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硬くて重い棒が好きです

ようやく、アクセサリー作りを始めます(準備ですが)

「——というか、『槍無双』?」


 なんですか? その厨二っぽいの。

 話の流れ的にリボるんなのは分かりますが。


「あー……俺、βテスターだったんだが、いわゆる攻略組って奴だったんだよ。で、まあ、そこそこ名前が売れててなー」


 なるほどー。

 まあ、棒杖術道場の門下生のリボるんなら槍もさほど問題なく扱えるだろうし、現実の資質も影響を及ぼすVR世界なら活躍できててもおかしくありませんしね。


「最強と呼ばれるほどじゃないがな。流石に『適性者』には叶わんし」

 リボるんは苦笑しながら、肩を竦めてみせる。


 『適性者』? ……ああ、VR空間に高い適応性を示す特殊な脳神経ネットワーク構造を持つ、という人達の事ですね。確かVR時代の新人類とか呼ばれてましたっけ。


 ちなみに、私は握力に関係して全身の検査を受けた時の結果で、『適性者』ではない事が判明している。残念です。




「それで、どうしましょうか。 装備作成の依頼なら素材を分けてもらう事で受けますけど?」

 は! ルーミスさんの問いかけで用件を思い出す。

「俺は依頼してる槍あるし、ブレストアーマーもあるからいいわ」

 私は、そうですね……


「私の武器——できれば六尺棒がいいですね」

 初期装備の〈木のロッド〉の長さはおよそ五尺四寸五分、165cmほどだ。恐らく身長148cmである私の体格に合わせてあるのだろうが、正直短すぎる。

 普段から六尺棒を使っていたので、十全に力を発揮する為にも武器は愛用品に近い方が望ましい。


「六尺……?」

「およそ180cmだな」

 ルーミスさんは普段なら使わないであろう単位に首を傾げるが、リボるんの注釈に、ああ、と頷いた。


「素材は何がいいかしら」

 ああ、それにも実は拘りがあるんですが。


「出来るだけ、硬くて重い木材でお願いします」

 打撃力を上げたいので素材は硬く重い材質が望ましい。が、元々の腕力に加えて職業補正によってSTRが低い私には鉄製の六尺棒だと流石に重すぎる。

 硬くて軽い金属——例えば魔法の銀として有名なミスリルみたいな素材があれば最適なのだが、まさか序盤で出る物でもなし。ならば、まだ入手しやすい?木材から探す方が無難だろう。

 まあ、棒術で扱う技の中にはしならせるものもあるので、やはり木材が望ましいだろう。魔物素材はちと気になりますが。


「理想は癒瘡木——リグナムバイタなんですが、難しいですよねぇ……」

 リグナムバイタは中南米原産のハマビシ科の広葉樹で、世界一重硬な木材とされている。余りにも硬すぎて加工には金属加工機が使われる程だ。

 この世界ならスキルレベルさえ高ければ、割と手作業で加工できそうだけど。

 そして、現実(リアル)で私が愛用している六尺棒の素材だ。さほど高い木材ではないが、ほとんど端材しか出回らない為、六尺棒クラスの大きさは希少だったりする。


「聞いた事はないですね……」

 ですよねー。


「なら、イスノキ——表面以外、水に沈む程度の比重がある木材でお願いします」

 無い物手に入らない物は仕方ない。妥協せねば。

 ただ、素材については色々調べて、自分でも探しておこう。


「分かりました。その位なら市場を探せば見つかるでしょうから、作成しておきます」

「ありがとうございます。お願いします」



「んじゃ、次は防具だね!」

 相変わらず満面笑顔で楽しそうですねマルキューさん。

「『冠斑狼の上毛皮』で一着、上半身防具をお願いします。鎧以外なら何でもよいのでお任せします。他の素材や防具についてはお任せしますね」

 そろそろ巫女装束からは離れたいけど、無理は言いません。鎧は職業で装備できないから服系統一択だし。


 なお、他の〈冠斑狼〉素材は手元に残しておく。流石にボスクラスは個人で管理しておきたい。


「了解! ——あ、靴はもうちょっと待ってね」

「はい」

 楽しみにしてますよ。



「後は、工房の一部をお借りしたいのですが……」


「アクセサリー? いいよ、約束だしね。——あの机の辺りが空いてるから自由に使ってね」

 示された方を見ると、工房の隅に作業机が一つ置かれていた。サイズも広めだし、使いやすそうな机だけど、いいのかな?

