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怒り

うわぁい、お気に入り登録やptが順調に増えてますよー(ガタガタ


では、拙作をどうぞ。


 あれ? どうしてこうなったんだっけ?


 確か、ログイン限界時間の警告が来て、ログアウトして。

 ごはん食べて、お風呂入って、歯を磨いて、寝て。

 起きて、顔洗って、ごはん食べて、歯を磨いて、カプセル入って。


 ログインして、メール確認と返信とかしてから、昨日の予定通り図書館に行こうとしてたんだよね。


 ——で、なんで私は今決闘フィールドに立ってるんだっけ?





 さて、ログイン3日目!

 ゲーム内では数日経ってるみたいだけど、気にしないで!

 今日も張り切って行きましょー。


 えっと、ここは——『紅蓮堂』の中か。確か、ログアウトした場所だね。



 では、まずはログアウトしてる間に入ったメールの確認を。


 リボるん。

『了解。俺も後でログアウトするけど、すぐ戻ってくるからログインしたら連絡してくれ』


 ルーミスさん

『分かりました。棒はご希望に沿えそうな素材を見つけたので製作しておきます。また明日』


 マルキューさん

『ほいほーい。靴?はまた今度渡すねーってあれ? いつの間にこんな時間?』


 フルフルさん

『了解しました。フレンドリストでインアウトは分かるからわざわざ報告はしなくてもいいよ?』


 うーん。性格出てるなー。


 それより、リボるんに連絡しようとしたら、フレンドリストはログアウト表示なんですが。

 ……多分まだ寝てるな。あの人、一度ぐっすり寝ると、10時間位しっかり寝続けるし。殺気浴びせない限り何鳴らしても何やっても起きないしなー。


 まあ、いいや。『図書館行ってます』とメールだけ送っといて、放っとこ。


 今日は予定通り図書館に行こうかな。今のゲーム内時間はお昼前。ちょうど良い時間だ。

 調べる事多いしなー。

 称号に。巫女という職業の事。『宝冠』の欠片に——————あ、〈ミノカミ〉の特殊条件もだった。うん、忘れちゃいけない。



 『紅蓮堂』を出て、南北に伸びる大通りの方へ。

 「今日は曇りかー」

 空を見上げると、薄く灰色の雲が覆っている。

 この世界では天気はランダム——というか、基本的には現実と同じような運行システムを取っているとか。外の掲示板とかでは、ゲームでそんな複雑なシステムが云々かんぬん、と騒いでるらしいけど、普通の女子高生である私にはよく分からないのでどうでもいい事だったり。

 ただ、天気を操る魔法や魔導具があったり、魔物や精霊なんかもいたりするので、現実そのままではないらしいけど。

「晴れても、雨が降っても、それはそれで一興かなー」

 ゲームなんだから、楽しまなきゃ損だよね。


 大通りに出ると、いつもの如く人がいっぱいだ。

 大通りは脇の歩道と中央の車道に分かれていて、2車線の車道を馬車——たまに大きなトカゲや亀やチョ◯ボみたいな鳥が牽いてたりするけど——が走り、歩道には多種多様の種族の人が歩いている。7割方はNPCの皆様だけど。


 大通りの歩道に面して、幾つもの商店が開いていて呼び込みをしている。

 なんか観光地の商店街みたい。

 こういう雰囲気は好きだったり。



 幾つかのお店でアイテムや食べ物を買い物したり、冷やかしたりしながら、大通りの脇を丸くくり抜いたようにスペースが確保されている中央市場まで到着した。

 今度は露店や屋台が沢山並んでいるのが見える。

「確か、露店市場として開放されているんだっけ」

 商業ギルドへの登録と『ウェンディコ』行政府役場への申請こそいるけど、基本的には誰でも商売が出来る場所として開放されているのが、この中央市場らしい。

 うーん、騒々しいなぁ。でもなんか心地よい雰囲気。


「そこの鬼人の……変わった服の嬢ちゃん! 焼肉はどうだい?」


 ん? 私?

 振り返ると、屋台の人間のおっちゃんが笑顔で手招きしてる。

 うーん。ごはん食べてきたしなぁ。

 とりあえず、屋台の前へ。

「このガルンっていうこの街の名物の穀物を粉にしたヤツを溶いて、焼いた皮で巻いて食べるんだ。美味いぜ?」

 示されたお皿の上を見ると、黄色い粒々が載っている。雑穀のキヌアに似てるかな?

「へぇー、美味しそう。お肉は……これ? 牛肉?」

 脂肪は少なめだけど、新鮮な赤身のお肉。焼いてるお肉が良い匂いしてる。ジュルリ。


「おう! こいつは近くの牧場で育ててる特別な牛でな。モケケケケケーとか、オキュキュキュキューとか変わった鳴きご」


「——ありがとう! また今度ね!」


 一目散に逃走。

 んなヤバそうなネタのお肉食えますか!



