔力によって活性化され変異した魔の森。


「強いの、いっぱいいるんだよねぇ?」


 森全体は鬱蒼とした樹々に覆われており、見通せない視界と濃密な魔力は方向感覚を容易に狂わせる。


「存分に、死ぬまで()って、()って、殺し(ヤり)たいなぁ……」


 森の内部は極めて攻撃性の高い数多の魔物が跳梁跋扈し、凶暴な2体のボスが君臨する、通称『魔獣の森』。


「——あ、いや、ダメだよね。死んじゃったら楽しめない。最後まで生きてないと」


 それが、ウェンディコ行政府指定危険区域。正式名称『狂乱の森フランティック・フォレスト』。





さァ、楽しい愉しイ狂乱ノ宴を——



「——始めヨう?」


名前 : 饕餮 / TOUTETU

種族 : 鬼人Lv. 2

職業 : メイデンLv. 4


称号:

『虎狩り』[特殊]

『危難を凌ぎし者』[特殊]

『ウェンディコの問題児 』[特殊]

『戦神の承認者』[特殊]

『戦鬼』[種族]


ステータス

 ATK:+7(+5)

 DEF:+15(+16)

 MBS:+3(±0)

 RES:+10(+10)


 STR:12

 VIT:10[+5]

 AGI:11

 DEX:12 [+2]

 INT:15

 MND:24


ボーナスポイント:0


使役契約:御丸(種族:ロリポリ)


装備アイテム

・〈紅鋼樹の六尺棒〉

・〈古鉄扇〉(予備枠)

・〈網蚕糸の袖無し服(巫女装束風)〉 New!

・〈網蚕糸の袴ズボン(巫女装束風)〉 New!

・〈ファーコートドレス『ルプス・コローナ』〉

・〈重金の髪留め〉

・〈跳ね兎の革足袋〉

・〈異界の道具袋〉


イベントアイテム

・〈宝冠の欠片〉


習得魔法

【巫術】Lv. 4


〈ハラエノミソギ〉Lv. 2

〈ナギノミカガミ〉Lv. 1

〈ミノカミ〉Lv. 1

〈ツクモツキ〉Lv. 1

〈コンパクカッセイ〉Lv. 1

〈トラノカミ〉Lv. 1


オリジナルアーツ

〈雀撃ち〉Lv. 1

〈竜尾の一振り〉Lv. 1


所持スキル

【棒術】Lv. 10

【震脚】Lv. 9

【舞踊】Lv. 6

【暗器術】 Lv. 3

【掴み】Lv. 2

【恐怖と魅惑の微笑】 Lv. 1

【細工】Lv. 3

【鑑定】Lv. 2

【解析】Lv. 3

【暗視】Lv. 2

【言語理解】Lv. 1

【鬼人語】Lv. 1

【神幻語】Lv. 1

【古代魔法言語】Lv. 1

【精霊語】Lv. 1

【魔導言語】Lv. 1

【ダッシュ】Lv. 1

【テイム】Lv. 1


スキルポイント: 4



運営が付けた正式名称が、『狂乱の森フランティック・フォレスト』。

NPCが付けた通称が、『魔獣の森』です。

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