「いいんですか? 割と良さげな作業机ですけど」

「うん。あの作業机はこの工房の備え付けだったんだけどね。あるの知らなくて、僕らはそれぞれ気に入ったのを仕入れて来て、あれ余っちゃってたんだよ」

 ありゃま。よくある事ではありますけど。

「だから、気にせず使ってね」

 ありがとうございます。

 心から御礼申させていただきました。



「んじゃ、俺は一度古巣に顔出してくるわ」

 一通り話が済むと、そう言ってリボるんは立ち上がった。


 しばらくは私とコンビを組むので、元のパーティーに断りを入れに行くとの事。

 まあ、リボるんは生産スキル持ってないから居ても仕方ないしね。


「行ってらっしゃい」

 そう声を掛けると、ひらひらと右手を振りながら外へ出て行った。



 さて。では、アクセサリー作りを始めましょーか。

 作業机の前に座り、目の前に〈跳ね兎の丸尻尾〉と〈冠斑狼の大尻尾〉が並んでいる。


 何を作ろうかな。


 まずは改めて素材を確認してみよう。


〈跳ね兎の丸尻尾〉

 レア度B+

 ジャンピングラビットの珍しいまんまる尻尾。幸運のお守りとして珍重されている。


〈冠斑狼の大尻尾〉

 レア度A+

 『宝冠』の力により上位種となったクラウンド・スポットウルフの大きな尻尾。長く柔らかく美しい毛並の尻尾は高級素材として珍重されている。


 ——ん? んん!?

 なんか、レア度とかいうのが増えてる……って、【鑑定】スキルがいつの間にかレベル2になってるや。これの影響かな?


 レア度の基準がわからないなー。

 とりあえず、他の素材と比較してみよう。



〈穴掘り鼠の毛皮〉

 レア度D-

 ディグラットの茶色い毛皮。毛並みは短く柔らかい。


〈穴掘り鼠の齧歯〉

 レア度D+

 ディグラットの強靭な前歯。硬く湾曲した前歯は地面に巣穴を掘るのに適している。


〈夜軍蟻の甲殻〉

 レア度D+

 ナイトアーミーの黒い甲殻。艶のない黒の甲殻は夜闇に紛れやすい。硬くはあるが加工はしやすい為、防具に利用される。


〈槍蛙の脚肉〉

 レア度D-

 スピアーフロッグの脚の肉。淡白で鳥肉に似た味と食感。


〈椰子猿の毛皮〉

 レア度B-

 パームモンキーの緑色の毛皮。少しかたいが良い匂いがする。


〈斑狼の毛皮〉

 レア度C

 スポットウルフの斑模様の毛皮。

フサフサしていて、肌触りが良い。


〈冠斑狼の大毒牙〉

 レア度B

 『宝冠』の力により上位種となったクラウンド・スポットウルフの大きな毒牙。より頑丈で鋭く、より強力な毒素を有した犬歯。


〈冠斑狼の硬骨〉

 レア度B-

 『宝冠』の力により上位種となったクラウンド・スポットウルフの骨。高まった魔力により、より硬く頑丈なものとなっている。



 うん。よくわからないね!


 まあ、とりあえず尻尾はレア度は高そうであるのは分かったかな?

 あと、王様の素材がずば抜けてレア度が高いのも。



 丸尻尾は根付みたくして御守りにするとして、王様の大尻尾は何にしようかな?

ステータスに変化がない為、表記無し。



ちなみに日本国内で一番硬くて重い木材はウバメガシだそうです。備長炭の原料なんだとか。

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