「そこの嬢ちゃん。この人形はどうだい? 特別な草で作った人形で災いを払」

 どう見ても、藁人形です。要りません。


「お! そこのかわい子ちゃん。この剣はどうだい。どんな魔物も一撃だぜ!」

 剣のスキル持ってませんし。てか【鑑定】したら、〈呪いのロングソード〉とか書いてあるんですが。


「おーい、巫女さん。防御は大事だぜ! この革鎧どう? ホーンラットの皮をなめして——」

 鎧系統は装備できないんですよ。ごめんなさい。


 プレイヤー、NPC、老若男女問わず、色んな人たちに声掛けられるんですが。

 しかも、一部はなんか生温かい、可愛らしい子供を見るような目で見られてるんですが。

 どれも好意的なだけに断るのがつらかとです……



 なんとか呼び込みや売り込みを躱し、中央市場を抜け出しました。

 今日は図書館で調べ物するから、買い物してる余裕は、ほとんど無いんですよー。


 てくてくと歩き続け、中央広場へ。相変わらず特徴的な、青い屋根の体育館——もとい、冒険者ギルドが見える。

 中央には噴水と変なオブジェ。

 あのオブジェは街同士を繋ぐ転移門の魔導具らしいけど。利用するにはその別の街に行って、転移門の魔導具に新たに登録しないといけないらしいんだよね。

 まあ、この街の転移門は最初にログインした時点で登録されてて、死に戻りしたら、ここに出る設定らしいけど。

 ん? なら、別の街の転移門に登録すれば、死に戻りもそこで出たり?


「おい、そこの巫女」


 うーん、これは他の街に行ってみないと検証できないよね。

 てか、他の街ってどこにあるんだろ。


「おい、鬼人のガキ聞いてんのか」


 あ、街道を辿っていけばいいのか。

 あれは多分街同士を繋いでるんだろうし。


「無視すんな。おい」


 うーん、街道には強力な魔物や猛獣は出ない、って話だけど。街の手前で多分、ボスとか出るよね。定番だし。

 王様クラスならなんとか——


「くそガキが! 無視してんじゃねぇ!」


 ん? 影?

 見上げると誰か見下ろしてきている。


  誰だこの人?

 

 やたらゴツい体格に、首元や肩から先、手の甲までを覆う灰色の鱗——これは竜人か。

 確か、物理的な能力はずば抜けているけど、魔法関連の能力は壊滅的なんだっけか。


 顔を見てみる。

 見覚えはない。


「どちら様?」


「テメェ、全然聞いてなかったのかよ……」


 うん?

 基本的に私が集中して思考してる間は、外部に対しては殆んど反応しませんよ?


 殺気出すどころか、攻撃仕掛けても無駄。攻撃に対しては考え事しながら無意識に迎撃するという厄介さ。しかも無意識だから殺気があれば手加減も容赦もなく、ぶちのめし。

 あまりにも非道すぎて一部の道場生やワルい方々からは『アンサラー』と恐れられてますが、何か?


「聞いてませんね。——で、どちら様で何のご用ですか?」


 あ、青筋立った。

 タンコブといい、青筋といい、演出細かいなー。


「俺は攻略組やってるドッガンダーだ! よく聞け。テメェを俺のパーティーに入れてやる!」


 ……はぁ?

 攻略組とか言ってるし、名乗りで表示されたネームは緑色だからプレイヤーみたいだけど。


「ちょっと何言ってるかよく分からないんですが」


「ぁあ? 俺がテメェを『特別に』入れてやる、ってんだよ」


 意味が分からん。

 

「私は貴方のパーティーに入る気はありませんが?」


 初対面で何言ってんだ、この人。


「はぁ? 攻略組に入れてやるってんだぞ。喜べよ」


 知るか!

 攻略に興味なんて——あんまり無いし、入れて欲しいって言った覚えもない。

 なんなんだこの人。


「パーティー組んでる人は既にいますので」


「ああ、『槍無双』とか呼ばれてるおっさんか」


 ……おっさん。いや、まあ、この子中学生だし——よく見ると顔に幼さが見えるし、この言動で成人はあり得ない。

 まあ、中学生から見れば、24歳はおっさんに見えなくも——


「あんなの雑魚だろ? 俺の方が強いぜ?」


 あ?


「だから、俺のパーティー入れよ」


 何を言ってるのかしら?


「黙れケツの青い小物が」


 黙って聞いていれば何を吐かしてやがりますか。


 リボるんは私の兄同然の幼馴染だが、同時に私と道場で地獄の修練をくぐり抜け、切磋琢磨してきた同門。

 師範代の位でこそないが、実力的には私と同等である彼を……雑魚だと?


「ゲームの仮初の力で粋がるな。ぶちのめすぞクソ餓鬼」


 あ、言い過ぎたかも。——本当の事を。


「ぁあ!? テメェ、下手に出てりゃいい気に乗ってんじゃねぇぞ!」


 ほーら、キレちゃった。

 まあ、キレたのは私もだけど。

 つか、てめえがいつ下手に出たんだよ。


決闘(デュエル)だ! ブッコロしてやる!」


 デュエル? ……ああ、PvPか。


 口角が上がっていくのがわかる。

 これは歓喜でもなく、愉悦でもなく、嘲りの笑みだ。


「いいよ。教えてあげる」



 ——戦闘というモノを。

ステータスに変化がない為、表記無し。





頭が悪い話し方って、思ったより難しいです。

たまによく分からない怒り方をしている人いますよね。

ここまでひどいのは居ない、と思いたいですが。

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