表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/103

契約

やくそく、するよ。

 むかしむかしのおおむかし。

 あるところにいっぴきのまものがいました。

 まものは、ひとがだいすきなかわりものでした。

 いつも、ちかくのむらにすむこどもたちといっしょにあそんでいました。

 とくににんげんのこどもとは、いちばんのなかよしです。


 はれのひも、かぜのひも、あめのひはおとなしくすでねてましたが、いつもいつもあそんでいました。


 つきひはながれ、まものもこどもたちも、すこしおおきくなりました。

 あるひ、いちばんのなかよしだったにんげんのこが、むらをでることになりました。

 べつのまちにあるまほうのがっこうにいくためです。


 まものはしんぱいになりました。 にんげんのこはよわいし、まものよりおとなしいこどもだったからです。

 いっしょについていきたい。

 でも、まものはまものなので、にんげんのまちにははいれません。


 なやんでなやんでなやみぬいて、まものはひととまもののかみさまにおねがいをしました。


「あのこといっしょにいたい。まもりたい、です」


 まもののねがいにこころうたれた、ひとのかみさまと、まもののかみさま。

 ふたはしらのかみさまは、いちばんえらいそうぞうしんさまにこのねがいをとどけました。

 そして、けいやくのかみさまをつうじて、あたらしいまほうのちからをうみだしたのです。


 まものやどうぶつたちが、だいすきなひとたちといっしょにいられる、すてきなすてきな『やくそく』のちからを。



 にんげんがだいすきなまものは、なかよしのこどもとやくそくをかわしました。


 “ずっといっしょにいよう。”


 まものは、こどもがおとなになり、こどもをうみ、としおいて、やがてせかいにかえるまで、ずっとずっといっしょにいました。


 どんなときも、まもりつづけました。


 そして、まものはなかよしのさいごをみとると、しずかにすがたをけしました。


 そのごはだれもしりません。



 だけど、まもののねがいからうみだされたやくそくのちからはのこっています。


 いまも、せかいのどこかで、だれかがやくそくをかわしています。



 いっしょにいよう、と——


 ——古くから伝わるお伽話『さいしょのやくそく』・作者不明






「おまる、ゆっくり進んでね」


 南門の近くまで来たので、おまるの進むスピードを落とさせる。

 まあ、元々大したスピードは出てないけど、一応ね。


「ストップ!」


 門の手前で止め、おまるから跳び降りる。


「いい子だから、ちょっとここで待っててね」


「キュィッ」


 おまるの頭をすりすりと撫でてから、門の方へ一人で向かう。

 正確には、門番さん達の所にだ。



 うーん、お二人とも警戒してらっしゃるなー。

 門番さん達は二人とも、武器を構え、こちらを睨んでいる。

 まあ、あんなおっきいのが近付いてきたら当たり前か。


「おはようございます」


「——む、ん? ああ、昨夜のお嬢さんか」

「あ、無事だったんだ」


 ご心配おかけしましたが、無事ですよー。


「……もしかして、あのデカいのはお嬢さんが連れてきたのか?」


「あー、はい。昨夜、テイムしました」


 そう言うと、お二人ともホッとした表情を浮かべた。

 肩の力を抜いた様子でため息を吐く。


「そりゃ良かった。俺はてっきり『異常種』が攻めてきたのかと……」


 異常種?


「【テイム】か。確か、契約神が(もたら)したと言われている技能だったな」


 え? 契約神?


「なんですか、それ」


「あん? 使ってるのに知らないのか?」


 こくこく。知りません。


「ヒトと、魔物や動物——知性がある種族は除くとして——は普通コミュニケーション取れねぇだろ?」


 まあ、そうです……ね?


「けど、中にはヒトに友好的だったり、強さに心酔したりして、従属しようとする魔物や動物もいるんだ。そういう連中と、『契約』という形で結び付けるのが【テイム】という特別な技能だ、って聞いた事がある——旅の魔物調教師(テイマー)にな」


 ほほぅ、なるほど。


「その『契約』を管理してる神様が『契約神』、と」


 あ、【テイム】が始めからロックされてなかったのも、その辺があるからかな?

 この辺、いまいちシステムの法則性がよく分からないんだよね。

 まあ、テイム出来たんだから、私的にはどうでもよい事なんだけど。


「そういう事。だから、無体な真似してると従属側から解除される事もあるから気を付けてね?」


 なるほど。使役、従属とあるけど、一方的な関係ではない、という事ですね。


「その点は大丈夫です。可愛がりますから!」


「そ、そうなんだ?」


 あ、ところで。


「あの子連れて入れます?」

 本題忘れてた。





 連れて入れませんでした。残念。


 馬車道を通る事は出来るけど、留まらせておくスペースがないと駄目、との事。

 街の規則(ルール)である以上、仕方ないので門番さん達にお願いして預かって貰いました。


 他所の街から、たまに象クラスの大型獣を馬車馬代りにしているキャラバンが訪れる事があるらしく、そういう時の為の施設が作られているのだとか。

 それならひとまず安心かな?


 あと、魔術ギルドでテイムした使役獣を中に入れて持ち歩ける魔導具が買えるらしいので行ってみるといい、と教えてもらいました。

 対象の大きさは関係ないので、ロリポリ(おまる)も連れて歩けるらしいです。やっほい。


 さて、街の中に入った訳だけど。

 とりあえず、まずは。


 宿屋で寝よう。ねむい。





 おはようございます。


 寝たのが朝の6時。

 今は?


 朝の10時です。

 4時間しか寝てない……あふ。


 でも、やる事は沢山あるし、いつまでも寝てられない。

 うん、頑張っていきますかね。





 さて、やってきました魔術ギルド。


 素材が分からない、艶消しの黒い石壁の高い塔なのだけど、ぐねぐねと捻じれたように曲がっている。


 なんとなく、イメージ的には、黒い竜巻?

 

「うーん、異世界っぽい」


 流石ゲーム。不思議な建物が建っている。

 重心とかバランスとか、どっかに放り出してますね。


 さて、私のお目当てはテイム用の収納魔導具で、それは地上階の購買部で販売しているらしいのだけど。


 門番さん達にここを勧められた時に、ついでに忠告も戴いている。


『絶対に上の階に上がるな』


 魔術ギルドは地上階のみ一般に開放され、二階以上は主に所属研究員の研究施設になっているらしいのだけど、所謂魔窟と化しているらしい。


 妙な魔法生物が闊歩していたり、魔法があちこちで暴発してるのは当たり前。

 急にありとあらゆる感覚がおかしくなったり、突然変な場所に飛ばされたり、と大変危ない場所であるらしいのだ。

 捕まって、新しい魔法の実験台にされるという噂もあるとか。なにそれこわい。


 なので、絶対に上には上がらない事にします。ええ、絶対に!



“ピカッ!”



 ほぇ?



“ズガァア————ン!!”



「……」


 魔術ギルド。


 ば、爆発したんですけど……?

ステータスに変化がないので、表記なし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